皆さんは、冷え性に悩まされた経験はありますか?
多くの方、特に女性が悩まされる冷え性ですが、実はその冷え性は犬にも存在します!
犬が冷え性になる原因や身体が冷えることで生じる問題、その対策についてまとめました。
犬の冷え性ってどんなもの?
そもそも冷え性とは、体温には何の異常もないのに、体全体や特に手先や足先などの四肢末端が温まらず、冷えているような感覚を常に自覚している状態の事を言います。
ちなみに手先や足先だけに寒さを感じる冷え性を『末端冷え性』と呼び、冷え性の一種とされています。
人の場合も犬の場合も、冷え性になった際にはこの『末端冷え性』に悩まされることが多いようですが、人も犬も症状を自覚しているのであれば、冬に限らず夏場など、季節を問わず症状を感じます。
特にシニア犬ともなると、体温を維持するための基礎代謝が低下しやすく、また、免疫力や筋肉量の衰えも重なることで、冷え性になりやすくなります。
一般的に、『末端冷え性』を含んだ冷え性の「性」と、冷え症の【症】には明確な違いがあり、
冷え「性」=検査に異常が見られないのに冷たさを感じる
冷え【症】=検査に異常が見られ適切な治療が必要
という定義がなされています。
しかし、実際に【症状を自覚】して自ら対策できるのは、あくまでも人だけで、犬の場合は寒さを自覚していても、その症状を飼い主さんに訴えかけることはなかなか難しいものです。
筆者も含め、冷え性に一度なったことがある人ならご存知かもしれませんが、『末端冷え性』は、指先、足先に対して強い冷たさを感じ、その他体の部位には何も異常がないため、主な対処法はとにかく指先、足先を【温める】ことが最優先となりがちです。
ですが、その相手が愛犬だった場合、且つシニア犬だった時には、その状態が冷え「性」であれ、冷え【症】であれ、安易に自己判断をするのではなく、動物病院での受診を検討することが大切です。
犬の冷え性が起こってしまう原因とは?
では、犬はどんな時に冷え性を起こしてしまうのでしょうか?
冷え性を起こしやすい原因にありがちな場面や状況には、以下のようなものがあります。
冷え性の原因①シニア犬などの高齢
基本的に免疫力の発達が整った子犬や成犬は、あまり心配ないかもしれませんが、高齢期の7歳以上のシニア犬では、基礎代謝の低下や免疫力、筋力の低下が顕著に表れてきます。
それまでなら例えジッとしていても寒さに対抗できる基礎代謝量や筋肉量の多さが、年齢を重ねると少なくなるため、冷え性になる可能性が高くなってしまいがちです。
ペット鍼灸イベントに参加した8歳以上のシニア犬の約8割が冷え性(冷え性気味)だったという結果も示されているため、7歳以降のシニア犬は、基礎代謝量や筋肉量の衰え、免疫力の衰えに特に注意しましょう。(※株式会社AEI INTER WORLD(アエイインターワールド)運営・ペット事業【ヘルシーアニマルズ】調べ)
冷え性の原因②散歩中の立ち話
犬友さんの多い飼い主さんだと、散歩中ついつい立ち話に花を咲かせてしまうことも珍しくないかもしれません。
しかし、その立ち話の間の愛犬は、仲の良いワンちゃんと遊んでいる場合であったとしても、長時間冷えたアスファルトの上や外気に晒される状態となってしまいます。
犬の肉球は凍傷にすら耐え得るだけの皮膚構造となっていますが、犬用靴を苦手とする愛犬にとっては、冷たいアスファルトの上は素足の血流を悪くするには十分過ぎる材料なので、犬友さんと話しをする際は、どこかゆっくり休める場所で、愛犬にも負担が掛からないよう注意しましょう。
冷え性の原因③小型犬種やシングルコート犬種
体重に対して表面積が大きく、体の熱を放熱しやすい小型犬やシングルコートの犬は、冷えやすい傾向にあります。
上記で体の異常は見られないのが冷え性だとお伝えしましたが、体が実際に冷えることは、血行の巡りを悪くすることに変わりありません。
血流が行き届かない状態になれば、冷え性になる可能性は十分考えられます。
トイ・プードルやマルチーズ、ヨークシャー・テリア、イタリアン・グレーハウンドなどの犬種はシングルコートの持ち主なので、注意しましょう。また、ダブルコートであっても、チワワでスムースコート(短毛)である場合も寒さに弱い犬種なので同様に注意しましょう。
冷え性の原因④運動不足
散歩時間が短かったり、上記と重複してしまいますが、シニア犬になって足腰の衰えや基礎代謝が衰えてしまうことは、冷え性の原因となる可能性があります。
シニア犬になると、散歩の距離や歩くスピードが極端に減ってしまうことも珍しくはないため、つい短時間で終わらせる飼い主さんも多いかもしれません。
しかし、陽に当たって日光浴をさせてあげることは、血行の促進や筋肉量や骨密度の衰え防止、基礎代謝のアップ、免疫力向上、体内時計の狂いの正常化など様々なメリットがあるため、ペットカートを上手く使うなどの工夫で、運動不足にならないよう注意しましょう。
犬の冷え性が引き起こす身体への影響
それでは、犬が冷え性になることで体に起こってしまう悪影響をここではご紹介します。
消化器への影響
冷え性自体は病気という訳ではないですが、愛犬が下痢や軟便などの消化器症状を起こしている時には、腹部と同時に足先が冷えて、冷たい状態の時があります。
腹部の冷えは、免疫機能のおおよそ70%を賄っていると言われる腸に悪影響を及ぼすため、シニア犬は特に早急な対応を心掛けましょう。
関節への影響
冷え性のせいで血流が悪くなると、関節などに影響が出ます。
特に小型犬は膝蓋骨などを傷めやすいため、例えばビッコを引いていたり、丸まって散歩に行きたがらなかったり、足先を触った時に冷たさだけでなく、嫌がるような素振りを見せた場合には、冷え性によって関節へ悪影響を及ぼしているかもしれません。
泌尿器への影響
犬が体の冷えを感じている場合、冷えによって腎臓への血流量が低下し、腎臓病の症状に影響を及ぼします。
寒さというのは、愛犬の飲水量の低下にも関係しているため、尿の濃縮による尿石症、膀胱炎などの悪影響にも注意が必要です。
循環器への影響
犬が冷え性になってしまうと、血液の循環などに直接影響を与える循環器にも影響が及びます。
通常、愛犬が体に冷えを感じると、体は全身を温めようと血管を収縮して血圧を上げようとします。そのような場合、心臓はいつも以上に強く、早い動きを必要とするため、心臓病や心臓が弱い犬にとって、冷え性は悪影響となってしまいます。
犬が冷え性にならないための対策
シニア犬が冷え性になりやすいとはいえ、子犬や成犬がならないとは限りません。そのため、犬が冷え性にならないための対策としては、子犬や成犬とシニア犬や持病がある犬では、気を付けてあげるべきポイントが異なります。
それぞれの対策方法を確認してみましょう。
▼【子犬や成犬の冷え性対策】
・運動量を増やす
・ご飯の量を見直す
・被毛のブラッシングをこまめにする
子犬や成犬の冷え性では、持病さえなければ基礎代謝量や筋肉量のアップ、免疫力の向上などはシニア犬や持病がある犬と比べてそこまで難しいものではないはずなので、運動量の見直しや、ご飯の量の見直しを中心に、日々のブラッシングをすることで、温かい空気を蓄えやすくしたり、血行の促進を促してあげましょう。
▼【シニア犬や持病がある犬の冷え性対策】
・運動量を増やす
・マッサージをする
・体を温めるご飯を与える
・ヒーターや湯たんぽで温める
一方でシニア犬や持病がある犬の冷え性対策は、血行促進を促すためのマッサージや鶏肉やヤギミルクを温めたものを食事として取り入れる、また、犬用のヒーターや湯たんぽで外側から直接愛犬を温めてあげることで対策しましょう。
運動量の増加については、確かに基礎代謝や筋肉量のアップ、免疫力のアップを見込めるため、増加することはとても重要です。
しかし、この方法は無理のない範囲で行うことが大切で、関節が弱い子や筋肉量が低下している子に対しては、ペットカートに乗せて公園の芝生を歩かせてあげるだけでも、十分冷え性対策の効果を期待できるでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
冷え性は、人にだけではなく、犬にも起こり得る症状です。
大切な愛犬が冷え性によってツライ思いをする前に、愛犬の冷え性対策、そして筆者のように現在進行形で『末端冷え性』に悩んでいる飼い主さんは、今の内から対策するよう気を付けてくださいね。
<参考サイト>
【ご注意ください】ワンちゃんの冷え性が増えています!|HEALTHY ANIMALS
>https://healthyanimals.jp/blog20230611/
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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