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100%死に至る!?【狂犬病】ってどんな病気?日本の狂犬病ワクチン接種率低下の危険性

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致死率100%と言われる恐ろしい病気【狂犬病】。

日本でずっと発生していないのに、なぜワクチン接種する必要があるの?と疑問に思う飼い主さんも多いでしょう。

しかし、日本は現在、狂犬病のワクチン接種率低下が問題視されています。その原因と症状、ワクチン接種の大切さについて世界の状況を踏まえながら見ていきましょう。

世界一致死率の高い狂犬病とは?

狂犬病は人類史上もっとも危険な疾患と言われており、世界一致死率の高い病気としてエイズと並んでギネスに認定されています。狂犬病に感染するとほぼ100%が死亡する恐ろしい病気です。

狂犬病は人間を含めた哺乳類すべてに感染することから人畜共通感染症のひとつでもあります。WHOの報告では2017年に世界で年間59,000人もの人が狂犬病で亡くなっています。

【世界の発生状況(WHO2017年)】

  • 年間の死亡者数推計 59,000人(うち、アジア地域35,000人、アフリカ地域21,000人)
  • 年間の暴露後ワクチン接種者推計 1,500万人

日本国内でも狂犬病予防法が施行される1950年以前では狂犬病の犬が多かったため、人への感染が広がり、多くの人が死亡していました。

しかし、狂犬病予防法の制定により飼い犬の登録と狂犬病予防接種、野良犬の捕獲収容が徹底されてから7年で狂犬病の撲滅に至り、日本は現在、狂犬病洗浄国となっています。

狂犬病はどのように感染するのか

狂犬病は狂犬病ウィルスを保有している哺乳類からの咬み傷や引っ掻き傷から感染します。感染源の多くは狂犬病の犬に咬まれることが原因です。

【狂犬病の感染源に多い動物】
・犬
・猫
・コウモリ
・キツネ
・スカンク
・アライグマ

対象となる動物は犬だけではない事を覚えておきましょう。人から人へ感染することはありません。

【日本の狂犬病の発生状況】

1953年

1954年

1955年

1956年

1970年

2006年

2020年

死者数

3人

1人

0人

1人

1人(※1)

2人(※2)

1人(※3)

犬の発生数

176頭

98頭

23頭

6頭

発生なし

発生なし

発生なし

※1 ネパールを旅行中、犬に咬まれ帰国後発病、死亡した輸入症例
※2 フィリピンを旅行中、犬に咬まれ帰国後発病、死亡した輸入症例
※3 フィリピンで犬に咬まれ、入国後発症、死亡した輸入症例

<引用元:厚生労働省(狂犬病)https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/

2020年2月に日本国内で14年ぶりに狂犬病を発症した患者が確認されたという報道がありました。

愛知県でフィリピンから帰国した男性が狂犬病を発症し死亡しました。男性はフィリピンで足首を犬に咬まれていたそうです。

少し前の2006年にもフィリピンの旅行先で犬に咬まれ、帰国後に狂犬病を発症し死亡する例がありました。

日本は既に狂犬病洗浄国のため、記憶から遠のき始めている狂犬病ですが、狂犬病は過去の病気ではないのです。

狂犬病の恐ろしい症状

人の場合、犬に咬まれてから狂犬病が発症するまでの潜伏期間の多くは1~3カ月以内と言われています。しかし、1年から2年後、最長は7年後に発症した事例もあります。

傷口から唾液とともに侵入したウィルスは増殖し、脊髄を通りゆっくりと脳神経組織を侵していきます。

風邪のような初期症状と傷口のかゆみやしびれから始まりますが、進行するとその神経症状はすさまじいものがあり、強い不安感や異常行動、幻覚、錯乱、発作、痙攣、麻痺などが起こります。

水を飲もうとすると激しい喉の痛みや痙攣発作が起きるため水を見るだけで怖がるようになります。このことから恐水症とも呼ばれています。

症状が現れてから2日~7日後に昏睡し死に至ります。

犬の場合、感染すると激しく興奮したり、攻撃的になったりする場合と、全身に麻痺が広がり食べ物や水が飲み込めなくなる2つのタイプがあります。

狂犬病の予防と治療

【予防方法】
・事前の狂犬病ワクチン接種
・海外で動物に近寄らない
・犬に咬まれた直後の傷口の消毒
・暴露後ワクチン接種

残念ながら、狂犬病に対する「治療法」は現在も確立されていません。

狂犬病リスクの高い流行国へ渡航の際は必ず事前に狂犬病ワクチンを摂取してから行くことが大切です。そして海外ではむやみに動物に近づかないようにしましょう。

もし、狂犬病の疑いがある動物に咬まれてしまった場合はすぐに傷口を洗い消毒し、狂犬病ワクチン接種(暴露後摂取)を直ちに行うことで発病を予防することができます。

狂犬病のワクチンを常備している医療機関は少ないため、事前に保健所や最寄りの病院に問い合わせして調べておくことが大切です。

狂犬病ワクチンの義務と罰則

狂犬病の9割が犬に咬まれることによって起きています。

今の日本で狂犬病の発生は無いため感染の心配はありませんが、万が一ウィルスが国内侵入してきた場合に備え、狂犬病予防法により飼い犬の市区町村への登録と狂犬病予防接種は飼い主の「義務」となっています。

この義務を怠ると、20万円以下の罰金の対象となります。

【狂犬病予防法による飼い主の義務】
・飼い犬の市区町村への登録
・飼い犬へ年1回の狂犬病予防接種
・飼い犬の鑑札・注射済票の犬への装着
※義務を怠ると20万円以下の罰金

義務違反が判明した例

愛犬が咬傷事故を起こしたときに、相手から狂犬病予防接種を受けているか問われることで、義務違反が見つかり罰金が科される場合が多いようです。

ワクチン副反応が怖い場合

老犬や病気の犬でワクチンの副反応がどうしても怖い場合はかかりつけの獣医師に相談しましょう。場合によっては「狂犬病予防接種実施猶予証明書」を発行され免除してもらえます。

日本の狂犬病ワクチン接種率の低下が問題に

年1回の接種が義務付けられた狂犬病予防接種ですが、ここ最近、日本の接種率が低下の傾向にあるようです。

99%を超えていた接種率は令和2年には犬の登録総数の約70%、登録していない犬を含めた推定飼育頭数で言うと約50%という現状です。

ウィルスのまん延を防ぐためには接種率70%をキープする必要があります。

日本の狂犬病ワクチン接種率

日本では狂犬病は長らく発生していないため、副反応を考慮すると打つ必要性が感じられない飼い主が増えてきているそうです。

さらに新型コロナの影響により集団接種が至る所で中止など更なる接種率の低下が見込まれています。

これはとても危険なことです。お隣の韓国では根絶に至り一度は洗浄国となったものの、人々は安心してしまい再びワクチン接種をしない犬が増えました。

接種率が20%代まで落ち込んだころ、国内に狂犬病が侵入しウィルスがまん延してしまい、今でも完全に排除しきれていない状況となってしまいました。

現代では国際化が発達し、動物の流通形態もさまざまです。いつどこで狂犬病が国内に侵入するかわかりません。日本もこのままでは近い未来、韓国と同じようなことが起こるかもしれません。

まとめ

狂犬病は発症するとその症状も悲惨で、ほぼ致死率100%のとても恐ろしい病です。日本の狂犬病ワクチン接種率50%は危険な状況だと言うことをお伝えしました。

これ以上低下すると再度まん延の危険性があることを認識し、飼い主は義務を怠らないようにしたいものです。

<参考URL>

厚生労働省(狂犬病)
>https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/

<参考文献>

J-STAGE(韓国における狂犬病の現状と展望)
>https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvma1951/49/3/49_3_212/_pdf

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石田 凛理子

石田 凛理子

神奈川県在住のフリーライター
フラワーアレンジメント講師
2人の息子の母
実家でパグの出産、育児を経験し、
現在はトイプードルの男の子と暮らしています。
みなさまの愛犬にお役に立てる情報を発信していきたいです。
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