一昔前よりも室内で生活することが多くなった犬。
皆さんは、愛犬のノミやマダニ対策はどうしていますか?
「毎日部屋は掃除してるし、うちの子痒がっても居ないから大丈夫」
と、甘い考えのまま愛犬のノミ・マダニ対策を怠っていると、もしかしたら取り返しがつかないことになってしまうかも!?
今回は、そんな取り返しのつかないことになる前に知っておきたい犬のノミ・マダニ対策や注意点などをご紹介します。
<目次>
犬に寄生するイヌノミ・ネコノミ
ノミは羽を持たない小型の吸血昆虫ですが、日本でノミ目として分類されているノミは約80種類にも及ぶと言われています。
中でも犬や人などに寄生するネコノミが、現在一般的なノミとして大多数を占めている寄生虫になります。
症状としては様々で、寄生されても無症状で終わる犬も居れば、激しい痒みを伴う犬も居ます。
イヌノミとネコノミの違いは、頭部の形がネコノミの方がやや尖っているという特徴と、実験室内でネコノミは継代が可能であったというくらいで、体長は共に雄1.2~1.8mm、雌1.6~2.0mmです。
また、イヌノミ、ネコノミの寄生対象は相手を選びません。
そのため、ネコノミだから猫だけに寄生するわけではなく、犬でも人でも寄生するということを覚えておいてください。
ノミより怖いマダニの恐ろしさとは?
草むらや葉の先端に潜み、犬に寄生するマダニ。
ダニは昆虫ではなく、クモやサソリと言った節足動物で、その中でもマダニは屋外に生息する大型のダニです。
肉眼でも確認できるサイズで、血を吸うと赤黒く、大きさも膨れ上がるため見つけるとついつい触って取りたくなるかもしれませんが、決して引き千切るように取ってはいけません。
マダニの口器(こうき)は棘状になっているため、無理に取ってしまうとその口器(こうき)だけが残り、後に炎症を起こす可能性があります。
マダニの寄生は、ノミとは違ってほとんど痒がることがありません。
そのため長毛犬種の場合、随分時間が経ってから気付くことが多いかもしれませんが、見つけても決してご自分で取らないように注意してください。
ノミやマダニが感染源の感染症
ノミやマダニの基礎的な知識が分かったところで、続いてはノミやマダニを感染源とする感染症についてご紹介します。
そもそも、ノミやマダニは犬だけではなく人にも感染する人畜共通感染症ですが、ノミでは、「ノミアレルギー性皮膚炎(ノミから分泌される物質による)」、「ノミ刺咬性皮膚炎(刺された刺激による)」、「瓜実状虫症」、「猫ひっかき病」などの感染症を媒介し、発症してしまう場合があります。
一方マダニでは、「日本紅斑熱」、「ライム病」、「バベシア症」、「重症性熱性血小板減少症候群(SFTS)」という病気を媒介しているため、発症する危険性があります。
愛犬がノミやマダニに刺されないための対処法
ではここからは、屋内・屋外問わず生息するノミやダニだけではなく、屋外に生息するマダニに対して、具体的には、どんなことに気を付ければノミやマダニから愛犬を守ることが出来るのか、一つずつ見ていきましょう。
ノミ駆除対象はノミの全ライフサイクルを断ち切ること!
ノミに寄生される前から行う駆除対策として最も有効な手立ては、日頃の生活環境の掃除です。
基本的にノミは、成虫になって初めて犬に寄生し、吸血します。
それまでは、ノミが1日に産んだ3~20個の卵が2~12日間かけて孵化、9~15日間(最長200日)かけて蛹にまで成長、その後3~5日間かけて羽化します。
もしもノミを見つけた場合には、徹底した室内の清掃、犬がよく使うソファやクッション、シーツやカバーなどもしっかり洗浄した上で乾燥するようにしましょう。
ノミは60℃以上だと死滅する程熱に弱く、また乾燥した環境も嫌うため、こういった点に注意することで、ノミの駆除を図ってください。
散歩の際は犬にも害がないダニ忌避スプレーを使用する
自然環境下では水平的に移動することは少なく、犬などの宿主の大きさに合わせて垂直的に草や枝を上るマダニは、犬の接近を呼気に含まれる二酸化炭素を感知して見つけていると言われています。
そのため、愛犬を散歩させる時に、忌避スプレーなどを使用してマダニを近づけさせないようにしましょう。
マダニはノミと違って孵化から幼ダニになった段階から犬に寄生し、吸血します。
その後脱皮を繰り返し、若ダニ、成ダニとなって、その都度吸血を繰り返した後、吸血から3~11日の期間を経て草むらで産卵します。
マダニは吸血する際、抗炎性の唾液を一緒に分泌するため、人はもちろん、刺されたことに気付かないわんちゃんも珍しくありません。
ですので、わんちゃんだけではなく、飼い主さんご自身も使えるような虫避けスプレーは効果的です。
ノミ・マダニの駆除薬の開始は4月が目安
一般的にノミは気温が18℃以上になってから、マダニは15℃以上になってからが活動が活発になる温度です。
丁度春先の4月から秋頃の11月までは、過ごしやすい陽気と温度のため、この頃は特にノミ・マダニの駆除に加え、フィラリアの予防もするように心掛けましょう。
現在は、スポットオンタイプ(皮膚に垂らすタイプ)だけではなく、チュアブルタイプ(食べるタイプ)、おやつタイプのものも多く、ノミ・マダニだけではなく回虫やフィラリア駆虫も一気に出来てしまう薬が、動物病院で出してもらえるので、愛犬に合った薬を選んであげると良いでしょう。
ただ、ノミについてもマダニについてもペットの環境によっては一年中生息できる場合もあるため、一概にこの期間だけ予防すれば良いという訳ではなく、見つけた際には都度駆除する必要があるため、注意してください。
愛犬がノミやマダニに刺されてしまった時の注意点
肉眼で確認できないノミならまだしも、肉眼で確認できるほどの大きさだと言われるマダニでも、時として刺されてしまう時があります。
それは犬だけではなく人でも同様ですが、万が一ノミやマダニに刺されてしまった場合、何に気を付ければよいのでしょう?
ノミとマダニで注意しておきたい点を分けて、一つずつ確認していきましょう。
ノミに刺された場合の注意点
もしも愛犬が知らない内にノミに刺されてしまっていた場合、主に注意しておきたい点は以下の3つです。
・ノミの体を絶対に潰さない!
・ノミは水に弱いためシャンプーをして応急処置!
・刺された直後痒みが発生したらエリザベスカラーで皮膚を保護!
ノミの場合は、ノミ取りコームなどで愛犬の被毛をブラッシングしてあげると比較的容易に取れます。そのため、その後ノミを潰さなければ、ノミの体の中にある卵を潰すことなく処理ができます。
ただし、除去した後は念のため動物病院で薬を処方してもらうのも忘れないようにしてくださいね。
マダニに刺された場合の注意点
それでは続いて、もしも愛犬がマダニに刺されてしまった場合に注意しておきたい点は以下の3つです。
・マダニの体を絶対に潰さない!
・マダニは触らず無理に取ろうとしない!
・除去する場合は必ず動物病院で獣医さんに取ってもらう!
ノミよりも厄介なのはこちらのマダニの方で、マダニは先程もお伝えした通り、体を潰さないように気を付けることに加え、絶対にご自身で取り除いてはいけません。
マダニは1週間近く吸血する節足動物ですが、吸血が終わるとマダニ自ら犬から剥がれ落ちて草むらに産卵します。
ただ、それを待っていたら何があるか分からないのがマダニの怖さなので、見つけた際にはすぐに動物病院で獣医さんに取り除いてもらいましょう。
まとめ
ノミやマダニは人や犬が生活する上で、とても身近にいる存在です。
しかしマダニは、寄生した犬が急死する可能性がある「バベシア症」や犬と人に共通する「ライム病」の病原体を持ち合わせておりますし、ノミは雄・雌共に吸血をし、ノミの成虫を1匹見つけた場合には卵、幼虫、蛹などの成長途上の予備軍は20匹以上潜んでいると言われています。
また、マダニの雌は1匹だけでも1㎖の吸血量に及び、子犬や小型犬では貧血、栄養障害を起こしかねず、多数寄生された場合には、局所刺激によって精神不安になることも分かっています。
犬を飼育していると、今や切っても切れない室内飼育や散歩ですが、本格的にノミやマダニが活動し始めるこの『春』という季節、早めの対策を心掛けてあげてください。
<参考書籍>
いぬ大全304
最新版 愛犬の病気百科
<参考サイト>
犬・猫におけるノミ寄生:病態・診断・治療・予防
>https://www.eiken.co.jp/uploads/modern_media/literature/MM1302_06.pdf
たかや動物病院
>https://www.takaya-ah.com/archives/350
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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