夏場の熱中症や脱水症状は犬にとっても危険な病気です。
人なら夏場はこまめな水分補給を心掛けられるものの、犬だとなかなかそういう訳にもいかず、シニアのワンちゃんだと特に気になってしまいがち。
犬に水分を与える時、基本的に推奨しているのは水、または犬用飲料ですが、もしもご自宅に犬用の飲料を備えていなかったら…?
今回は、犬が熱中症になってしまった時に犬用飲料がない時の対処法と注意点をご紹介します。
<目次>
水以外で犬用飲料が推奨される理由
結論から申し上げれば、犬に熱中症や脱水症状が起こった際、水以外で犬用飲料が犬に推奨される理由は、ズバリ、犬の体に適切な割合、また負担にならないような栄養価の配合で作られているからです。
犬用飲料は、ミルクであれば乳糖がカットされたものがあり、補水液であれば犬の体液に近いイオン(電解質)バランスを考えて作られています。
犬も人同様体内の60%~70%は水分で出来ているため、当然日々の水分補給はとても大切です。
一般的に犬の体内にある水分が5%失われた場合は、乾きなどの熱中症が始まり、その水分が10%以上失われる事態となってしまった場合は脱水症状を引き起こして、それ以上を失ってしまうと臓器に悪影響が起き、最悪の場合死に至る危険性があると言われています。
これら熱中症や脱水症状のメカニズムは人と似ているので、「なら、人用のポカリスエットを与えてもOKだよね?」と感じてしまうかもしれませんが、そのまま与えてしまうのは危険です。
犬が熱中症や脱水症状を引き起こすメカニズムは、人とほぼ同様ではあるものの、やはり犬と人では体格差に違いは生じているので、人用飲料の与え方を誤ると、肥満や腎臓への負担などが考えられます。
そういう意味でも可能であるのなら、犬用飲料によって熱中症や脱水症状を改善するのが適切で、水以外で何か愛犬に水分補給となると、犬用飲料が推奨されるのもそのためです。
愛犬が熱中症なのに犬用飲料がない場合の対処法
普段から『備えあれば患いなし』の精神で、犬用飲料のストックがあったりすれば良いのですが、通常犬が飲むものは水道水、またはミネラルウォーターがほとんどなので、犬用飲料がない飼い主さんの方が多いのではないでしょうか?
そんな時に愛犬が熱中症を引き起こし、ペット専用の経口補水液やポカリスエットのような飲料がない場合には、以下のような対処法が役に立ちます。
対処法①:人用スポーツドリンクを3~4倍の水で薄めて飲ませる
本来、人のイオン(電解質)バランスに合わせて作られているスポーツドリンクも、犬が熱中症による脱水症状を起こしている場合には、水分補給をさせることが大前提です。
そのため、もしも犬用のはないけど、人用のスポーツドリンクならある!というのであれば、そのスポーツドリンクを3~4倍の水で薄めて愛犬に飲ませてあげましょう。
対処法②:水1ℓ+砂糖約20g+塩約1.5gを溶かした即席補水液を飲ませる
人用のスポーツドリンクはない、または出来れば犬のイオン(電解質)バランスに近い飲料を与えて熱中症や脱水症状を改善したい場合には、『水1ℓ+砂糖約20g+塩約1.5g』で作る即席犬用補水液があります。
犬が通常必要とする一日当たりの水の目安量は、基本的に体重1kgにつき50~60㎖とされています。
そのため、愛犬が脱水症状を起こしていて自力で飲めない場合には、最低でも体重1kgにつき10㏄以上をシリンジなどを使って飲ませてあげましょう。
対処法③:水道水に香り付け程度の牛乳を混ぜて飲ませる
本来であれば、乳糖などの影響で下痢や嘔吐に繋がってしまう可能性がある牛乳も、香り付け程度の量を水道水に混ぜて与えることで熱中症や脱水症状の対処が可能です。
特にシニア犬の場合には、通常の水道水には目もくれない時も多いかと思うので、急を要する事態の時には、牛乳を少量水道水に混ぜて愛犬の嗅覚を刺激して飲ませてあげましょう。
対処法④:カフェインの含まれていない麦茶を飲ませる
カフェインの含まれていない…、と言っても、通常麦茶は他のお茶とは違って大麦を原料としたお茶なので、基本的にはカフェインは含まれていません。
そのため、愛犬が熱中症や脱水症状を起こし、水もなかなか飲んでくれない時には麦茶を飲ませてあげることもオススメです。
麦茶には熱中症、脱水症状の際に欠かせないミネラル成分を豊富に含んでおり、血液をサラサラにする作用も期待できるので、脱水症状を起こしている時には愛犬に少量ずつ飲ませてあげましょう。
応急処置で人用飲料を愛犬に飲ませる時の注意点
まず、これまでご紹介した方法はあくまでもいざという場合であって、基本的には、上記でもすでにお伝えしましたが、犬が熱中症や脱水症状を引き起こしてしまった時には、出来る限り犬用飲料を飲ませてあげることが最善です。
犬用に作られているものであれば、愛犬の体への影響を難しく考える必要がなく、与えても問題ない量をいちいち調べる、計算するといった煩わしさは生まれません。
そもそも人用スポーツドリンクは、皆さんもご存知の通り人のイオン(電解質)バランスに合わせて作られている飲料なので、熱中症や脱水症状対策のためとはいえ、愛犬に与え過ぎれば肥満や塩分の影響によって腎臓、心臓への負担原因になります。
牛乳を薄めて水分補給させる方法も、通常乳糖の分解を苦手とする犬には、後々下痢や嘔吐を引き起こしかねないため、あくまでも香り付けという観点で与える必要があります。
さらに、麦茶を飲ませて熱中症や脱水症状の対処をする場合も、ブレンド麦茶なのか、純粋に麦茶なのかでも変わってくるでしょうし、麦茶は大麦を原料としているため、穀物アレルギーが愛犬にあるなら、他の方法で熱中症、脱水症状を改善する必要があります。
犬と人のイオン(電解質)バランスにほぼ違いはありませんが、それでもやはり多少の違いは生じるため、水道水を愛犬が飲んでくれるならあえて人用飲料を与える必要はありません。
何より体格差、体重比率などを考慮するなら、100%愛犬にとって安全なものを選ぶのが良いでしょう。
ただし、熱中症や脱水症状というのは、その日の天候や気温、湿度によっていつ発症するか分からないのも事実のため、少なくとも即席の経口補水液の作り方に関して言えば、いざという時には役立つ対処法だと思うので、頭の片隅にでも留めておいていただけると幸いです。
まとめ
犬は、人の場合と違って体温調節の機能を担うエクリン線が限られた場所にしか分布されていないため、熱中症や脱水症状になりやすいと言われています。さらに、言葉で「暑い」、「苦しい」といった意思表示を示すことも愛犬にはできないため、特に幼犬やシニア犬は気付いた時には重症になっていたなんてこともあり得る事態です。
愛犬の熱中症対策を徹底するなら、出来れば普段から犬用飲料は常備しておくと安心です。基本的に犬用飲料の使い道は、熱中症や脱水症状だけではなく、災害時に断水してしまった時にも一時的な常備水として使用することが可能なため、そういった観点で置いておくとオススメですよ。
<参考書籍>
決定版 犬と一緒に生き残る防災BOOK
いぬ大全304
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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