「目の病気」と聞くと、どんなイメージを持っているでしょうか。
めったにかからない特別な病気というイメージがあるかもしれませんが、犬がかかりやすい病気のランキングでは6位にランクインしています。
しかし犬は人のように「目に痛みがある」「目がかすむ」と言った症状は話してくれないので、気がついたときには病気が進行してしまっていたというケースも少なくありません。
そこで今回は「目の病気にかかりやすい犬種」や「目の病気を発症しやすい年齢」をご紹介しますので、愛犬の健康管理に役立ててくださいね。
犬がかかりやすい病気ランキング「目の疾患は6位」
ペット保険のアニコム損保が保険契約をしている621,450頭の犬を対象に行なった犬の疾患別の統計調査(2022年)によると、保険請求額が多い病気は下記のようになりました。
▼犬がかかりやすい病気ランキング
▼犬がかかりやすい病気トップ7
1位:「皮膚疾患」25.6%
2位:「消化器疾患」24.5%
3位:「耳の疾患」15.6%
4位:「全身性の疾患」12.4%
5位:「筋骨格疾患」11.4%
6位:「眼の疾患」10.5%
7位:「泌尿器疾患」6.7%
グラフを見てみると「目の病気」は6位にランクインしていることがわかります。
10頭に1頭の犬がなにかしらの目の病気にかかっていると考えると、少なくない数字なのではないでしょうか。
また、犬の目の病気の難しいところは、飼い主さんが異変に気が付きにくいところです。
目の痛みや違和感が「怒りっぽくなった」「食欲が落ちた」といった一見目の病気と関係ない症状で現れることがあります。
そのため飼い主さんが「何かおかしい」と感じて受診したときには病気が進行していたというケースも少なくありません。
今回ご紹介する目の疾患にかかりやすい犬種を飼っている方は、特にいち早く異変に気がつけるように注意しておきましょう。
目の病気にかかりやすい犬種は?
では、特に目の疾患に注意したほうがよい犬種はどの犬種でしょうか。
ペット保険のアニコム損保が行った「犬の眼科疾患」に関する調査によると、目の病気にかかりやすい犬種は下記のようになりました。
▼犬種別発症率: 2011 年4月1日~2012 年3月 31 日までの間契約満期を迎えた犬 292,290 頭(0歳~10 歳)を対象に調査
▼目の病気にかかりやすい犬種トップ5
1位:「シー・ズー」
2位:「パグ」
3位:「キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル」
4位:「フレンチ・ブルドッグ」
5位:「マルチーズ」
目の病気に一番かかりやすい犬種は「シー・ズー」で次に「バグ」「キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル」の順となりました。
グラフを見てみると、犬全体の平均が赤い点で表示されていますが、平均と比べるとランキングに入っている犬種がいかに発症しやすいかがわかります。
では、目の病気にかかりやすい犬種にはどういった共通点があるのでしょうか。
目の病気にかかりやすい犬種の共通点
ランキングにランクインしている犬種を見てみると、「2つ」共通点があることがわかります。
▼目の病気にかかりやすい犬種の共通点
・頭短種が多い
・顔周りに長い毛が多い
ランクインしている犬種を見てみると、頭短種の子が多いですね。
頭短種の眼球は大きくて前に出ていることが多いです。
そのため、散歩中に落ちている木の枝で眼球を傷つけてしまうなど目の怪我をするリスクが高いです。
眼球が傷ついたことで目の病気を発症する可能性は高いので、目の病気を発症する犬種に頭短種が多いと考えられます。
また、顔周りの毛が長いと目に毛が入りやすいため、目に刺激が多いです。
そのため、顔周りの毛が長い「シー・ズー」や「ヨークシャー・テリア」も目の病気にかかりやすいと言えます。
「犬がかかりやすい目の病気」トップ3は?
これまで内容で「目の病気にかかる犬は多いこと」と「目の病気にかかりやすい犬種」がおわかりいただけたと思います。
では、どんな目の病気にかかることが多いのでしょうか。
犬がかかりやすい目の病気トップ3をご紹介します。
▼犬に多い目の病気トップ3
1位:結膜炎
2位:角膜炎
3位:角膜潰瘍参照元: https://www.anicom-page.com/hakusho/statistics/pdf/131003.pdf
犬がかかりやすい目の病気「1位:結膜炎」
白目の部分をおおっている膜を「結膜」といい、その部分におきた炎症を「結膜炎」と言います。
結膜炎の原因は多く、花粉やシャンプーなどが目に入って起きることもありますし、逆さまつげやアトピーの症状のひとつで起きることもあります。
「黄色い目やにが出る」「目を細めたり擦ったりする」「白目の部分が赤くなっている」といった症状が見られたら、すぐに動物病院で診察をうけましょう。
犬がかかりやすい目の病気「2位:角膜炎」
「角膜」は黒目の表面の一番外を覆っている膜のことで、その部分に起きている炎症を「角膜炎」といいます。
「結膜炎」と同じように「角膜炎」も原因が多く、自分で目を引っ掻いたことによって炎症がおきることもありますし、乾燥や異物が目に入って炎症が起きることもあります。
軽度の場合は点眼治療が主な治療になりますが、傷が深い場合や炎症が悪化している場合は外科治療が必要になる場合もあります。
「目をしょぼつかせる」「涙が多くなる」「目を頻繁にこする」といった症状が現れたら、早めに動物病院にいきましょう。
犬がかかりやすい目の病気「3位:角膜潰瘍」
先ほど「角膜」は黒目の表面の一番外を覆っている膜だとお話しました。
その角膜部分に傷がつき、傷が深くなった状態を「角膜潰瘍」といいます。
状態が悪化した場合、角膜に穴があくこともありますし、治療してもきれいな角膜に戻らないこともあります。
目の疾患にかかりやすい年齢は?
最後に目の病気が発症しやすい年齢についてお話します。
ただ、発症しやすい年齢と病気の種類によって発症しやすい年齢はそれぞれ異なるので、2つにわけてご紹介したいと思います。
目の病気を発症しやすい年齢は?
年齢別に目の病気の発症率を調べたところ、発症率は下記のようになりました。
グラフを見てみると0歳から6歳ごろまで発症率はそこまで大きく伸びていませんが、7歳をすぎると緩やかに上昇していることがわかります。
そのため、愛犬が7歳を迎えたら目や仕草のチェックをこまめに行うようにしましょう。
ただ、目の病気の中には「遺伝」が原因で発症するものもあります。
その場合は、7歳より前に発症する可能性があるので、目の病気にかかりやすい犬種はとくに注意しておいた方がよいでしょう。
病気の種類によって発症しやすい年齢が違う?
目の病気別に目の病気の発症率を調べたところ、発症率は下記のようになりました。
結膜に炎症が起きる「結膜炎」の発症率は全年齢を通して大きく変わらないのに対し、水晶体の濁りで視覚に影響がでる「白内障」は年齢が高くなればなるほど、発症率は高くなっています。
7歳を過ぎたら動物病院の定期検診で目をチェックしてもらい、日常的には「目を気にする」「目に赤みが出ている」などの異変が起きていないかをチェックして重症化しないようにすることが大切です。
目の病気は特別な病気というイメージがありますが、実際にはかかる犬は多く、飼い主さんが気付きにくい病気です。
悪化すると外科手術が必要になる場合もあるため、目の病気にかかりやすい犬種や発症しやすい年齢が近づいたら、健康診断でチェックするようにしましょう。
<参考URL>
10 月 10 日は目の愛護デー ~犬の眼科疾患を調査~
>https://www.anicom-page.com/hakusho/statistics/pdf/131003.pdf
アニコム家庭どうぶつ白書
>https://www.anicom-page.com/hakusho/book/pdf/book_202212_2_1.pdf
目の病気はとても多い 長野どうぶつ眼科センター
>https://www.sakura-komoro.net/ndgc/knowledge/
<画像元>
Unsplash
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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