毎年、ジメジメ・ムシムシする梅雨の季節が近付いてくると、私たち人でもカビの発生やダニの繁殖に頭を悩ませることが多くなりますよね。
けれど、犬を迎えた人にとってはこの時期、同時に愛犬の外耳炎悪化に繋がらない対策も大切になってきます。
そこで今回は、ジメジメ季節の犬の外耳炎対策と題して、基本的な外耳炎の知識から正しい耳掃除の方法、意外にやってしまいがち!なNG耳掃除方法や注意点などをご紹介します。
<目次>
犬の耳の病気で最も多い外耳炎ってどんな病気?
まず、犬の耳のトラブルで最も多いと言われる外耳炎とは、どんな病気なのでしょうか?
外耳炎とは、一般的に耳の穴の入り口から、鼓膜より外側の炎症までを指す、皮膚疾患の一種とされています。
主に犬が外耳炎になる原因は様々ですが、その多くには、例えばアレルギーであったり、ミミヒゼンダニなどの寄生虫感染であったり、また、外傷、腫瘍、異物などが挙げられます。
▽『犬の耳の構造』
しかし、上記の画像のように犬の耳の構造というのは、耳介から鼓膜までの作りが人のS字型と違ってL字型のため、このL字型の外耳道に炎症が起こってしまうと、痒みやにおいの原因となる耳垢が増えてしまう結果となります。
犬の耳垢というのは、正常であっても茶色い耳垢が確認されることはよくありますが、外耳炎を起こしてしまっている時の耳垢は、色が黒色であったり、黄色や緑色であったり、ベタッとした粘度の高い耳垢であることが多くなります。
また、外耳炎は適切な対処が遅れてしまうとその先の中耳や内耳にまで影響を及ぼしてしまう危険性があり、そうなってしまうと斜頸や眼振といった神経にまで症状が及んでしまう場合があります。
そして、こうした症状は何よりも早期発見・早期治療が肝心です。
外耳炎になりやすい高温多湿の条件が揃いやすい梅雨という時期。
皮膚疾患を持ちやすい犬種を迎えている飼い主さんは、特に注意するよう心掛けておいてください。
外耳炎になりやすい犬種の特徴
外耳炎と聞くと、イメージ的にパッと思い浮かびやすいのは垂れ耳が特徴的な犬種かもしれませんが、それ以外にも以下のような犬種も、外耳炎になりやすい、注意が必要と言われます。
一つずつ、外耳炎に特になりやすいと言われている犬種の特徴を確認していきましょう。
外耳炎になりやすい犬種①:垂れ耳犬種
外耳炎という病気のイメージが付きやすい垂れ耳犬種は、主に、アメリカン・コッカー・スパニエル、ダックスフンド、プードル、ビーグル、レトリーバー、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルなどが挙げられます。
この犬種たちは見た目からも分かるように垂れ耳のため、通気性という面で特に蒸れやすくなります。
梅雨時期はただでさえムシムシ・ジメジメの日が多くなるため、注意深く観察し、少しでも愛犬が耳を痒がるようなら、外耳炎を疑ってみるよう注意しましょう。
外耳炎になりやすい犬種②:皮膚疾患になりやすい犬種
外耳炎になりやすい犬種には、皮膚疾患やアレルギー疾患などを起こしやすい犬種も含まれます。
その犬種は主に、パグやフレンチブルドッグ、シー・ズー、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、柴犬、シェパードなどが挙げられます。
特に立ち耳が特徴的な柴犬やシェパードといった犬種は、一見すると外耳炎とは無縁のような感じに思えるかもしれませんが、皮膚がデリケートな子が多いため、注意が必要です。
外耳炎になりやすい犬種③:耳毛が多い犬種
耳介の表面や周りなどの耳毛が多い犬種も外耳炎になりやすいといった特徴を備えています。
主にその犬種としては、ミニチュア・シュナウザーやマルチーズ、シェットランド・シープドッグ、ヨークシャー・テリア、パピヨンなどが挙げられます。
こうした犬種の多くは垂れ耳犬種同様、外耳道の蒸れが起こりやすく、ムシムシ・ジメジメし始める梅雨の時期には、特に注意深く愛犬の状況を観察する必要があります。
犬が外耳炎になった時に見られる症状って?
それでは、大切な愛犬が外耳炎を発症してしまった時によく見られる症状にはどういったことが考えられるのでしょうか?
愛犬が外耳炎を患ってしまった時の主な症状をいくつか確認してみましょう。
▼【犬が外耳炎になった時の主な症状】
・耳介が赤く腫れている
・しきりに耳を痒がる
・耳の臭いがキツイ
・顔を触られるのを嫌がる
・頭を振る回数が多い
・耳周辺に脱毛が見られる
・耳垢が多い・耳だれがある
以上の項目が、犬が外耳炎になってしまった時の主な症状です。
これら症状は、皮膚疾患を持ちやすい犬種や外耳炎になりやすい犬種の場合、高温多湿の条件が揃いやすい梅雨の時期は特に悪化しやすい傾向にあります。
ただ、元からこうした傾向に注意が必要な犬種の場合、多くの飼い主さんは梅雨がくる前から病院での処方や対策を行っていることが多いため、その点は心配ないでしょう。
心配なのは、急性外耳炎を起こしてしまった場合のワンコです。
こうした急性外耳炎の場合、当然梅雨時期特有のムシムシ・ジメジメが災いして痒みや耳の臭いを引き起こしている場合も考えられますが、必ずしもそういった場合だけとは限らないため、少しでも上記のような症状が見られた際には、出来るだけ早急に動物病院を受診するよう心掛けましょう。
ジメジメ季節の犬の正しい耳掃除方法
まず前提として犬の耳掃除は、ジメジメ季節の影響を受けやすい犬種である場合には、週に1~2回を目安として出来る限りしっかり耳掃除を心掛け、普段から問題のない犬種である場合には、月に1回程度の表面をふき取るだけの耳掃除を心掛けると良いでしょう。
また耳掃除を行う場合は、事前に獣医さんの診察を受けましょう。
それらが行えた上で、用意するものは主に以下の二点です。
▽『犬の耳掃除で用意するアイテム』
1.耳の洗浄液
2.コットン(脱脂綿)
それでは、詳しい耳掃除方法を見ていきましょう。
週1~2回のしっかり耳掃除の場合
出典元:老犬生活|完全ガイド
まずは、ジメジメ季節の影響を受けやすく、且つ外耳炎などの皮膚疾患を発症しやすい犬種の場合の耳掃除方法をご紹介します。
ジメジメ季節に影響を受けやすく、且つ外耳炎などの皮膚疾患を発症しやすい犬種は、可能な限りしっかりと洗浄した方が良いので、次のような手順で耳掃除を行います。
step①『洗浄液を耳から見えるくらいたっぷり入れる』
step②『耳の付け根を軽く揉み、洗浄液を行き渡らせる』
step③『ブルブル!と犬が頭を振ったら出てきた汚れを拭き取る』
この工程を行うにあたって、中には人同様水が耳の奥まで入って行かないか心配される飼い主さんも居るかもしれませんが、犬の場合、耳の内部は前述でも述べたようにL字型になっているため、洗浄液が奥まで入っていてもあまり危険ではありません。
そのため、耳表面に汚れなどが出てきたら、コットンなどで優しく拭き取ってあげてください。
また、耳毛が多い犬種の場合は、事前に毛をバリカンなどで短くしておくと、清潔な環境を保てるのでオススメです。
月1回のお手軽耳掃除の場合
出典元:老犬生活|完全ガイド
続いて、ジメジメ季節とはあまり関係なく、普段の耳のお手入れとして月1回耳掃除を行うだけで良い犬種の耳掃除方法をご紹介します。
こちらは先程とは違って、サッと洗浄液を浸したコットンで優しく耳表面を拭き取ってあげるだけで十分です。
犬の耳掃除と聞くと、なんだか不思議と「しっかりやらなきゃ!」という使命にも似た感覚を覚える人も居るかもしれませんが、犬の耳の表面というのは、擦れば擦るほど傷が付いて外耳炎になる恐れがあります。
そのため、耳に問題のない子の耳掃除の場合には、特に意気込む必要はなく、あくまで優しい手付きで拭き取ってあげてください。
意外にやりがち!犬のNG耳掃除と注意点
定期的な、特にムシムシ・ジメジメしやすい梅雨時期に耳のお手入れをすることによって、犬が発症しがちな外耳炎などを防げる耳掃除ですが、こうした耳掃除の中で、意外に飼い主さんがやりがちな方法に、NGな耳掃除方法が存在します。
それは、綿棒で耳の奥のお手入れをすること。
この方法は、一見犬の耳の奥まで綺麗に出来そうな感じがしますが、実はその反対で、汚れをL字型の外耳道へ追いやってしまいます。
綿棒は確かに使えばある程度汚れは付いてきますが、その代わりに犬の耳を余計に傷つけてしまう危険性があるため、愛犬の耳掃除を行う時には綿棒は使わないよう注意しましょう。
また、これまで正しい耳掃除方法などをご紹介してきましたが、当然のことながら、耳掃除を目一杯嫌がる愛犬やあまりにも外耳炎が酷い場合には、無理に耳掃除を行うようなことはせず、動物病院の先生に洗浄をしてもらうよう心掛けてください。
外耳炎は、急性外耳炎以外は一度なってしまうとなかなか治らず、一旦落ち着いたかと思えば、またひどくなるという厄介な病気です。
特にムシムシ・ジメジメしだす梅雨時期に発症した場合には、それ以外の季節と比べ、さらに悪化しやすい環境が整っているので、愛犬の様子を注意深く見て、適切な耳掃除、対策を行ってあげてください。
まとめ
筆者の2代目シェルティは、我が家に来た当初から外耳炎などが酷く、基本的に暖かくなる季節は毎日と言って良いほど痒がる姿を見せていました。
その上、どんなに定期的な掃除をしても、耳表面の腫れが引かない程ひどい状態の時もあったため、ステロイド剤の服用と病院での耳洗浄を欠かさず行う、の繰り返しだったのを覚えています。
ジメジメ季節の時に発症した外耳炎は、特に痒みやニオイなどが顕著に表れ、悪化もしやすい季節です。発症してしまった時には早めの診察、早めの処置を是非とも心掛けてあげてくださいね。
<参考書籍>
もっともくわしい イヌの病気百科 イヌの病気・ケガの知識と治療
最新版 愛犬の病気百科 気になる初期症状から最新医療までがわかる
老犬生活 完全ガイド
<参考サイト>
バオ動物病院|耳がかゆい!外耳炎の原因と治療について
>https://vets-line.jp/web/bao/1801?url=inu%2Fcat%2Fdermatology%2Fotitis
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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