近年、異常気象の影響によって梅雨時期でも真夏日の様相を呈したり、かと思えば、大雨警報で愛犬の散歩に行くことすら満足にいかない日があったりします。
中でも台風は、強風と大雨が一気にやってきて、愛犬自身の様子が「いつもと違う?」と感じる飼い主さんも多いのではないでしょうか?
今回は、台風の到来が最も多くなる前の犬の異変行動や対策法、ネットで話題となった注意喚起「犬をしまえ」について解説します。
愛犬の台風対策はいつ頃から本格化するべき?
秋がシーズンというイメージが根付いている台風。
しかし実際の発生件数、接近件数、上陸件数を示した表では、台風が発生する一番多い季節は7月頃からってご存知ですか?
「え?7月から?」
「7月って熱中症の方が重要じゃない?」
そう思われる方も多いかもしれませんが、犬の場合には、それに加えて台風の対策にも気を配る必要性があります。
気象庁発表の台風の経路
犬の場合、なぜ台風対策は7月頃から本格化した方が良いのか…。
その理由の一つに、気象庁が発表した台風の経路が関係しています。
▽『台風の月別経路図』
これは気象庁が発表している台風の月別経路図です。
上記の図が示している台風発生経路図では、台風が発生しやすい時期は大体7月頃~8月頃に本格化し始め、それは10月頃まで続くと言うことを示しています。
この経路図を見る限りでは、時に6月でも日本に北上してくる場合があることを示唆していますが、夏場頃に発生する台風は特に長期間停滞するという特徴を備えているようなので、そういった観点から考えても、犬の台風対策は7月から本格化させる必要があります。
気象庁発表の過去30年間の台風状況
また、もう一点7月に犬の台風対策で重視しておきたい理由に、気象庁が発表している過去30年間の台風状況が関係しています。
▽『過去30年間(1991年~2020年平均)の台風発生・接近・上陸推移図』
上記の棒グラフの推移は、気象庁の発表が過去30年間(1991年~2020年)の間に観測した発生件数・接近件数・上陸件数を表した表になります。
犬は人同様、台風の気圧変化で体調が不安定になったり、持病を持ち合わせている場合には脳疾患や心疾患(例えばてんかんや僧帽弁閉鎖不全症)に影響が出てしまったりするリスクが生じます。
▼【合わせて読みたい!こちらの記事もオススメです】
台風シーズンは犬も体調を崩す?気圧の変化で起こる気象病とは?対策についても解説!
>https://www.inutome.jp/c/column_9-311-46430.html
そのため、特に屋外で飼養されている犬や気圧に敏感な犬にとっては、7月頃からの台風対策が重要となってくるので、覚えておいてください。
台風発生・接近時などに見せる犬の異変行動とは?
台風が発生・接近した時、そして上陸した時に見せる犬の異変行動には、その犬種の特徴や持病の有無、また、その子が持ち合わせている性格などで状況は変わってきます。
ただ、台風が発生、または接近・上陸した時に以下のような行動を良く見せるようなら、次からは台風発生前に対策を打っておくよう心掛けると良いでしょう。
▼【台風発生・接近・上陸時に気を付けたい犬の異変行動】
・呼吸が荒くなる
・ちょっとした物音でも怖がる
・大きな音や強風の影響で震える
・狭いところに身を隠そうとする
・ウロウロと落ち着きがなくなる
犬は上記のような行動の他にも、飼い主さんの後ろをついて離れないといった事や嘔吐や下痢を頻発するといった体調の変化などを見せる場合があります。
また、もしもこれが屋外飼養で外に犬小屋がある場合、多くは犬小屋に避難という行動が目立つかもしれませんが、強風や豪雨などの恐怖のあまりリードを噛みちぎって脱走、首輪から抜け出て脱走ということもあり得るため、注意が必要です。
これらの異変行動は精神的なストレスに留まらず、先述した脳疾患や心疾患にも影響を及ぼすため、低気圧に弱い場合は事前に獣医さんと相談の上、処方箋を貰うなどの検討をしておきましょう。
ネットで大バズリした「犬をしまえ」って?
皆さんは、「犬をしまえ」と言う言葉をご存知でしょうか?
この言葉は、ある有名な漫画家さんがX(旧Twitter)にて、2022年9月に台風直撃に伴って発信した投稿内容での一言です。
この漫画家ヨシモフ郎(@yosimofurou)さんの投稿した内容によると、昔迎えていた愛犬は屋外飼養だったようで、外には犬小屋とリードに繋いだ愛犬が居たそうです。
そんなある日。猛烈な強風を伴う台風の影響で当時まだ幼かったヨシモフ郎さんの通っていた学校が午後で休校、下校した後、同じく家に帰宅していたお姉さんと見たものは…、大切な愛犬がリードに繋がれたまま強風で飛ぶ姿だったそう…。
投稿はその後、大きな反響を呼んでリポスト数は7.4万回、いいね数は19万回の大バズリ投稿となりましたが、この際ヨシモフ郎さんが発言した一言が「犬をしまえ、飛ぶぞ」だったのでした。
基本的に人の場合でもそうですが、犬も四足歩行であっても強風の中では当然踏ん張りがきかずに飛ばされてしまう危険性が十分にあります。
▽『犬の風の強さによる影響』
そのため、屋外飼養で普段愛犬のお世話をしているご家庭は特に、こうした可能性を考慮し、どんな台風の時であっても台風が発生・接近しているような時には、必ず愛犬を家の中に入れてあげるよう心掛けましょう。
犬の台風対策はいつもどおりが前提
台風対策の極論を言ってしまえば『いつもどおり・普段通り犬と接する事』が求められます。そのため、対策方法を実践する時には、まずは前提に“いつもどおり接する”ことを念頭に置いておいてください。
なぜそうした方が良いのかと言えば、それは、犬にとって「普段と変わらず過ごして問題ないんだ」と思わせるためです。
ただしこの方法は、あくまで前提であり、【室内飼養】であればこそ対策できる方法のため、『屋外飼養』の場合には、上記でも述べたように、愛犬を家の中に入れると共に別途台風対策を講じる必要性があります。
それでは、以下でいくつかの対策法を確認してみましょう。
ゲージやクレート、毛布、おやつ・おもちゃ、ペットシーツの用意
屋外犬であれ室内犬であれ、台風が過ぎ去るのを待つ場合には、少なくともゲージまたはクレート、愛犬のお気に入りの毛布、おやつ・おもちゃ、そして室内で排泄した時でも困らないようにペットシーツの準備を忘れずにしておきましょう。
特にゲージやクレートは普段から慣れさせておくと安心です。
また、お気に入りの毛布などがあればそれをゲージやクレート内に入れてあげると気持ちが落ち着いてきますし、大きめのブランケットなどをゲージやクレートの上に掛ければ、安心してくれるのでオススメです。
TVや音楽を流す、カーテンを閉める
台風の時の音は、普段聞き慣れない音でもあるため、犬にとっては恐怖の対象となり、パニックに陥りやすくなります。
台風による強風や豪雨、またそれに伴った雷などがある場合、室内では愛犬の気を逸らす目的でTVや音楽を流したり、カーテンを閉めたりして、外部の音や光をシャットアウトしてあげましょう。
対策グッズを活用する
台風で起こりやすいパニック症状の緩和を図るために、対策グッズを活用する方法もオススメです。
ここで言う対策グッズには、雷恐怖症や不安症などに効く「サンダーシャツ」というものがあります。
この対策グッズは、身体をキュッと抱きしめるような服で、犬の不安や恐怖を緩和させる効果が期待できると言われています。
また、こういった対策グッズでなくとも、伸縮性のある包帯を巻いて同様の効果を得る方法もあるため、気になる方はぜひチェックしてみてください。
まとめ
いかがでしたか?
近年、愛犬の台風対策で一番心掛けておきたいことは、基本的に室内飼養であることです。
愛犬が室内にいることで台風の影響による避難命令といった、いざという時にもすぐに対応できます。
台風の発生しやすい時期には特徴があります。しかし、それと同時に台風は大災害をもたらす大変危険なものでもあります。
今現在屋外飼養で愛犬のお世話をしている飼い主さんの場合には、出来るだけ室内飼養への切り替えを検討してみてくださいね。
<参考書籍>
決定版 犬と一緒に生き残る防災BOOK
<参考サイト>
台風の発生、接近、上陸、経路|気象庁
>https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/typhoon/1-4.html
知らないと愛犬がキケン!?~愛犬と台風対策~|お天気ナビゲータ
>https://s.n-kishou.co.jp/w/sp/road/osanpo_risk_other.html?&fla=typhoon
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
最新記事 by yukako (全て見る)
- ワンコと遊べる遊園地!那須ハイランドパーク体感レポート!<アトラクション編> - 2024年11月18日
- ペットの“もふもふプッシュ”にご用心!愛犬によって起こる火災事例や防ぐポイントを解説! - 2024年11月14日
- 犬が人に『頭突き』をするのはどうして?その心理や対応の仕方、注意点について解説! - 2024年11月9日
- 犬の『夏毛』と『冬毛』の違いって?換毛と脱毛の違いや部位によるブラシの使い分けについて - 2024年11月8日
- 愛犬と一緒にお出掛け・旅行時の事前準備や注意点、愛犬の健康チェックリストをご紹介! - 2024年11月6日