ワンちゃんの好きなもののイメージには『飼い主』や『お肉』など、様々あると思いますが、『犬といえば骨!』と思い浮かべる人も少なくないのではないでしょうか?
実際、犬のおやつには、○○ボーンや○○軟骨といったまさに犬が喜んで飛び付きそうな骨おやつが数多く販売されています。
本日は、なぜ犬が骨を欲しがるのか、骨を与える時の注意点や与えるメリット・デメリットをご紹介します。
犬はなんで骨を欲しがるの?
犬が骨を欲しがる理由の一つには、祖先から受け継がれてきた遺伝的な習性が関係しています。
そもそも、犬の祖先にあたるオオカミやハイエナ、ジャッカルやコヨーテは自然界の【掃除屋】と呼ばれるほど、自分たちが捉えた獲物だけではなく、他の動物が食べ残した獲物の骨まで残さず全て食べつくし、栄養という栄養を余すことなく取り入れていました。
そのため、野生の犬の仲間は顎や歯の強さに加え、骨の消化も可能にしてしまう消化器官を持ち合わせています。
ただ、それは現在も野生で生き抜くオオカミやハイエナに言えることであって、現代の犬はあえて骨を食べなくても、ヒューマングレード基準で作り上げられたドッグフードや飼い主さんが丹精込めて作ってくれる手作り食のおかげで、ほぼ栄養の供給は出来ていますよね。
では、それでもなぜ犬は、骨を目の前にすると喜んで食べ始めるのか?
それは、骨に含まれる【味】が犬の食欲をそそるからです。
骨には、例えおやつとして加工されているものであっても、愛犬が大好きな肉の繊維や香りが残っていて、犬はその骨に付いた肉の繊維や風味を味わうために、骨を欲しがるのです。
また、骨の中に含まれる『骨髄』には、犬が必要とするタンパク質や脂質、ビタミンやミネラル、コラーゲンなど、豊富な栄養がギュッと詰まっていて、犬はこの骨髄の【味】も好むので、骨を欲しがる子が多いのですね。
犬に骨を与える時の注意点
では、どんな骨であっても犬に与えても良いのか?と言われれば、答えは『NO』です。
骨には鶏や豚、牛、鹿、馬、サーモンなどの魚と色々な種類がありますが、与え方によっては愛犬に危険だとされる骨もあるため、犬に骨を与える前に知っておきたい注意点をまずは確認しておきましょう。
【犬に骨を与える時の主な注意点】
・最初から大量に与えない
・体格に見合わない硬すぎる骨・大きすぎる骨は与えない
・愛犬の食べ方によっては縦に割ける骨は念のため与えない
・骨を与える時は誤飲しないよう決して愛犬から目を離さない
以上が愛犬に骨を与える際に知っておきたい最低限の注意事項です。
骨は、犬の大きさにもよりますが、一般的にそれまで骨を食べてこなかった犬が、喜ぶからと突然たくさん骨を口にすると、下痢や嘔吐などの消化不良を起こしたり、カルシウムの摂り過ぎによる便秘を起こしたりする可能性があります。
また、硬すぎたり、大きすぎたりする骨は、場合によって歯肉炎を起こす可能性があるため、愛犬に骨を与える際は、その子の大きさにあったサイズを与えるように心掛けましょう。
さらに、もしもご自身の愛犬がドッグフードなどを丸飲みするタイプのワンちゃんなら、念のため加熱すると骨の繊維が縦に割けてしまう鶏の骨や豚のスペアリブを与えるのは胃腸を傷付ける原因になる可能性があるため、避けた方が無難です。
そして最も大切な項目が、犬に骨を与える時の飼い主さんの対応です。
犬に骨を与えると、夢中になってその骨にしゃぶりつくワンちゃんは多いものですが、骨は食べ終わるまで結構時間が掛かるので、「大人しく愛犬が骨を楽しんでいる間に何か別の事を…」と考えてしまう飼い主さんは多いかもしれません。
しかし、小型犬なんかは特に物を喉に詰まらせやすいことが多いので、骨を与える時にはその間は決して目を離さないようにしましょう。
犬に骨を与えて得られるメリット
それでは、犬に骨を与えて得られるメリットをご紹介します。
上記でもお伝えしましたが、犬にとって骨は、骨自体に【味】があって、とても魅力的なおやつの一つです。
そんな骨を食べることで愛犬が得られるメリットには、以下のようなことが挙げられます。
▼【犬に骨を与えるメリット】
・ストレス発散に効果がある
・歯や顎、認知能力を鍛えられる
・歯石除去に効果がある
・栄養補給に効果がある
ストレス発散に効果がある
犬も人と同じように日々の生活の中でストレスを抱える生き物です。
飼い主さんとの遊び時間や散歩時間が不十分だったり、お留守番時間が長かったりすれば、寂しさやツラさも感じることでしょう。
そういった時のストレス発散のおやつとして、骨を与えることはとても最適です。
犬は元々何かを齧ることが大好きな動物なので、思いっきりガジガジと齧ることが出来る骨は、なかなか愛犬との時間を取れない飼い主さん、愛犬にとっては大きなメリットの一つです。
歯や顎、認知能力を鍛えられる
犬の性格や特徴にもよりますが、ドッグフードを丸飲みするのが普通な犬に骨を与えることは、歯や顎、認知能力を鍛えられるメリットになります。
何かを噛むことは脳に刺激を与えて認知力向上に繋がると言われますが、それは犬でも同じで、骨をしっかり噛むことによって認知能力の衰えも軽減することが出来ます。
歯石除去に効果がある
犬の口腔内は基本的にアルカリ性で出来ているため、虫歯にはなりづらいという特徴があるものの、歯周病にはなりやすいので、歯垢をそのまま放置しておくと、それが歯石となって、愛犬の口腔内に悪さをしてしまう場合があります。
骨を与えることは、そんな歯石の影響で歯周病ができやすい犬にとっては歯磨き効果を発揮してくれる、とても大きなメリットの一つです。
栄養補給に効果がある
骨と言えばカルシウムですよね。
犬に与える骨のカルシウムは、犬の骨や歯を丈夫にしてくれる栄養素であるだけでなく、被毛や爪など、愛犬の体を構成しているタンパク質、『骨髄』にはアミノ酸やコラーゲンなども含まれているため、ドッグフード+αでおやつに骨を与えることは、愛犬の栄養補給に繋がり、とても大きなメリットの一つです。
犬に骨を与えて起こるデメリット
それでは逆に、犬に骨を与えて起こってしまうデメリットをご紹介します。
骨は適切に摂取すればとても効果的なものですが、与え方次第で起こるデメリットには、以下のようなことが挙げられます。
▼【犬に骨を与えるデメリット】
・硬い骨は歯の破折やエナメル質を傷付ける
・与え過ぎると便秘になる可能性がある
歯の破折やエナメル質を傷付ける
上記でも少しご紹介しましたが、体格に比べて大きい骨や硬い骨を犬に与えることは、歯肉炎などの原因になるだけでなく、歯の破折やエナメル質を傷付ける原因に繋がる場合があります。
愛犬に骨を与える際には長時間噛み続けるものではなく、1本に付き5分~10分程度で食べ終わるものを選ぶようにしましょう。
もしも一本が長めの骨であれば、飼い主さんの手で一定時間与えるか、食べやすい大きさに折るなどの工夫で対処しましょう。
与え過ぎると便秘になる可能性がある
先程は栄養補給としてカルシウムを摂ることは、骨や歯の強化などに役立てられるとご紹介しましたが、そんな骨も与え過ぎれば、逆に便秘の原因になる可能性があります。
カルシウムは摂らなさすぎても骨粗しょう症やくる病などの原因になりかねませんが、摂り過ぎてもそれはかえって便秘や消化不良の原因となってしまうため、骨を与える際にはその子の体重にあった用量を与えるように心掛けましょう。
まとめ
以前は犬に与える骨の中で、鶏の骨は加熱すると縦に割けて危険と言われていましたが、現在はしっかりと咀嚼すれば消化にも影響がなく、安全性も高いと言われるようになりました。
確かに、筆者の初代柴犬も、その当時子供で無知だった筆者が与える鶏の骨を美味しそうに食べていましたが、しっかり咀嚼する子だったので何ら問題はなく、むしろ骨折知らず、歯磨き知らず、その上認知症知らずの健康優良児のような子だったのを覚えています。
ただ、どんなに咀嚼するような子であっても、愛犬に骨を与える際にはしっかりと目の届くところで与えるように心掛けてあげたいものですね。
<参考書籍>
犬を飼う知恵
オオカミと野生のイヌ
<参考サイト>
POCHI TOKYO ポチの幸せ|犬に鶏の骨を与える時の常識が変わっていた!以前と今ではどう違う?情報アップデート
https://www.pochi.co.jp/ext/magazine/2022/09/dogs-and-bone202208.html
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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