愛犬が健康な生活を送っていくうえで「動物病院選び」はとても重要です。
ただ一口に動物病院と言っても、動物病院の規模や設備、獣医師さんの考え方や診療費などは各病院によって大きく異なります。
そんな中で、「ここになら愛犬を任せられる」と思えるに動物病院に出会えるのは本当に幸運なことです。
今回は、そんな「動物病院選びでのポイント」や「動物病院の情報はどう集めればいいの?」といった疑問を解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
飼い主さんが「かかりつけ医を選んだ」決め手は?
皆さんがかかりつけ医を選ぶときに「決め手」となるものはなんでしょうか。
ベッツワンプレスに掲載された「動物病院に来院する飼い主の意識調査」によると、飼い主さんがかかりつけ病院を選んだ理由は下記のようになりました(上位5回答を表示)。
▼かかりつけ動物病院を選んだ理由を教えてください(回答者数4,726名)
1位「家から近い」57.2%
2位「獣医師がよく話を聞いてくれる」49.2%
3位「獣医師の説明がわかりやすい」49.1%
4位「獣医師が自分やペットのことをよく理解してくれる」39.2%
5位「受付の対応が良い」36.2%
選んだ理由のトップは、「アクセスの良さ」となっていますが、それ以降は「獣医師がよく話を聞いてくれる」や「獣医師の説明がわかりやすい」など、獣医師さんやスタッフの方の対応が動物病院を決めるうえで重要な決め手になっているという結果になりました。
動物病院に来るときは、ペットの体調不良で不安を抱えていることが多いですね。
そんな中で話をよく聞いてくれたり、わかりやすい説明をしてくれたり、対応のよいスタッフさんがいる病院であれば「この病院に通いたい」という気持ちになるのもわかります。
では、動物病院の対応以外で病院の良し悪しを選ぶポイントはどこにあるのでしょうか。
次は、動物病院を選ぶときの基準をポイント4つにしぼってお話ししていきます。
動物病院を選ぶときのポイント4つ
「この動物病院は良い病院だ」「悪い病院だ」と感じるポイントは人によって違います。
そのため今回お話しする内容は、万人にとって良いポイントではないかもしれません。
ただ、動物看護師目線、飼い主目線の両方から見て、「ここは外せない」「こういった配慮は素敵だな」と感じるポイントをご紹介していきますので、ご自分と愛犬に合う動物病院選びの参考になれば幸いです。
▼動物病院を選ぶときのポイント4つ
①立地について
➁動物病院の建物について
➂待合室について
④診療について
①立地について
▼「立地」で大事なこと
・気軽に通い続けられる場所か
・駐車場にゆとりがあると◎
先ほどの意識調査でも「アクセスの良さ」が動物病院を選ぶ決め手になっていましたね。
飼い主さんの移動手段にもよりますが、通院時間は短いに越したことはありません。通い続けても負担に感じないくらいの距離の動物病院を選びましょう。
また立地上難しいこともありますが、駐車場にゆとりがあると車で通う時に安心です。
車の中で診察の順番を待つ場合もあるので、駐車場では多くの車とすれ違います。駐車場の保有台数やスペースに余裕があると嬉しいですね。
➁動物病院の建物について
▼「動物病院の建物」で大事なこと
・動物病院の建物が清潔に保たれているか
・匂い対策をしっかり取っているか
「商品棚に埃が積もっている」「薬や検査キットがむき出しで転がっている」「棚が整理されておらず物を取るたびに何か落ちる」残念ながらこういった動物病院は存在します。
そんな状態の動物病院は、手術室や入院室の衛生状態も不安になりますし、人手が足りずに色んな管理が行き届いていないのではと心配になります。
匂い対策も含めて病院全体が清潔に保たれているかは、動物病院選びのとても重要なポイントです。
➂待合室について
▼「待合室」で大事なこと
・待合室の広さ
・待合室に工夫がされている
・予約診療、待ち時間の可視化などを行っている
待合室は動物病院での大半を過ごす場所なので、人もペットも待ちやすい工夫がされているといいですね。
いろんな状態のペットが行きかう場所なので、視線や移動が鉢合わせしないように広さがあったり「右側は犬専用」「左側は猫専用」などスペースを区切って距離を空ける工夫を取ってあると、ペットのストレス軽減に役立ちます。
また人気の病院であればあるほど、患者さんは増えるので待ち時間は長くなります。
ペットの体調不良という不安の中で「待ち時間が長い」「順番がわからない」というのは辛いことなので、「予約診療を行っている」「待ち時間や順番が可視化されている」「待合室に展示物がたくさんある」など待ち時間が苦痛に感じないように配慮してあると、患者さん目線の病院だなと感じます。
④診療について
▼「診療」で大事なこと
・飼い主さんが理解しやすい工夫をしている
・行われる検査や治療を事前に説明してくれる
・セカンドオピニオンを受けやすい
病気や検査の説明は専門用語が出てきて理解するのが難しいです。
そのため模型や図、ディスプレイなど目で見て理解しやすい物を使いながら、説明してくれるとわかりやすいですね。
また、治療や検査を行う上で大切なのは「説得」ではなく「納得」です。
飼い主さんの不安を解消できるように「全体の流れを説明する」「選択肢を出し相談しながら一緒に決めていく」など、相手の心に寄り添った診療をしてくれると安心ですね。
病気の治療方法は多岐にわるたので、1つの病院で対応できないという場面は必ず出ていきます。
そんな時に、より専門性の高い病院を紹介してくれたり、ホームページにセカンドオピニオンのことが明記してあったりすると、安心して通うことができます。
「診療費が安い=良い病院」ですか?
「○○の病院は良心的な値段だから良い病院」「▲▲の病院はやたら検査を勧めてきて治療費が高額になった、悪い病院だ」ということをよく耳にしますね。
治療費は動物病院を評価するうえで、大きなポイントになりがちですが「診療費が高額だから悪い病院」「診療費が安いから良い病院」とは一概にいえません。
動物病院の裁量によって料金体系が決められるので「これは高い」という料金設定をしている病院もゼロではありませんが、診療費が安いのはそれなりの診療しか行っていなかったり、必要な検査を飛ばしている可能性もあります。
大事なのは1つのことに対して高い安いと判断するのではなく、払う診療費に対して飼い主さんが「それに見合う治療ができた」と納得できるかどうかではないでしょうか。
例えば、
「Aが原因で調子が悪いのだと思うけど、Bが原因かもしれない。○○の検査をすればどちらか原因がわかるのだけど、やってみませんか?費用は××円くらいです。」
このように診療のときに「なぜ必要なのか」「何にいくらかかっているのか」を含めた話がされていれば、その後の不満感はグッと下がります。
診療は商品ではないので、明確な費用を提示するのが難しい場合が多々ありますが、飼い主さんが納得できる診療を行う努力をしている所はたくさんあるので、金額だけではなくそういった配慮をしている病院を選びましょう。
動物病院の情報はどう集めればいいの?
では、自分にあった動物病院の情報はどう探せばよいのでしょうか。
▼動物病院の情報の集め方
・ホームページをみる
・犬友達や近所の方にオススメの動物病院を聞く
・ネットの口コミで探す
・認定医で探す
最近は自院のホームページ内でブログやSNSをやっている獣医師さんもいるので、その方の考え方や動物に対する姿勢がよくわかります。
また実際に通っている生の声が聞けるので、犬友達にオススメの動物病院を聞くのも良いでしょう(良い面と悪い面両方聞くと◎)
ネットの口コミも情報源としてはよいのですが「誰が書いているか」「正しい情報か」が明確ではないので、参考くらいで見るとよいでしょう。
日本動物病院協会では、高度な専門知識を持っている認定医がいる動物病院を検索することができます。
認定医から動物病院を探していくのも、一つの手です。
>https://www.jaha.or.jp/
飼い主さんにとって自分にあう動物病院選びは悩ましい問題ですね。
自分にあう動物病院を見つけるために、今回お話しした内容をせひ参考にしてみてくださいね。
<参考URL>
動物病院に来院するペット飼い主の意識調査
>https://www.vetswan.com/tool/column/satisfaction/116
<参考文献>
飼主の動物病院選択基準と治療方針選択時における意思決定 杉田陽出
<画像元>
Unsplash
Pixabay
写真AC
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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