大切な愛犬には1日でも長く、健康に生きてほしいですね。
では、どんなことに注意をしたら犬は長生きをするのでしょうか。
今回は「長生きをする犬の共通点」や「長生きさせるための飼育環境」を解説します。
「年齢別に注意するポイント」も合わせてご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
犬の平均寿命は年々延びている
犬は何歳くらいから長生きと言えるのでしょうか。
下の図はアニコム ホールディングス㈱が発表した犬の平均寿命のグラフです。
▼犬の平均寿命の推移(2008~2019年)
グラフを見てみると年々右肩上がりに寿命が延びていっていることがわかります。
2008年と2018年を比較すると10年で寿命が0.8歳延びています。
あまり延びているように感じないかもしれませんが、犬の1歳は人の4~5歳分に相当するので10年で寿命が4~5年延びていると考えると、犬の寿命は飛躍的に延びているといってよいでしょう。
2019年の平均寿命は14.1歳なので、平均に近い年齢を迎えることができれば十分ご長寿わんちゃんといえますね。
長生きする犬の共通点5つ
犬を長生きさせるための秘訣はいろいろと耳にしますが、長生きする犬に共通するポイントはいったいなんでしょうか。
犬の寿命は個体差や飼育環境など色々な要因で決まるので一概には言えませんが、寿命に影響があると考えられている共通点を5つご紹介します。
▼長生きする犬の共通点5つ
長生きする犬の共通点①「室内飼いをしている」
長生きする犬の共通点②「体重管理を適切にしている」
長生きする犬の共通点③「毎日散歩に行っている」
長生きする犬の共通点④「デンタルケアを定期的にしている」
長生きする犬の共通点⑤「手作り食を食べている」
長生きする犬の共通点①「室内飼いをしている」
外飼いの犬は室内飼いの犬に比べると、寄生虫や菌などの感染リスクが高くなります。
また外飼いの犬は飼い主の目が届きにくくなるため、体調不良や老化の兆しがあっても発見するのが遅くなります。
犬ではなく猫の調査にはなりますが「外飼いの猫」と「室内飼いの猫」の平均寿命を比べたところ「室内飼いの猫」の方が寿命が2.56歳も長かったそうです。
犬を飼っている環境が犬の寿命にも影響を与えると考えてよいでしょう。
長生きする犬の共通点②「体重管理を適切にしている」
肥満は万病の元と言われています。
長生きをする犬は体重や体型管理にも気をつけている場合が多いです。
愛犬が高齢になると心配なのが、寝たきりになることだと思いますが、肥満になると足や腰に負担がかかり寝たきりになるリスクが高くなります。
また、糖尿病や心疾患など犬の寿命に大きく影響を与える病気にかかりやすくなります。
愛犬に長生きしてもらうには、適切な体重や体型管理が必要です。
長生きする犬の共通点③「毎日散歩に行っている」
2001年に東京農工大学で行われた「犬と猫における長寿に関わる要因の疫学的解析」の研究によると、長寿の犬に共通していることは「毎日散歩に行っている」ことで、長寿の犬の9割が「毎日愛犬の散歩に行っている」と回答しました。
散歩はストレス解消や気分転換の役割が大きいと言われていますが、寿命にも影響があると考えてよいでしょう。
長生きする犬の共通点④「デンタルケアを定期的にしている」
アメリカの動物病院を訪れた犬(237万頭)を対象に行った調査によると、歯科スケーリングの頻度と寿命には関連性があり、1年に1回スケーリングは死亡リスクを18.3%低下させるそうです。
スケーリングには全身麻酔が必要になるので、麻酔リスクを考えると1年に1度という頻度はあまり現実的ではないと思います。
ただ3歳以上の犬の8割が歯周病と言われており、歯周病は歯の問題だけではなく全身性の疾患を引き起こす可能性があるので、愛犬のデンタルケアを定期的にすることは長生きに欠かせないといえるでしょう。
長生きする犬の共通点⑤「手作り食を食べている」
ベルギーで獣医学博士が行った調査によると、ドッグフードを食べている犬よりも手作り食(新鮮な食事)」を食べている犬の方が寿命が3年長かったそうです。
ドッグフードにも色々な種類があり、手作り食でも作り方を間違えると栄養バランスが崩れてしまうため一概に手作り食が良いドッグフードが悪いといえませんが、バラエティにとんだ食事を取ることは犬の寿命に大きな影響を与えると考えられます。
愛犬を長生きさせるための飼育環境は?
では、愛犬を長生きさせるための環境づくりで大切なことは何でしょうか。
愛犬を長生きさせるための飼育環境のポイントをまとめてみました。
▼愛犬を長生きさせるための飼育環境
・毎日散歩に行く
・広い運動スペースを設ける
・肥満にさせない体重管理
・歯のチェックも含めた定期検診を受ける
・食事にトッピングやサプリメントを取り入れる
長生きをさせるにはストレスをためないことが大切です。
愛犬の体調に合わせて毎日散歩に行きましょう。
ときにはドッグランや広めの公園にいって全身運動もするとよいでしょう。
十分な運動は肥満防止にも役立ちます。
また、定期的に動物病院で健康診断をうけて病気の早期発見につとめましょう。
ドッグフードを与えている方はフードに犬が食べられる食材をトッピングしたり、サプリメントを取り入れることをオススメします。
年齢が上がるにつれて体に足りなくなる成分も出てくるので、サプリメントで補ってあげるとよいでしょう。
「愛犬を長生きさせるために」年齢別の注意ポイント
では、愛犬を長生きさせるために年齢別に注意しなければならないことはなんでしょうか。
ポイントをまとめてみました。
子犬期(1歳未満)
子犬の時期は病気にかかりやすく体調を崩しやすいです。
動物病院の定期検診には必ず連れていき、ワクチンで病気の予防につとめましょう。
ワクチン接種後は少しずつ外の世界に慣らしていきましょう。
最初に外に対して怖い印象を持ってしまうと、長生きに欠かせない散歩が苦手な犬に育ってしまうので注意が必要です。
成犬期(1~7歳)
体力がある時期ですが、運動量と食事量が釣り合っていないと肥満になります。
散歩にくわえて全身運動の時間を設けるとよいでしょう。
また、刺激のない単調な生活はストレスの原因になります。
知育のおもちゃやノーズワークなどで脳や犬の感覚器に適度に刺激を与えるとよいでしょう。
シニア期(8歳以降)
足腰が弱ってくるので、今までと同じペースで散歩に行くのが難しくなります。
坂道が多い場所や階段は避けるなど、散歩コースの見直しが必要です。
また、年齢とともに出てくるトラブル(関節の痛みや認知症予防など)はサプリメントで補ってあげましょう。
犬の平均寿命は14歳まで延びました。
限られた時間を元気に過ごしてもらうには、食事や運動を通して健康を維持していくことが大切です。
今回ご紹介した長生きの犬の共通点を愛犬との生活にぜひ取り入れてみてくださいね。
<参考文献>
犬と猫の肥満と疾患 肥満が悪影響を及ぼす疾患
>https://vth-tottori-u.jp/wp-content/uploads/2018/11/topics.vol_.79.pdf
犬と猫における長寿に関わる要因の疫学的解析
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jve1997/5/2/5_2_77/_pdf
Risk Factors Associated with Lifespan in Pet Dogs Evaluated in Primary Care Veterinary Hospitals
>https://www.researchgate.net/publication/331762987_Risk_Factors_Associated_with_Lifespan_in_Pet_Dogs_Evaluated_in_Primary_Care_Veterinary_Hospitals
Relation between the domestic dogs’ well-being and life expectancy statistical essay
>https://www.cavalierhealth.org/images/Lippert_Sapy_Domestic_Dogs_Life_Expectancy.pdf
アニコム家庭どうぶつ白書2021
>https://www.anicom-page.com/hakusho/book/pdf/book_202112.pdf
<画像元>
Canva
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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