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犬も脳梗塞が起きるって本当?原因や症状、治療法、発症しやすい犬種について解説!

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かつて、1950年代以降の人による死亡原因第一位と言われていた「脳血管疾患」。その中でも最も発症率が高く、突然起こることで有名な脳梗塞は、犬にも起こり得るのをご存知でしょうか?

今回は、犬にとっての脳梗塞の原因とは?

脳梗塞で見られる症状や治療法、発症しやすい犬種などを解説します。

犬の脳梗塞とはどんなもの?

一般的に、犬の脳梗塞と聞いてピン!と来る人は少ないと思います。

その理由として挙げられるのは、かつては人にのみ脳梗塞は起こるもので、犬にとっては非常に稀な症状だと考えられていたためです。しかし近年、ペットのMRIが普及し獣医学の発達が進むにつれて、ペットに対する脳血管障害が診断可能となりだしてからは、脳梗塞などの病気の可能性は人同様、犬にも注意する必要性があることが分かってきました。

犬の脳梗塞は、人の脳梗塞と同じように脳の一部の血流が妨げられる虚血性脳卒中(脳梗塞)や血管が破裂して起こってしまう出血性脳梗塞のほか、神経細胞への酸素不足、甲状腺機能低下症からくる二次疾患などで起こる危険性があると考えられています。

また、犬が脳梗塞を起こしやすい発症部位には、小脳(前小脳動脈の分布域)が最も多く、次いで大脳中部(中大脳動脈の分布域)で起こりやすい傾向にあります。

▽『犬の脳の作り』

▲獣医解剖学イラスト【犬と猫の脳の構造】

出典元:https://inobon.com/medicai-illustration-sample/

犬の脳梗塞は動物病院を来院した時には、既に時間が経過していることに加え徐々に改善することも多いと言われているため、手術に至ることは少ないそうです。

さらに人の脳梗塞とは異なり、犬の脳梗塞はその後重症化したりすることが少ないとされているため、致命傷になるかと問われれば、そうとも言い切れないとされています。

しかし犬の脳梗塞も人の脳梗塞と同様危険を伴うものには変わりないため、気づいた時には早急な対応を心掛けましょう。

脳梗塞は何が原因で起こる?

犬の脳梗塞が起こってしまう原因は、未だにハッキリとした解明はされておりません。

しかし、一説では人と同じような原因が起因しているのではないかとも言われています。また、虚血性脳卒中(脳梗塞)と出血性脳梗塞とでは、起点となる原因に多少の違いがあるようなので、それぞれの状況に分けて見ていきましょう。

虚血性脳卒中(脳梗塞)で考えられる主な原因

脳の一部の血流が滞ってしまうことで起こる虚血性脳卒中(脳梗塞)で考えられている主な原因は以下の通りです。

・腎臓病
・心臓病
・甲状腺機能低下症
・副腎皮質機能亢進症

虚血性脳卒中(脳梗塞)は、主にこのようなシニア犬が患いやすい疾患が併発することで起こる可能性があると言われています。

ただこうした疾患の他に腫瘍や肥満、フィラリアなどの寄生虫の迷入によっても、虚血性脳卒中(脳梗塞)は引き起こされる可能性があるため、日頃から愛犬の体調管理には十分注意するよう心掛けましょう。

出血性脳梗塞で考えられる主な原因

次に、血管が破裂することで起こってしまう出血性脳梗塞で考えられる主な原因を以下で見ていきましょう。

・糖尿病
・腫瘍
・高血圧症
・血管血栓症
・免疫介在性血小板減少症

出血性脳梗塞は、以上のようなことが原因で発症してしまう可能性があると言われています。

またこれら症状の他にも、頭部外傷や高血圧を引き起こす腎臓病や心臓病なども虚血性脳卒中(脳梗塞)同様、脳梗塞を引き起こす原因とされているため、注意を心掛けるようにしましょう。

犬の脳梗塞の主な症状とは?

犬が脳梗塞を起こしてしまった時には前提として、突発性と片側性で症状が見受けられるというのを共通認識で覚えておいてください。

ただし、小脳で脳梗塞が起こった場合の臨床症状と大脳で起こった場合の臨床症状では、その症状に違いが見られます。

大脳で起こった脳梗塞の主な症状

もしも愛犬が、大脳で脳梗塞を起こしてしまった場合には、次のような症状が見られる場合があります。

・沈鬱(気分が沈んでいるように見える)
・震戦(無意識の不随意運動)
・回転(その場で回る)
・片側不全麻痺
・嗅覚麻痺

大脳で起こってしまった脳梗塞の場合、多くは症状が分かりづらい傾向にあるとされています。

震戦(筋肉が不随意的に震える状態)などの症状は犬の場合、病気に限らずストレスや寒さ、恐怖や警戒など、様々な場面で見られることがあるため、普段こうした症状を見せないのに突然、または片側に麻痺などの症状が表れた際には、脳梗塞を疑い、すぐさま動物病院を受診するよう心掛けましょう。

小脳で起こった脳梗塞の主な症状

では、もしも愛犬が小脳で脳梗塞を起こしてしまった場合、大脳とはどのような症状の違いが見られるのでしょうか?

小脳で起こる脳梗塞は、以下のような症状が見受けられる場合があります。

・首が傾く(捻転斜頸)
・立つことが出来ない
・意識障害
・眼振
・失明

小脳で脳梗塞が起こった場合、このような症状が見受けられます。

以下の画像は、突然歩様異常と斜頸が現れた小脳梗塞疑いのシニア犬(柴犬)の様子です。

パッと見ではよく分かりませんが、このような症状が結果的には脳梗塞が疑われる症状の一つとして見られます。そして、この症状は飼い主さんによれば、病院を訪れる3日ほど前にすでに現れていたようです。

小脳の脳梗塞は、大脳で起こった脳梗塞よりも後遺症が残りやすいと言われているため、普段見せないこうした症状を発見した際には、早急に動物病院を受診しましょう。

犬の脳梗塞の治療方法

人の場合の脳梗塞では発症後3時間以内であれば、血栓溶解療法で症状が改善する可能性があると言われています。

けれど犬の場合では、前述した柴犬ちゃんの症例でも分かるように、脳梗塞が起きてからすぐに動物病院で診察を受けることは不可能に近く、たまたまタイミングが合った時以外はほぼ時間が経過した後が多いです。

また血栓溶解療法では、その効果が臨床的に確認されていないことから、下記のような対症療法で症状の改善が見込まれるとされています。

▼【犬の脳梗塞における治療方法】

①脳へのダメージ防止のためのステロイド剤投与
②低酸素改善のための酸素吸入
③循環血流改善のための輸液療法
④脳圧亢進軽減のための利尿剤投与

こうした脳梗塞で起こった症状は、初期治療が適切に行われれば、2~3週間で改善すると言われています。

しかし、梗塞した部位の範囲が大きい場合や他の原因(例えば腫瘍や心臓病など)が起因して脳梗塞を起こしてしまった場合には注意が必要です。

中でも脳の腫瘍で最も頻度が高いと言われる髄膜腫によって構造的にてんかんを患ってしまった犬の場合、症状の急激な悪化が合併症として虚血性脳卒中(脳梗塞)を伴うことがあり、シニア犬や長頭犬種でより頻発しやすいと言われているため、これらの犬種は特に注意しましょう。

そして、犬における脳梗塞の症状には、前庭疾患や脳炎、椎間板ヘルニアといった疾患と類似する点が複数存在します。

そのため、それら類似した症状を引き起こす疾患になりやすい犬種だった場合には、ハッキリとした診断をしてもらうためにもCTやMRIの検査を忘れずに行いましょう。

脳梗塞を起こしやすい犬種はいる?

人の場合、生活習慣や持病の有無などで脳梗塞の発症しやすい・しづらいはあるものの、基本的にどんな人でも脳梗塞になる可能性は潜んでいると言われます。

犬の場合でも同様で、一般的にはどんな犬も脳梗塞になる可能性は十分に考えられるでしょう。

しかしながら、2000(平成12)年~2004(平成16)年にかけて脳梗塞を患った犬33頭の診断検査結果と長期予後という少し古い文献では、特定の品種で脳梗塞になり得る可能性が高い犬が以下の通り報告されました。

【脳梗塞が確認された犬種】

キャバリア・キングチャールズ・スパニエル

6頭

グレイハウンド

5頭

ラブラドール・レトリーバー

4頭

ジャーマン・シェパード・ドッグ

3頭

(※上記表は文献を基に筆者が作成したものになります。)

また、2頭ずつ脳梗塞が確認された犬種には、ボーダー・コリーやワイマラナー、シー・ズー、ミックス犬が挙げられ、1頭ずつ脳梗塞が確認された犬種には、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルやプードル、ゴールデン・レトリバー、ダルメシアンなどが挙げられました。

ただ、この他にも、ミニチュア・ダックスフンドやミニチュア・シュナウザーといった犬種で脳梗塞の症例がいくつか報告されており、上記犬種に該当せずとも、脳梗塞に対する危機感は持ち合わせておくことが大切です。

まとめ

いかがでしたか?

脳梗塞は医療の進歩によって、死因ランキングからは今や第4位まで順位を下げた疾患ですが、順位を下げたとはいえTOP5にはいまだ君臨し続け、その後の後遺症なども変わらず注意をしておきたい疾患です。

犬でも注意を要するようになった脳梗塞は、特にシニア犬で発症しやすい疾患のため、少しでも脳梗塞で見られるような症状が愛犬に見られた際には、迅速な対応、迅速な処置を心掛けてくださいね。

<参考サイト>

犬にもある脳梗塞|鳥取大学農学部|鳥取大学農学部獣医学科 獣医画像診断学教室 教授 今川智敬
>https://vth-tottori-u.jp/wp-content/uploads/2013/09/topics.vol_.17.pdf

Results of Diagnostic Investigations and Long-Term Outcome of 33 Dogs with Brain Infarction (2000–2004)|脳梗塞の犬33頭の診断検査結果と長期予後(2000-2004)
>https://onlinelibrary.wiley.com/doi/pdf/10.1111/j.1939-1676.2005.tb02752.x

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yukako

yukako

幼少期の頃より柴犬やシェットランド・シープドッグと生活を共にし、現在は3代目となる柴犬と暮らしております。
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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