人では、以前から誕生月によってなりやすい病気となりにくい病気があるという研究結果があるのをご存知でしょうか?
その結果はアメリカの研究者たちが述べ170万人という膨大な患者データから得た正確なものなので、信憑性もお墨付きです。
しかしこうしたデータは人だけかと思いきや、実は犬にも傾向が見られるというのです。
今回は、誕生月で違う犬の病気のなりやすさ・なりにくさや疾患・犬種別での傾向などをご紹介します。
<目次>
大手ペット保険会社で示された誕生月別の病気に関する統計データ

そもそも、なぜ4月と9月に生まれた犬が病気になりにくいと言われるようになったのでしょうか?
それは、2020(令和2)年に大手ペット保険会社のアニコムホールディングス株式会社(代表取締役:小森 伸昭、本社所在地:東京都新宿)にて、2018年(平成30)年4月1日~2019(令和元)年3月31日までの1年間に、延べ590,383頭(全年齢・性別不明含む)の契約犬(0歳~12歳/年齢補正あり)を対象とした調査で判明したデータによって明らかにされたためです。
アニコムホールディングス株式会社では、人で見られた誕生月別での病気のなりやすさ・なりにくさを犬に応用し、保険請求の申請割合の違いで調査しました。
その結果、オッズ比*を用いて犬の傾向を調査したところ、4月と9月に生まれた犬では、他の月で生まれた犬よりも病気になりにくい(保険請求割合が少ない)という結果になったというのです。
▽『犬の誕生月による病気のなりやすさに対する違い』
※【オッズ比とは】:特定の対象群と他の群について、ある病気のなりやすさを比較するための指標。
グラフ中の点が1より大きければその病気になりやすく、95%信頼区間のグラフ中のバーが1より大きければその病気に有意になりやすい傾向を表す。1より小さくかつ1を跨がなければその逆を意味する。
上記のデータ内容では、2月生まれと3月生まれが他の月より病気になりやすい傾向が強く、逆に4月生まれと9月生まれは病気になりにくい傾向が強く表れています。
この状況を見る限りでは、確かに病気のなりやすさ・なりにくさは誕生月によって違いに差が表れているのが分かります。
各誕生月と疾患の罹りやすさ傾向とは?

では、各誕生月と疾患の罹りやすさ傾向では、どのような違いがあるのでしょうか?
アニコムホールディングス株式会社では、各誕生月と疾患の関係性、また、罹りやすさについても傾向を調べました。
結果としてそれぞれの誕生月と疾患の罹りやすさの関係性には、以下のような傾向が見られることが明らかとなりました。
▽『犬の各誕生月別の疾患傾向一覧』
病気に最もなりやすいとされている2月及び3月では、なりやすい病気の疾患名が、一覧で見ても一目で分かるほど多いのが見て取れます。
しかし一方で、病気に最もなりにくいとされている4月及び9月については、なりやすい病気の疾患名はあっても一つのみ、9月に至ってはなしという結果には驚きではないでしょうか?
ただし、これらのデータ結果には、0歳~12歳までの幅広い犬の年齢層に加え、年齢補正も掛けられています。
また、ここに示されている誕生月によって罹りやすい疾患・罹りにくい疾患とは、各犬種を限定した場合では当て嵌まらない可能性は十分にあるため、参考程度に留めることが大切です。
これらデータはあくまでも、保険を契約している数多くの犬種を平均的な観点から割り出した結果だと言うことを覚えておきましょう。
犬種別では誕生月で何か違いは見られるの?

それでは、犬種別では誕生月に何か違いは見られるのでしょうか?
結論から申し上げれば、犬種別ではその違いが見受けられることはないと言って良いでしょう。
筆者はこれまで3頭犬を迎え、柴犬、シェルティ、柴犬という順でお世話をしていますが、初代の柴犬を除いては、2代目シェルティの場合では、誕生月は5月でした。
一方で3代目柴犬では、誕生月は7月というのが確定しています。
けれど、2頭の誕生月で上記一覧の内容に沿った疾患が偏って見受けられたことは一度もありません。
ここで、仮に上記の各誕生月による疾患傾向を基に我が家の2頭を当て嵌めたとしたら、この傾向は、2頭のどちらにも当て嵌まりません。
犬種別で見られる疾患傾向というのは、誕生月では疾患に偏りが出ることはまず考えられず、考え得る可能性があるとすればそれは、遺伝的な疾患などの方が重要でしょう。
次章では、その遺伝傾向などを踏まえた上での、犬種別による罹りやすい疾患データの内容を見ていきましょう。
犬種別で罹りやすい疾患データと年間平均診療費を大公開!

誕生月と違って、犬種別で罹りやすい疾患データには、当然それぞれ犬種によって違いが生じています。
例えば日本の3大人気犬種として名高いトイ・プードル、チワワ、ミニチュア・ダックスフンドの頻繁に罹りやすい疾患傾向データを見比べてみましょう。
以下のような違いが見受けられます。
▽『トイ・プードルが他犬より罹りやすい疾患TOP3』
▽『チワワが他犬より罹りやすい疾患TOP3』
▽『ミニチュア・ダックスフンドが他犬より罹りやすい疾患TOP3』
犬種別で疾患の傾向を見た場合、それぞれ全く別の疾患に罹りやすいことが分かります。
また、犬種別でそれぞれの年間平均診療費傾向を調査したところ、意外にも上記3犬種の診療費はそれほど掛からない結果となっています。
▽『人気18犬種における年間平均診療費一覧』
上記のデータは2020年時点で統計を取ったもののため、現在では変動している可能性が十分に考えられます。
ちなみに、以下の記事では先にご紹介した3犬種以外の犬種の罹りやすい疾患内容を解説しています。
比較的広く一般的にご家庭に迎えられることの多い犬種を中心に解説しているので、ご興味のある方は、是非ともご覧になってみてくださいね。
▼【合わせて読みたい!こちらの記事もオススメです】
迎える前に知っておこう!犬種別罹りやすい疾患と必要な心構えについて
>https://www.inutome.jp/c/column_7-209-48268.html
それでも心配!病気に罹りやすい誕生月に生まれた犬が病気に罹らないためには?

私たち人でもそうですが、犬もまた生きていればいずれは何かしら病気に罹ったり、ケガをしたりする時が来ることでしょう。
とはいえ、生まれた誕生月だけでこうも疾患の罹りやすさ・罹りにくさに差が生まれてしまうと、不安を抱いてしまう人も少なくないと思います。
けれどそうした場合には何よりもまず、これはあくまでも統計上のデータであって、必ずしも当てはまるとは限らないと言うことを思い出してください。
基本的に犬の病気のなりやすさ・なりにくさは、人と同様に日々の生活環境の暮らし方によって、いくらでも変わっていくものだと筆者は思っています。
例えば愛犬に食餌をあげる際、フードボウルを床に直置きして与えられている犬とフードスタンドを使用して体高の高さが平行になるようにして与えられている犬では、背中や腰、首にかかる負担は全く違ってきます。
また、飼養環境一つとっても、屋外なのか屋内なのかで体への免疫力などにも差が出てくるでしょうし、構ってあげる頻度も多いか少ないかでメンタル面に影響を及ぼすことでしょう。
もしも愛犬が病気に罹りやすい誕生月に当て嵌まってしまっていたとしてもそれを悲観に思うのではなく、それを参考に、迎えた愛犬と向き合いましょう。
そして、愛犬自身の特徴や罹りやすい疾患を個別に知ることで、生活環境の改善や接し方の改善を図り、一つずつ対処していってあげてください。
まとめ

いかがでしたか?
誕生月で犬の病気の罹りやすさ・罹りにくさは、私たち人同様ある程度傾向として見受けられます。
しかしそれ以上に大切なのは、犬種特有に罹りやすい疾患を飼い主さんご自身が把握しておくことなので、是非とも知ってあげてくださいね。
<参考サイト>
アニコム家庭どうぶつ白書2020
>https://www.anicom-page.com/hakusho/book/pdf/book_202012_2_3.pdf
4月&9月生まれの犬は病気になりにくい!? 人気18犬種が注意すべき病気は?
>https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000042.000028421.html

また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。

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