どの年齢の犬でも骨折には注意が必要ですが、特に1歳未満の子犬に骨折が多く発生しているという事はご存じでしょうか。
骨折をすると子犬は痛い思いをしますし、治療期間が長いため見ている飼い主さんも辛くなります。
そこで今回は、「骨折が起きやすい子犬の月齢」や「子犬の骨折防止対策」などを解説していきますので、子犬を飼っている方やこれから子犬を飼おうと思っている方は、ぜひ参考にしてくださいね。
子犬には「骨折しやすい月齢」がある?!
下の図はアイペット損害保険株式会社が契約者の保険金請求実績データに基づき、「子犬の年齢と骨折の発生割合」を調べたグラフです。
データを見てみると、子犬の骨折が発生しやすい年齢は下記のようになりました。
▼子犬の月齢別骨折発生割合(調査件数669件)
生後3カ月頃から骨折が発生する割合がだんだんと高くなり、生後10カ月でピークを迎えていることがわかります。
つまり、お家に子犬を迎えてから3カ月から10カ月の間が一番骨折が発生しやすく、注意が必要な時期であるという事です。
では、どうしてこの月齢の子犬に骨折が多く発生しやすいのでしょうか。
次章で骨折が多く起きる原因を探っていきましょう。
子犬の骨折をまねく3つの原因
3カ月から10カ月の子犬に多く骨折が発生する原因はなんでしょうか。
考えられる原因は「3つ」あります。
▼子犬の骨折をまねく3つの原因
①子犬の危険に対する経験や学習が未熟
➁骨が未完成でもろい
➂飼い主さんの認識が不足している
①子犬の危険に対する経験や学習が未熟
犬はお家に来て様々な経験を通して、状況判断能力を身に着けたり、危険なことに対する学習をしていきます。
しかし、子犬はまだ「これは危険」「これは安全」という危険に対する認識や学習ができあがっていません。
そのため「段差のある場所から飛び降りる」「階段を降りる」などの危険な行為を躊躇なくしてしまい、それが骨折に繋がっています。
➁骨が未完成でもろい
1歳未満の子犬の骨は成長途中のため、未熟でもろいです。
特にトイプードルやポメラニアンといった小型犬の骨は細く、強度も弱いです。
「フローリングで転ぶ」「飼い主さんのひざから飛び降りる」といったちょっとした衝撃でも簡単に骨折をしてしまいます。
➂飼い主さんの認識が不足している
子犬を飼う方の中には、はじめて犬を飼うという方も多いと思います。
犬を飼うための事前知識が不足していると、「フローリングにマットやカーペットを敷いていない」「犬の正しい抱っこ方法を知らない」「階段を上り下りさせる」といった骨折に繋がりやすい環境や行動を取ってしまうことがあります。
飼い主さんの本音、骨折治療で辛かったこと
子犬を骨折させてしまうと「痛い思いをさせて申し訳ない」「もっと気をつけていれば」といった後悔の気持ちが強くなりますね。
しかし実際に骨折を経験した飼い主さんの経験談を見てみると、後悔の気持ちだけでなく、治療の過程でも様々な辛い事や苦労があったことが見えてきました。
愛犬が骨折をしてしまうと「どんなことが起きるのか」「どんなことが辛いと感じたのか」実体験から学んでいきましょう。
▼愛犬が骨折して辛かったこと
・治療中に遊んであげられない
・完治までにかかった治療費
・愛犬の痛そうな様子
・愛犬のストレス
・通院回数が多かったこと
参照元:https://www.ipet-ins.com/uchihap/bone/
骨折をすると麻酔をかけて骨同士を繋ぎ合わせる手術を行い、ギプスで固定します。
骨同士が繋がるまで少なくとも数カ月かかるので、その間は室内で安静に過ごさなくてはなりません。
そのため全身を使った遊びや十分な運動はできませんし、ギプスを外さないようにつけられるエリザベスカラーでトイレや水を飲むのも一苦労になります。
遊びたい盛りの子犬が満足に動けず、日に日にストレスを溜めていく姿を見るのは非常に辛いでしょう。
骨折をすると手術に加えて通院も必要になります。
骨がくっつくまでの間、仕事や家事の合間をぬって何度も通院をしなければなりません。
また手術や入院、通院の総額を含めると20~70万円かかることもあるそうです。
通院の回数や治療の費用が飼い主さんの大きな負担になることが伺えます。
そして何より、子犬が骨折しやすい時期は子犬の「社会化期」に当たります。
社会化期は色んな人や物、環境に順応させるのに最適な期間ですが、この時期に骨折をしてしまうと行動が制限されるため、社会化を満足に行うことが難しくなります。
子犬の骨折を防ぐためには?
これまでの内容をみていくと「子犬に絶対に骨折させたくない」という気持ちになった方も多いのではないでしょうか。
では、子犬に骨折をさせないにはどういったことに気を付ければいいのでしょうか。
ポンイトは「4つ」あります。
▼子犬を骨折させない4つの対策
①フローリングにマットやカーペットを敷く
➁ソファーやベッドなどに乗せない
➂正しい抱っこの方法を覚える
④コマンドが出たら落ち着けるように訓練
①フローリングにマットやカーペットを敷く
アイペット損害保険株式会社が飼い主さんに行ったアンケートによると、骨折が起こった原因の第3位は「フローリングでの転倒」でした。
最初にお話ししたように、子犬の骨は細くて弱いので「フローリングで転ぶ」「座っている飼い主さんの膝から降りて転ぶ」といった、ほんのちょっとの転倒で簡単に骨折が起こってしまいます。
転倒防止のためにフローリングの上には、カーペットやマットを敷きましょう。
➁ソファーやベッドなどに乗せない
骨折というと高い所から落ちるイメージがあるかもしれませんが、骨折はわずか30cmの高さでも起こります。
つまり、ベッドやソファーの高さから飛び降りると、骨折をする恐れがあるという事です。
骨折防止のために日頃からソファーやベッドの上には乗せないように注意をして、段差がある場所の前には柵を置くなど、落下を無くす工夫をしましょう。
➂正しい抱っこの方法を覚える
抱っこからの飛び降りで骨折するという事故も少なくありません。
原因のひとつに犬の正しい抱っこの仕方を覚えていないということが考えられます。
骨折防止のために、正しい犬の抱っこ方法を覚えましょう。
下の記事では「犬の正しい抱っこ方法」をご紹介していますので、よろしければ合わせて読んでみてくださいね。
▼こちらの記事もオススメです!
④コマンドが出たら落ち着けるように訓練
子犬が興奮して走り回ったりソファーに飛び乗るくせかあると、骨折事故を起こす可能性が高くなります。
子犬が興奮したときに「待て」「おすわり」などで落ち着かせることができるのも、骨折対策として有効なので、日頃から訓練を行うようにしましょう。
子犬は骨折しやすい生き物ですが、どの年齢で骨折が起きやすいのか、どういったことが原因で骨折が起きるのかを知ることで事故を未然に防ぐことができます。
今回ご紹介した内容を参考にして、骨折対策にぜひお役立てくださいね。
<参考URL>
子犬の骨折と月齢の相関性について分析結果を発表
>https://www.ipet-ins.com/info/28392/
<参考書籍>
小動物獣医看護学 第3版 上下巻
<画像元>
Unsplash
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
最新記事 by 伊藤さん (全て見る)
- 「犬の歯が欠けやすいオヤツ・オモチャ5選」選ぶときのポイントや歯が欠けたときの対応も解説 - 2024年10月29日
- 「犬の睡眠が足りないとどうなる?」犬の睡眠不足がまねく病気や睡眠不足のサインを解説 - 2024年10月22日
- 「習慣化で病気をまねくおそれも」犬の皮膚や毛、耳によくないNG習慣 - 2024年10月18日
- 「犬が自分の尻尾を噛むのはなぜ?」尻尾を噛む理由と止めさせるために大切なことを解説 - 2024年10月7日
- 「犬を散歩しないとどうなるの?」散歩に行く理由や散歩に行かないと起きる影響を解説 - 2024年10月5日