春先になると愛犬が体を痒がり始めるということはありませんか?
春はアレルギー性皮膚炎にかかる犬が増える季節と言われています。
そこで今回は「アレルギー性皮膚炎にかかりやすい犬種」や「注意すべき仕草」をご紹介します。
飼い主さんがお家でできる予防策も一緒にご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
犬の「アレルギー性皮膚炎」ってなんですか?
「アレルギー性皮膚炎」は何らかのアレルゲン(アレルギーの原因物質)に免疫が過剰に反応したことによっておきる皮膚炎のことです。
アレルギーの原因物質には「ハウスダスト」「食べ物」「花粉」「ノミ」などがあります。
皮膚病にはいろいろ種類がありますが「アトピー性皮膚炎」「ノミアレルギー」「食物アレルギー」を総称して「アレルギー性皮膚炎」といいます。
それぞれ症状の現れ方は異なり、アトピー性皮膚炎では顔や耳、指の間、お腹周りなどに強いかゆみを生じます。
また食物アレルギーでは皮膚症状にプラスして便の変化(便がゆるい、回数が増えたなど)も現れます。
個体によっては2つのアレルギーを併発している場合もあるので、慎重に検査や治療を行っていく必要があります。
犬のアレルギー性皮膚炎は春先から増加
ペット保険のアニコム損害保険株式会社が行った「犬のアレルギー性皮膚炎」に関する調査によると、犬のアレルギー性皮膚炎が増える月は下記のようになりました。
▼「犬のアレルギー性皮膚炎の月別請求数」(保険契約で満期を迎えた犬 299,555 頭を対象に調査)
グラフを見てみると2月が一番発症している犬が少なく、3月頃から右肩上に増加していることがわかります。
ではどうして春先にアレルギー性皮膚炎が増加するのでしょうか。
原因として考えられるのが「花粉が飛び始める時期」と「ノミなどの寄生虫が活発になる時期」だということです。
花粉によるアレルギーと聞くと、花粉症のような症状を想像しますが、犬の場合クシャミや鼻水といった呼吸器症状よりも皮膚に症状が現れるケースが多いです。
また春は気温が上がるので、ノミやダニなどの寄生虫の動きが活発になります。
このような理由から春先にアレルギー性皮膚炎が増加傾向にあると考えられます。
アレルギー性皮膚炎にかかりやすい犬種は?
では、特にアレルギー性皮膚炎に注意しておいたほうがよい犬種はどの犬種でしょうか。
同アンケートでアレルギー性皮膚炎の発症数を犬種別に調査したところ、結果は下記のようになりました。
▼「犬種別アレルギー性皮膚炎の発症率」(保険契約で満期を迎えた犬 299,555 頭を対象に調査)
▼「犬種別アレルギー性皮膚炎の発症率」(高い順に表示)
1位:「ウエスト・ハイランド・ホワイトテリア」
2位:「フレンチ・ブルドッグ」
3位:「ワイアー・フォックス・テリア」
4位:「柴」
5位:「シー・ズー」
一番発症率が高い犬種が「ウエスト・ハイランド・ホワイトテリア」で次に「フレンチ・ブルドッグ」「ワイアー・フォックス・テリア」の順になりました。
犬全体の平均が青色で表示されていますが、ランクインしている犬種がいかに発症しやすいかがわかりますね。
ランキングにランクインした犬種の共通点として「皮膚が弱い」「皮膚が敏感」ということがあげられます。
春はまだまだ空気が乾燥している季節です。
皮膚が空気の乾燥の影響を受けてトラブルを起こしやすくなっているところに、花粉などが付着してアレルギー反応を引き起こしていると考えられます。
アレルギー性皮膚炎の予防方法と注意すべき仕草
では、アレルギー性皮膚炎を予防したり、早めに異変に気がついてあげるためにはどうすればよいのでしょうか。
それぞれみていきましょう。
アレルギー性皮膚炎の予防方法は?
▼飼い主さんができるアレルギー性皮膚炎の予防策
・毎日のブラッシング
・体を拭く
・保湿をする
・犬の生活環境を清潔に保つ
毎日のブラッシング
花粉などが皮膚についたままになっていると炎症を引き起こす可能性があります。
皮膚や毛の表面についた花粉をブラッシングで減らしてあげましょう。
体を拭く
外から帰った後は足だけでなく全身をふいて、毛の表面に付着している花粉を減らしてあげましょう。
また外出するときは服を着せて、毛への花粉の付着を少なくしてあげることもオススメです。
保湿をする
皮膚が乾燥していると皮膚のバリア機能がうまく働かないため、皮膚の表面についたアレルゲンが皮膚の中に侵入しやすくなります。
愛犬の体にあった保湿剤をつけて、皮膚のバリア機能を正常に保たせてあげましょう。
犬の生活環境を清潔に保つ
犬が生活する環境の花粉を少なくするのも立派な対策です。
部屋をこまめに掃除しましょう。
また、愛犬が使っている毛布やクッションも花粉が付着していることがあるので、こまめに洗濯してあげましょう。
愛犬の注意すべき仕草は?
下記のような仕草が見られたら皮膚にかゆみを感じているのかもしれません。
▼愛犬にこんな仕草が見られたら要注意
・しきりに耳や体をひっかく
・しきりに皮膚を舐めている
・皮膚に噛み付いている
・皮膚に赤みや発疹が見られる
・耳がにおう
長毛種の場合、毛が長いため皮膚の状態を把握しにくいです。
ブラッシングのときに毛をしっかりめくって皮膚の状態を確認しましょう。
また以前と比べて体を引っ掻いたり噛み付いたりする回数が増えていないかを確認することも大切です。
皮膚と耳は密接に関わっているので、皮膚には症状は出ていないが耳にアレルギー症状が出ているというケースも少なくありません。
皮膚にプラスして耳もしっかりチェックするようにしましょう。
皮膚のトラブルは早期発見・早期治療が鉄則です。
季節の変わり目は、皮膚が敏感な子やランキングに入っている犬種を飼っている方は特に注意が必要です。
今回ご紹介した内容をぜひ愛犬の健康管理に役立ててくださいね。
<参考書籍>
アジア動物スキンケア検定 公式テキスト 動物スキンケア実践ガイド 岩﨑 利郎 (著)
<参考URL>
大掃除で愛犬のアレルギーが改善する理由
>https://magazine.vdt.co.jp/1174/
花粉にも注意!犬のアレルギー性皮膚炎は春先から増加
>https://www.anicom-page.com/hakusho/statistics/pdf/130319.pdf
<画像元>
Unsplash
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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