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疾患の予兆は愛犬の歩き方にあり?不正歩様の種類や関連する病気・対策について

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皆さんは普段の愛犬との散歩中、どれだけ愛犬の歩き方を気にされているでしょうか?

犬の歩き方にはいくつか種類があり、歩き方を見れば骨格や筋肉の付き方、気持ちまでも読み取ることが出来ると言われています。

しかしそんな歩き方の中には、『不正歩様』と言われる、犬にとっては好ましくない歩き方が存在します。

今回は、疾患の予兆が隠されているかもしれない歩き方について、不正歩様の種類や関連する病気、対策についてご紹介します。

犬の正しい歩様ってどんなもの?

通常犬の正常な歩様というのは、人と同じように正しい骨格の位置や筋肉によって状態が保たれています。

犬の骨格の位置が正しければ、おのずと犬の歩様も望ましい形、そして、外貌になります。まずは以下でその状態を確認してみましょう。

▽『犬の骨格バランスの良い角度』

犬の本来好ましいとされる骨格バランスは、上記のように前肢の上腕骨と肩甲骨、後肢の骨盤と大腿骨が90度の角度であった場合、好ましいとされています。

また、犬の骨格バランスが整った状態での望ましい歩様は以下の通りです。

▽『犬の骨格バランスが整った状態の望ましい歩様』

引用元:イヌの心と体を学ぶ「イヌの身体の仕組みを知る」

犬にとって最も体力の消耗が少なくエネルギー効率が良い歩様の一つであるトロットも、犬の骨格バランスが整っていれば、自然と美しいと思える歩き方に見えます。

しかし、これが先天的な骨格異常や普段の生活を過ごしていく中で体に歪みなどが生じてしまうと、徐々に歩様にもそれが影響してしまう場合があるのです。

エネルギー効率の悪い歩様は、無駄な動きや無駄な筋肉の使い方が多くなり、将来骨格の歪みなどに繋がって、関節疾患などの発症原因になる恐れがあります。

そのため、ご自身の愛犬の歩様が正常かどうか、また、異変がないかは常日頃から確認するよう心掛けておくことが大切です。

不正歩様の種類と関連する疾患

それでは、ここからは不正歩様の種類とそれに関連する疾患の詳しい内容をご紹介します。

ご自身の愛犬の歩き方に当て嵌まるような項目がある際には、出来るだけ早急に動物病院で診察してもらってください。

モンロー・ウォーク

モンロー・ウォークとは、アメリカ女優のマリリン・モンローが映画『ナイアガラ』にて披露した腰を大きく振って歩くセクシーな姿から由来する言葉です。

ただ犬がそのような腰を大きく振って歩くモンロー・ウォークをしているような場合には、股関節形成不全症が疑われます。

股関節形成不全症は、主にゴールデン・レトリバーやラブラドール・レトリバー、ジャーマン・シェパード・ドッグ、バーニーズ・マウンテン・ドッグといった大型犬種に見られることの多い疾患で、おおよそ生後6か月~1歳頃までの間に発症するケースが多いと言われています。

一般的な症状としては、後肢に対する歩行異常(モンロー・ウォーク)や関節炎の痛み、また、階段を嫌がる、運動したがらなくなったりします。

ウサギ飛び走行(バニー・ホップ)

ウサギ飛び走行(バニー・ホップ)とは、まるでウサギが飛ぶ時のように後ろ足を揃えながら走る姿のことを言います。

基本的に後ろ足は歩幅が狭く、引きずるケースが見られることもあります。ただ、この姿を愛犬が見せる場合、多くは股関節形成不全症で見られ、他には変性性脊髄症(DM:Degenerative Myelopathy)という疾患で見られる場合があります。

股関節形成不全症は、上記でお伝えした通り発症すると痛みからウサギ飛び走行をする場合があります。しかし、一方の変性性脊髄症については、痛みを伴わずにゆっくりと進行する脊髄の病気と言われています。

主にジャーマン・シェパード・ドッグで多く発症例が見られる病気でしたが、近年では、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークでも発症が報告されているため、注意が必要です。

一般的な症状としては、1年から3年程度をかけてゆっくり進行していき、腰のふらつきや足のもつれなどが見られます。そして、症状が進行した際には歩行異常(ウサギ飛び走行/バニー・ホップ)が見られ、最終的に脳まで症状が進行してしまうと、呼吸症状を呈し、最悪は死亡してしまいます。

カウホック(X脚)

カウホック(X脚)とは、別名:牛状肢勢と呼ばれ、後ろの脚が牛のように内側に向いて、両足が極端に近くなってしまった状態のことを指します。

この姿が愛犬に見られた場合、多くは内側に膝蓋骨が脱臼してしまう膝蓋骨脱臼(内方脱臼)が疑われます。

内方膝蓋骨脱臼は、通常大腿骨(太ももの骨)の前面にある滑車溝と呼ばれる溝に嵌っている膝蓋骨が、何らかの原因によって内側に外れてしまうことで起こります。

主にチワワやポメラニアン、トイ・プードル、パピヨン、ヨークシャー・テリアなどの小型犬種に多く見られ、無症状から重度に至るまでは、グレード(症状の程度)によって状態が変わります。

一般的な症状としては、グレード1では、無症状または手での整復でも自然でも元の位置に戻ります。グレード2では、溝の深さが浅いために日常生活中の脱臼や軽度の骨の捻転、歪曲が見られます。ただ、まだこの時点では手で整復すれば元に戻すことが出来ます。

しかし、グレードが3~4の場合では、常に脱臼したり、手での整復が不可能であって、骨の異常などが出てきてしまったりと、放置すると歩行困難になってしまうため、早急な処置が必要です。

O脚

O脚とは、その名の通りアルファベットのOの字に足が広がってしまう状態のことを指します。

この姿が愛犬に見られた場合には、多くは外側に膝蓋骨が脱臼してしまう膝蓋骨脱臼(外方脱臼)が疑われます。

外方膝蓋骨脱臼は、基本的に内方膝蓋骨脱臼と症状はほぼ変わりません。しかし、発症しやすい犬種に違いがあります。外方膝蓋骨脱臼を発症しやすい犬種には、主にミニチュア・ダックスフンドが挙げられる一方で、それ以外では中・大型犬のグレート・デーンやセント・バーナード、ロットワイラーなどで見られると言われています。

ナックリング

ナックリングとは、足先がひっくり返ってしまった状態で歩行してしまう状態のことを言います。

このような状態は、犬の老化によってもうまい具合に後ろ足が上げられない場合、見られることがありますが、そうではないのに愛犬にこのような姿が見られた時には、多くは椎間板ヘルニアの可能性が疑われます。

椎間板ヘルニアは、脊椎と脊椎の間にあるクッションの役割を担っている椎間板が、その椎間板の真上に位置する脊髄を圧迫することで神経に障害を及ぼす疾患です。

主にミニチュア・ダックスフンドに多く発症し、他にもフレンチ・ブルドッグやウェルシュ・コーギー・ペンブローク、ビーグル、シー・ズー、アメリカン・コッカー・スパニエル、パグ、ペキニーズなどにも見られることがあります。

基本的に椎間板ヘルニアは、グレード1~5の違いによってその症状が変わりますが、一般的にはグレード1から痛みを伴います。

そして、グレード2になると、後肢のふらつきや歩行異常(ナックリング)などが見られるようになり、グレード3以降では、歩行困難及び痛覚への異常が認められるようになるので、早急な対応を心掛けることが大切です。

愛犬の不正歩様を招かないための対策

愛犬の不正歩様は、少なからず普段の生活や加齢に伴った癖となって現れる可能性が高いため、完ぺきに防ごうとするのは難しいものです。

しかし、少なくとも前述した疾患の発症の危険性を最小限にさせる対策については、いくつか方法があります。

それは、普段愛犬が生活する空間内で股関節形成不全症や膝蓋骨脱臼、椎間板ヘルニアなどになるような原因を出来る限り取り除いてあげることです。

こうした疾患の多くは、関節へのダメージによって発症するリスクを高めてしまうため、例えばフローリングには必ずジョイントマットやカーペットなどを敷いて、愛犬が滑らないように対策してあげるだけでも股関節形成不全や膝蓋骨脱臼の対策に繋げることが出来ます。

また、足の付いたソファがあるのであれば、クッション性のあるスロープやクッションステップの使用を検討したり、またはローソファへの変更を検討したりすることで、椎間板ヘルニア発症の予防に繋がります。

背丈があるベッドの場合にも、ソファ同様にステップやローベッドへの買い替えをするだけで、関節周りや神経への負担を減らすことが出来ます。

まとめ

犬の歩き方というのは、それ一つをとっても精神的なものの読み取りであったり、身体的な異変であったりを教えてくれます。

特に関節疾患については、大型犬で発症するとシニア期における介護と長く付き合う覚悟が必要となる疾患の一つでもあります。

犬にとって歩くといった行為は、人以上に重要な意味を持ち合わせているため、不正歩様になるような原因は可能な限り排除してあげられるよう、心掛けてあげてくださいね。

<参考書籍>

ドッグマッサージ|実践テクニックBOOK この一冊で基本から応用まで

愛犬の病気百科 気になる初期症状から最新医療までがわかる 最新版

<参考サイト>

オリバ犬猫動物病院×膝蓋骨脱臼・パテラの治療専門サイト
>https://oliba-dog-and-cat-clinic.jp/patellar/

JADH|日本動物遺伝病ネットワーク
>http://www.jahd.org/disease/d_hipjoint

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yukako

yukako

幼少期の頃より柴犬やシェットランド・シープドッグと生活を共にし、現在は3代目となる柴犬と暮らしております。
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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