胃炎や胃腸炎は犬によく見られる病気ですが、実は発症しやすい年齢もあります。
今回は胃炎や胃腸炎が増えやすい年齢や原因、予防のために気をつけたいポイントをお話するので、ぜひ覚えて愛犬の健康管理にお役立てください。
犬の胃炎・胃腸炎ってどんな病気?
胃炎・胃腸炎を発症しやすい年齢などをお話する前に、犬の胃炎・胃腸炎がどんな病気なのかをおさえておきましょう。
▼「胃炎」と「胃腸炎」の違いは?
・「胃炎」→胃に炎症が起きている状態
・「胃腸炎」→胃と腸どちらにも炎症が起きている状態
胃炎・胃腸炎は胃や腸の粘膜に炎症が起こり、下痢や嘔吐などを引き起こす病気です。
胃炎では嘔吐、胃腸炎では嘔吐に加えて下痢も引き起こされます。
1~3日で回復するケースがほとんどですが、1週間以上症状が継続する場合は慢性化や別の病気の可能性も視野にいれて診断されます。
比較的犬に多く見られる病気ですが、症状が長引くと食欲低下や脱水など全身に影響を及ぼす症状も出てくるので、早めに動物病院で診察を受けることが大切です。
犬の胃炎・胃腸炎が増える年齢は?
では、この胃炎や胃腸炎に注意すべき年齢はいつなのでしょうか。
ペット保険のアニコム損害保険株式会社が犬の胃炎・胃腸炎の通院傾向を年齢別に調査したところ、結果は下記のようになりました。
▼年齢別にみた犬の胃炎・胃腸炎の通院傾向(0~12歳の犬297,745頭を調査)
年齢別の通院割合を見てみると、0歳前後の通院割合が非常に高いことがわかります。
その後は年齢が上がるにつれて減少傾向にありますが、7歳前後になると再び通院割合が伸びていることが伺えます。
胃炎・胃腸炎はどの年齢の犬でも発症する可能性のある病気ではありますが、子犬や老犬はとくに発症する可能性が高いので注意が必要です。
ではどうして子犬や老犬は胃炎・胃腸炎の発症が多いのでしょうか。
次章の胃炎・胃腸炎の原因から探っていきましょう。
犬の胃炎・胃腸炎の原因は?
犬の胃炎・胃腸炎の原因はなんでしょうか。
考えられる原因を一覧にまとめてみました。
▼犬の胃炎・胃腸炎の原因
・腐った食べ物を食べた
・食べ慣れないものを食べた(フードの変更など)
・食べ過ぎ
・脂肪分の多いものを食べた
・異物の誤食
・植物を誤植したことによる中毒
・細菌、ウィルスに感染した
・寄生虫に感染した
・アレルギー
・ストレス
一覧を見てみると胃炎、胃腸炎の原因は非常に多いことがわかりますね。
そのため胃炎、胃腸炎を引き起こしている原因の特定が難しいケースも少なくありません。
このようにいろいろな原因で引き起こされる胃炎・胃腸炎ですが、子犬や老犬の発症率が高くなっていたのはどうしてでしょうか。
同アンケートで胃炎・胃腸炎にかかった犬の通院回数を年齢ごとに調べてみると、原因が浮かび上がってきました。
子犬や老犬に胃炎・胃腸炎が多い原因は?
▼胃炎・胃腸炎にかかった犬の通院回数(年齢別)
▼0~2歳の犬の通院回数
・「通院回数1回」60%
・「通院回数2~5回」36%
・「通院回数6~9回」3%
・「通院回数10回以上」1%
▼10~12歳の犬の通院回数
・「通院回数1回」49%
・「通院回数2~5回」35%
・「通院回数6~9回」4%
・「通院回数10回以上」12%
2つのグラフを見比べてみると、0~2歳の犬の通院回数は1回か2~5回が多いのに対し
10~12歳の犬は10回以上の割合も多くなっています。
つまり子犬は数回の通院で回復することが多いですが、老犬はなかなか回復せず通院が長引いていることが伺えます。
胃炎・胃腸炎の原因の中に「異物の誤飲」「食べ慣れないものを食べた」「ストレス」などがありましたが、子犬の場合は「飼いはじめの環境の変化」や「学習不足による誤飲」で胃炎や胃腸炎が起きていると考えられます。
また、老犬の場合は「消化能力の低下」や「免疫力の低下」によって慢性的に胃炎や胃腸炎が起きていると考えられます。
子犬も老犬も症状が長引くと体の負担になるので、早めに対処してあげましょう。
犬の胃炎・胃腸炎を予防するために気をつけたいこと
では犬の胃炎・胃腸炎を起こさないためには、どんなことに注意すればよいのでしょうか。
注意点を一覧にまとめました。
▼犬の胃炎・胃腸炎を予防するための注意点
・消化に負担がかかりそうなものは与えない
・食べ慣れていなものは少量ずつ与える
・年齢に応じたドッグフードを検討する
・散歩中の拾い食いに注意する
・ワクチンを打って予防する(ウィルスや寄生虫が原因の胃腸炎の場合)
・お腹が弱い場合は低脂肪食を検討する
・ドッグフード変更の場合は少量ずつ混ぜて切り替える
食べ慣れないものや消化に負担がかかるものは、胃炎や胃腸炎を引き起こす可能性があるので、与える場合は少量にしておきましょう。
また、散歩中の拾い食いも胃炎・胃腸炎を引き起こす原因になります。
とくに子犬は好奇心から拾い食いをすることも多いので、散歩中は特に注意しましょう。
胃炎・胃腸炎は犬によく見られる病気ですが、特に子犬や老犬は注意が必要です。
子犬も老犬も下痢や嘔吐などの症状が続けば、状態が悪化する可能性もあります。
なにかおかしいと思ったら、早めに動物病院で診察を受けましょう。
<参考URL>
胃炎に気をつけたいワンちゃんの年齢は? アニコム家庭どうぶつコラム
>https://www.anicom-page.com/hakusho/column/pdf/130809.pdf
<参考書籍>
小動物獣医看護学 小動物看護の基本と実践ガイド 上巻・下巻 西田 利穂 (翻訳), 石井 康夫 (翻訳), D.R.Lane B.Cooper
<画像元>
Unsplash
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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