皆さんは、定期的なお手入れをしているにもかかわらず、愛犬の体が臭うと感じたことはありませんか?
これと言って思い当たることもないのに愛犬の体がくさいと、「もしかして病気…?」というような不安が過ぎってしまいますよね。
けれど、犬が臭う原因が必ずしも病気だけとは限りません。
今回は、犬の体の臭いがキツくなる原因や対処法、臭くなり易い犬種、早期治療が必要な時などを解説します。
<目次>
犬の体がくさいと感じる時の理由って?
犬にとって“ニオイ”というのは、コミュニケーションを図る目的や散歩中に作った縄張りを主張する目的など、重要な役割を示すものです。
しかし時としてその“ニオイ”は、人にとっては『くさいもの』として感じられてしまうことがあります。
基本的に犬の体が普段よりも「くさい」と感じる理由には、その時の犬の状況によりけりの部分がありますが、多くは緊張や恐怖、不安によるものが愛犬の臭いのキツさに直結しているかもしれません。
全ての犬には、肛門の4時と8時の部分に肛門嚢という2つの袋を持ち合わせ、そこには犬が排便する時に分泌する分泌物が溜まっています。
犬種にもよりますが、犬はこの分泌物を排便と同時に排泄することで、自らのテリトリーの主張をします。
また、初対面の犬同士の交流ではお互いの情報を知り合うためのコミュニケーションツールとしても役立てています。
ただ、この肛門嚢は興奮したり、怖がったり、緊張したりした時にも排便の時と同じように肛門括約筋が収縮し、分泌物を排泄する場合があるため、それが結果的に臭いをキツくしている理由の一つとなっている可能性が考えられるのです。
犬の体の“ニオイ”というのは、本来愛犬が大好きな飼い主側からしてみたら【良い匂い】として捉えられることが多いと思われますが、そんな飼い主さんですら、愛犬から『キツイ臭い』が感じられるような場合には、病気に限らず、様々な視点から原因を突き止める必要性がある、ということを覚えておいてください。
犬の体の臭いがキツイ時に考えられる主な原因と対策方法
それでは、犬の体の臭いがキツくなる時に考えられる主な原因にはどういった事柄があるのでしょうか?
いくつかの原因を以下で確認してみましょう。
臭いがキツイ原因と対処方法①:ストレス
犬の体の臭いがキツイと感じる時、その原因として考えられることに、ストレスが関係している事が挙げられます。
例えば多くの犬が嫌がることの多い動物病院の診察時や飼い主さん自身のストレスというのは、愛犬自身にも強いストレスを感じさせます。
筆者の3代目柴犬も、筆者のストレスを感じ取った結果からか、臭いのキツさが際立ったことがあります。
犬の体の臭いがキツくなる原因には、犬自身のストレスのみならず、飼い主さんのストレスを感じることによって起こるストレス臭が考えられるため、注意しましょう。
【ストレスが原因の対処法POINT】
・直近で犬が嫌がるようなところへの訪問や事柄はなかったか
・飼い主さんご自身のストレスで愛犬が怖がったり、不安がったりしたことがなかったか
・生活環境についても何か変化がなかったか
【対処法】
ストレス臭の場合には、そのストレスはそれぞれなので、一つずつ洗い出しを行い、思い当たる原因を突き止めましょう。
ストレスは突き止めまでに時間を要しますが、解消されればストレス臭はなくなることが多いです。
臭いがキツイ原因と対処方法②:体臭
犬には人の脇に存在する『アポクリン腺』という汗腺が全身に分布しているため、その汗が皮脂や雑菌と混ざり合うと体臭として臭いがキツく感じられることがあります。
犬は猫と違って集団での狩りが当たり前で、自分の体の匂いを消す必要性があまりなかったため、今でも自ら頻繁なグルーミングを行うことはあまりありません。
しかし、それを放っておくと体臭のキツさに繋がってしまうため、犬の定期的なブラッシングやお風呂は、常日頃から心掛けてあげてください。
【体臭が原因の対処法POINT】
・何も心当たりがなく、愛犬の様子も変わりがない
・ブラッシングの回数やシャンプーの回数は適切か
【対処法】
通常、シャンプーは身体的な問題がなければ月1回で十分だと言われていますが、皮膚炎がある場合には週2回を限度にシャンプーして様子見しましょう。(※被毛は完全に乾燥させましょう。)
愛犬がシャンプー嫌いならシャンプータオルや濡れタオルの使用やブラッシングを毎日行うのもオススメです。
臭いがキツイ原因と対処方法③:病気
臭いがキツイ原因で忘れてはいけないのが、病気の可能性です。
病気と一言で言っても、その臭いの発生源が耳なのか、口なのか、肛門なのか、それとももっと他の病気が関係しているのかで対処方法は変わってくるため、まずは獣医さんに相談しましょう。
病気で起こるキツイ臭いは、臭いだけではなく、痒みや痛みなど、何よりも愛犬本人が一番ツライ状況なので、適切な処置を心掛けてあげてください。
【病気が原因の対処法POINT】
・愛犬の体に臭いのキツさ以外の異変がないか
・現在の愛犬自身のライフステージはどの範囲なのか
【対処法】
臭いのキツさの原因が病気だった場合、上記でも述べた通り、まずは獣医さんに相談しましょう。
愛犬の体が臭いのキツさ以外に異変がある場合はもちろんですが、愛犬に持病がある場合や愛犬のライフステージがシニアの場合は、異変の有無に関わらず動物病院を受診しましょう。
臭いのキツさが表れやすい犬種
体の臭いのキツさは、犬種によっても違いがあります。
犬種の特徴や毛質の違い、また、雑菌の繁殖のしやすさなど、臭いのキツさが表れやすい犬種を飼養している飼い主さんは、こまめなケアを心掛けましょう。
短頭犬種
短頭犬種に該当するのは、ブルドッグやパグ、ペキニーズといった鼻が短く、皴の多い犬種です。
皮膚のたるみが特徴的なこれらの犬種は、そのたるみや皴の間で雑菌が繁殖しやすく、比較的臭いのキツさが表れやすい傾向にあります。
ダブルコートの犬
春頃と秋頃の2回に渡り、換毛期という毛の生え変わりサイクルがあるダブルコートの犬も、臭いのキツさが表れやすい犬種です。
ダブルコートは定期的なブラッシングなどのお手入れを怠ると、被毛全体の蒸れや雑菌温床に繋がってしまい、臭いのキツさが表れやすくなるため、注意しましょう。
垂れ耳犬種
垂れ耳の犬種とは、ミニチュア・ダックスフンドやアメリカン・コッカー・スパニエル、ビーグルといった犬種のことを言います。
垂れ耳犬種は耳が垂れているために、通気性があまり良くなく、耳の中が蒸れ、雑菌繁殖がしやすい傾向にあり、臭いのキツさが表れやすくなるため、注意しましょう。
よだれが多い犬
マスティフやバセット・ハウンド、セント・バーナードといったよだれを多く垂らす犬種は、被毛に付いたよだれが雑菌の繁殖を促し、臭いのキツさとして表れます。
よだれは比較的大型犬・超大型犬に多く、分泌される量も犬種によって様々なので、こまめなケアを心掛けましょう。
要注意!病気で起こる臭いのキツさは早期発見・早期治療が肝心!
犬には身体的な問題を抱えていなくても、ストレスや定期的なお手入れ、ケアを怠れば、臭いのキツさに繋がる可能性は十分にあります。
ただ、もしもそのどちらも適切に出来ているにもかかわらず、臭いのキツさが軽減しない場合には、例え愛犬に元気があったとしても、動物病院で診察してもらってください。
病気で起こってしまっている臭いのキツさは、目に見えるものが全てとは限らず、人でも犬でも死亡原因第一位にランクインする腫瘍の可能性が考えられます。
特に皮膚の臭いがキツイ病気の場合、最初の診断は多くが皮膚炎の疑いといった診断を受けるため、その延長線上で「臭いがキツイだけ」と飼い主さんが安易に考えてしまうと、危険を伴うかもしれません。
筆者の2代目シェルティは11歳の頃、皮膚疾患持ちだった上に、肥満細胞腫という悪性腫瘍を患った経験があります。
肥満細胞腫は見た目がイボ状だったり、カサブタ状だったりと様々で、悪性度・転移率も高く、浸潤率も非常に高い腫瘍です。
そのため、早期発見・早期治療が不可欠です。
2代目シェルティの場合は、発見した時、早期であったにもかかわらず、すでに0.5mm~1cmのカサブタ状を要しており、その状態で手術に臨みました。
結果は無事成功、他に転移もないまま摘出することが出来ましたが、肥満細胞腫を摘出する時の範囲は、状態によって正常細胞も含めた1cm~5cmほどを余分に切除する必要があります。
そのため、実際にこうした体験をしたからこそ語ることが出来ますが、何かしら愛犬に異変があるような場合には、安易に「これも皮膚炎の影響かな?」と自己判断で終わらせるのは、大変危険な行為です。
皮膚炎自体はすぐに命に関わるような持病ではありませんが、持病がある上でこうした臭いのキツさが体に表れているなら、まずは迷わず動物病院を受診しましょう。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、犬の臭いのキツさにはいくつか種類があることをご紹介しました。ただ、病気で起こる臭いのキツさに関しては、筆者の愛犬のようなパターンも隠れているかもしれないので、自己判断で答えを出すことはせず、獣医さんの判断を仰いだ上で対処してあげてください。
<参考書籍>
愛犬の病気百科 最新版 気になる初期症状から最新医療までがわかる
犬の医学
観察する目が変わる 動物学入門
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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