医学の発展や飼い主さんたちの愛犬との向き合い方の甲斐あって、近年、嬉しいことに平均寿命が14歳以上と発表された愛犬たち。
だからこそ、日々の生活においても愛犬のための健康管理を怠ることなく、愛犬と向き合っている飼い主さんは多いはず。
そこで今回は、犬や猫の健康寿命を延ばす効果に期待大!
NMN成分について、その特徴や驚くべき効果、注意点などをご紹介します。
<目次>
NMN成分を知る前の重要補酵素、NAD+とは?
まずNMN成分が何なのかを知る前に、NMNとの深い関わりがあるNAD+という補酵素についてご紹介します。
NAD+は、正式名称を『ニコチンアミド・アデニンジヌクレオチド』と言います。
この物質は、私たち人や犬、猫といった全ての生命体の細胞の中に存在し、必要なエネルギーの生成を助ける補酵素と言われています。
補酵素と聞くだけでは、「そこまで凄いものなの?」と疑問に思ってしまう飼い主さんも居るかもしれませんが、実はこのNAD+こそ、私たち人はおろか、犬や猫といった様々な動物たちの若々しさや健康長寿に貢献してくれているのです。
では、肝心のNMNとの関係性は?
と言う点ですが、しっかりと関連性があります。
と言うのも、エネルギー生成を助けるNAD+は、そのままでは年齢と共に減少していってしまう性質を持ち合わせています。
けれどその減少してしまうNAD+を再び活性化させ、加えて、NAD+増加にも一役買ってくれるのが、NMN成分です。
NAD+は、後にご紹介する長寿遺伝子とも深い関わりがありますが、ここでは一旦「NAD+はNMNの摂取によって活性化及び増加する」と言うことを覚えておいてください。
愛犬の健康長寿のカギはサーチュイン遺伝子の活性化?
NAD+の次は、サーチュイン遺伝子です。
またも聞き慣れない言葉が出てきましたが、このサーチュイン遺伝子とはどんな遺伝子で、どんな役割を果たしているのでしょうか?
サーチュイン遺伝子を簡単に説明すると、私たち人や愛犬たちの長寿に直接的に関係してくる遺伝子のことを言います。
サーチュイン遺伝子は、老化や寿命の制御が関係する役割を担っているため、別名:長寿遺伝子とも言われる遺伝子細胞です。
したがって、このサーチュイン遺伝子の制御が上手く行えるかどうかで、今後の愛犬の健康寿命に違いが生じてくると言っても良いでしょう。
ただし、サーチュイン遺伝子と言う細胞は、せっかく老化や寿命の制御と関係する役割を果たしていても、普段はその役割が機能することはほぼなく、スイッチで例えたらOFF状態のままが多いと言われています。
とはいえ、サーチュイン遺伝子をONにする方法がないわけではありません。具体的には、例えば「サウナに入る」とか「冷凍庫のような極寒の場所に行く」とか、はたまた「断食やちょっときつめの運動」をして、「生命維持が大切だ!」と、サーチュイン遺伝子自身に思わせることが出来れば叶うようです。
そして、叶った時にはその間の老化や寿命は止まるとのこと。
しかし、人であればそれも不可能ではないですが、犬の場合では、どうでしょう?
そこで重要になってくるのが、NAD+です。
NAD+の役割は、先に『必要なエネルギーの生成などを助ける補酵素、また、あらゆる生命体の若々しさや健康長寿に貢献する物質』とお伝えしましたが、これは、サーチュイン遺伝子に対しても例外ではありません。
特にワンコの健康寿命の場合、サーチュイン遺伝子の活性化を促すには、そのメカニズムとして以下のような構図が不可欠になります。
サーチュイン遺伝子は、NDA+とNMNとの相互関係が最も重要となるため、しっかりと理解しておくよう心掛けておきましょう。
NAD+に変換する⁉NMNの正体とは?
それでは、ここからはいよいよNMNとはそもそも何なのかを確認していきましょう。
NMNとは、正式名称を『ニコチンアミド・モノヌクレオチド』と言います。
ビタミンB3(ナイアシン)の一種で、食品ではブロッコリーやアボカド、トマトといった野菜に含まれていたり、母乳などにも含まれていたりする安全性の高い物質ともされています。
ただ、これら食品に含まれるNMNはごく微量のため、摂取する時にはサプリメントなどが効果的な方法となるでしょう。
では、NMNの主な役割とは何かと言うと、それは、NAD+への変換と増加(活性化)です。
NMNはNAD+の中間代謝産物であり、NAD+生成の原料となるため、体内でNMN吸収がなされた時には、これら成分はNAD+に変換され、活性化を促します。
そして、サーチュイン遺伝子のスイッチONがNAD+によって活性化されると、下記図表のような健康寿命増進効果が見込めるとされています。
▽『遺伝子改変(NMN摂取)マウスと対照マウスとの違い』
上記図表は、NMNを摂取したことで健康寿命が延びたというマウスの実験結果です。
この実験では、オス・メスそれぞれNMNを摂取した個体と摂取しなかった個体で経過観察を行い、最終的にどういう結果になったかを表しています。
その結果、NMNを摂取したマウス(17~18カ月齢:人間年齢換算60代)で、メス16.4%、オス9.1%もの寿命が延びたと証明されました。そして、加えてその時見せた元気な動きは、3~4カ月齢(人間年齢換算20代)並みの元気だったとのことも証明されました。
▽『加齢とともに減少するNAD+量推移』
しかしその一方で、NMNがNAD+に変換できても、NMNを適切な量で尚且つ、定期的に摂取し続けなかった場合には、変換されたNAD+は年齢とともに減少するため、注意が必要です。
NMNで健康長寿を目指すためにご自身、愛犬に摂取させる際には、定期摂取が必須であると言うことを忘れないようにしましょう。
犬がNMNを摂取することで得られる効果
では、NMN成分を私たち人や犬が摂取することで、どんな効果が得られるのか、また、期待できるのか見ていきましょう。
具体的には、以下のような効果が期待されています。
▼【NMN摂取による犬への主な効果】
・糖尿病の改善
・老化防止、健康寿命の増加
・身体機能の衰え、代謝低下防止
・ミトコンドリア機能向上、エネルギー生成促進
・筋力や持久力の維持
・視力回復
これらのNMN成分の効果は、他にも腸内細菌叢の変化によって、犬が人に対して感染症を引き起こす可能性のある細菌の減少や僧帽弁閉鎖不全症による血液逆流の予防などにも効果的だと言われています。
一般的に犬がNMN成分を摂取するには、錠剤型のサプリメントや粉末、ジェルやリキッドタイプなどが多いですが、ここ最近はおやつにNMNを配合した商品なども販売されているようです。
ただし、流石にこれだけの効果が見込めるため、サプリメントにしてもおやつにしても、相当なお値段が張るものが多いです。
購入を検討する際には、そういった部分のお財布との相談も覚悟した上で購入するよう心掛けましょう。
犬がNMNを摂取する際の注意点
犬がNMN成分を摂取する時には、まずは事前に獣医さんと相談するよう心掛けることが大切です。
と言うのも、NMN製品はペット用としても数多く販売されておりますが、その効果や安全性については、まだ十分に解明されていないからです。
中国ではビーグルを対象にNMN(1,340㎎/日)摂取の研究を行った結果、NMNを投与されたビーグルにおいては、見た目や行動における変化は見られなかったものの、体重増加や血中のクレアチニンと尿酸については増加が見られたとされています。
問題視されるほどの増加ではなかったようですが、軽微であってもクレアチニンと尿酸はどちらも腎臓と関係する部分であるため、愛犬にNMN成分の摂取を検討する際には、どれだけのNMN量が愛犬にとって適切なのか、持病の有無での使用制限などはあるのかといった点は、獣医さんと相談した上で与えるよう注意しましょう。
また、アレルギー体質になりやすい犬種や肥満になりやすい犬種についても注意が必要です。
特に以下の犬種では、油断すると肥満傾向に陥りやすいため、注意しましょう。
▼【肥満になりやすい犬種】
・柴犬
・アメリカン・コッカー・スパニエル
・フレンチ・ブルドッグ
・バセット・ハウンド
・ダックスフンド
・ビーグル
・ラブラドール・レトリバー
NMN成分は、私たち飼い主からしたら愛犬の老化防止や健康長寿の願いを叶えてくれるかもしれない、とても魅力的な成分かもしれません。
ですが、私たち人とは違って言葉を話せない犬の場合、解明しきれていないサプリメントを与える時には、十分注意する必要があり、与える際には愛犬の特性や体調や年齢、持病の有無、また薬を飲んでいる場合には飲み合わせなどについても獣医さんと相談した上で与えましょう。
まとめ
いかがでしたか?
NMN成分は老化防止や健康長寿に直接関係する成分ですが、犬に摂取させる際にはまだまだ注意することが多くあります。
ですが、NMN成分自体の効果には益々の発展が期待されているものでもあるため、摂取の検討をされる際は最新の情報を元に是非ともチェックしてみてくださいね。
<参考サイト>
NMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)投与の安全性について|TEIJIN
>https://life-is-long.com/article/4278
“NMN”ってなんだかわかりますか?|ノア動物病院
>https://www.noah-vet.co.jp/nmn/
NMNの効果!ペットの健康維持に寄与する可能性
>https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000103030.html
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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