春は様々な植物が芽吹く季節ですが、皆さんは愛犬を連れて山菜採りに行った経験などありますか?
フキノトウやノビル、ゼンマイ、タラの芽、ウド…、苦味やクセはあるものの、てんぷらにしたりお浸しにしたりすると、美味しい山菜も、犬が思わずパクッ!としたら、ちょっと慌てちゃいますよね。
そこで今回は、犬が食べてもOKな春の山菜3選と犬が食べたらNGな春の山菜3選をご紹介します。
犬が食べてもいい山菜と食べられない山菜の違い
犬が食べてもいい山菜と食べられない山菜の違いはズバリ、肝臓毒など、犬にとって毒となりうる成分が入っているかいないかの違いと言えます。
春の山菜は、“山菜”と言われる言葉からも分かるように、多くが苦味やエグミを持ち合わせる食材です。
仮に愛犬と一緒に山菜採りに出掛けたとしても、その苦味やエグミから、犬の味覚が【苦いもの=毒】という認識をすれば、例え食べられる山菜を採取したとしても、手を出さないという子が多いかもしれません。
しかし、犬の性格においては、例え同じ犬種であったとしても、何でも食べちゃう食いしん坊なワンちゃんも居れば、好奇心旺盛で初めて見るもの触るものにはまず口を付けてから試してみる!というワンちゃんなど、犬によって様々です。
基本的に春の季節は、寒かった冬から暖かくなる春の気温に順応するため、人の体同様犬の体も季節の変わり目の準備で、代謝を上げたり老廃物の排出を促したりして、季節の変化に備えます。
しかし、そんな時、負担がかかってしまうのが肝臓です。
本来デトックス作用に効果的な春の山菜は、人であれば問題ない食材ですが、犬にとっては種類により全く真逆の毒となってしまう場合があるため、警戒心が強いワンちゃんであっても、逆にとっても好奇心旺盛なワンちゃんであっても安心して山菜を与えられるように、事前に与えても良い山菜なのかどうかを知っておく必要があるということを覚えておきましょう。
犬が食べても良い山菜3選
それでは、ここでは犬が食べても問題のない山菜3選をご紹介します。
大前提として、しっかりとした下処理や調理は必要なので、生で与えないようにだけ注意してください。
犬が食べてOKの春の山菜① タラの芽
まず春の山菜で犬が食べても問題ない食材はタラの芽です。
タラの芽は、抗酸化作用やがん・老化予防に効果的なβカロテンや利尿作用があるカリウム、血圧や体温調整などに欠かせないマグネシウムなどの栄養価が豊富に含まれている食材です。
一般的に山菜というと、アクの強さやエグミ、苦味の強さが際立つイメージですが、タラの芽は比較的これらが少なく、食べやすい特徴があります。
また、タラの芽と聞くと真っ先に思い浮かぶのは『タラの芽の天ぷら』かもしれませんが、犬にタラの芽を食べさせる際には、「茹でる」か「炒める」のどちらかで与えるようにしましょう。
下処理をする場合、タラの芽についている黒っぽいハカマと言われる部分を丁寧に取り除き、綺麗に水洗いをした後、沸騰したお湯で茹でて冷水で冷ます過程でアク抜きを行いましょう。
アク抜きが出来ている目安としては、少し齧ってみて苦味やエグミを感じなければ大丈夫です。
犬が消化不良にならないように、細かく刻んで、あくまでも少量からトッピングや手作り食のお供として与えてあげましょう。
犬が食べてOKの春の山菜② クレソン
茎にも栄養が豊富なクレソンは、別名「オランダカラシ(和蘭芥子)」と呼ばれ、犬に与えても大丈夫な山菜です。
クレソンは、血液凝固作用のあるビタミンKや目や皮膚の粘膜に作用するビタミンA、抗酸化作用があるビタミンCやカリウムなどが豊富に含まれており、摂取しにくい鉄の吸収を促す食材です。
クレソンについては生で与えても問題ありません。
生で与える場合は水洗いをした後、細かく刻んで与えてあげましょう。
ただし、クレソンはアブラナ科のため、甲状腺機能に問題があるワンちゃんは、控えるように注意しましょう。
また、クレソンを食べやすくするのであれば、水に溶けやすく熱に弱いとされるビタミンCなどの栄養価を出来るだけ逃がさないように、加熱時間は出来るだけ短く茹でてから、細かく刻んで与えてあげましょう。
犬が食べてOKの春の山菜③ 菜の花
天ぷらとしてもお浸しとしても美味しく食べられる菜の花は、犬に与えても大丈夫な山菜です。
菜の花は、抗酸化作用が高いビタミンC、白血球の働き強化に繋がる葉酸、老化の防止に効果があるビタミンKなどが豊富に含まれている食材です。
菜の花のアクは、シュウ酸カルシウム尿石症の原因になるシュウ酸です。しかし、このシュウ酸は水溶性なので、茹でることによって強いアクも減らすことが出来ます。
ただし、菜の花もクレソンと同じアブラナ科に分類される山菜なので、甲状腺機能に問題のあるワンちゃんは注意しましょう。
また、菜の花は食物繊維も豊富な山菜なのでタラの芽、クレソン同様細かく刻んだ上で愛犬に与えてあげてください。
犬が食べてはいけない山菜3選
続いては、犬には食べさせないほうが良い山菜3選をご紹介します。
もしも万が一愛犬に食べさせないほうが良い山菜を、愛犬が食べてしまった際に考えられる症状なども合わせてご紹介するので、山菜採りでもし見つけた時には、愛犬が食べないように注意してください。
犬が食べたらNGの春の山菜① ワラビ
シダ植物の一種で、根茎から摂れるでんぷんを粉にしたワラビ粉も、これに当たる山菜は、犬にとっては食べたらNGな春の山菜です。
ワラビには犬が食べてしまうと食中毒を起こしてしまう成分が含まれており、その症状としては、貧血や運動失調、不整脈、発がん性、多量摂取の場合、最悪死に至ります。
山菜採りで、もしワラビを見つけた場合には、愛犬が食べないようにしっかりと注意をし、万が一誤って愛犬が口にしてしまった際には早急に動物病院で診てもらうように心掛けましょう。
犬が食べたらNGの春の山菜② 行者ニンニク
行者ニンニクは、犬が食べてはいけないネギやニラなどと同じユリ科ネギ属に分類される山菜のため、食べたらNGの山菜です。
行者ニンニクには、犬が食べると嘔吐や黄疸、溶血、貧血、下痢、嘔吐、心不全、肝不全など様々な症状が出る「アリルプロピールジサルファイド」という成分を含んでおり、皮膚接触では皮膚のかぶれなどが出る場合があります。
自生している行者ニンニクは一見すると、雑草のようにも見えるので、愛犬が誤って行者ニンニクに接触しないようにするのにも注意を払いましょう。
犬が食べたらNGの春の山菜③ フキノトウ
春の山菜として有名なフキノトウも、愛犬にはなるべく食べさせないほうが良い山菜です。
キク科の山菜であるフキやフキノトウには、肝臓がんなど肝障害の原因となる『ピロリジジンアルカロイド』の一種である『ペタシテニン』という強い肝毒性のある成分が含まれています。特にこの成分はフキよりもフキノトウの方が多く含まれているので、注意が必要です。
ただし、このフキノトウに含まれる『ペタシテニン』は、厚生労働省の発表により、茹でこぼしや水さらしによるアク抜きを行えば、大幅に減らせることが分かっているので、少量愛犬がアク抜きをした後のフキノトウを食べたのであれば、さほど問題はありません。
まとめ
いかがでしたか?
暖かくなると、山菜採りだけではなくハイキングやピクニックなどを楽しむのにぴったりな季節ですが、そういった際にも自生している山菜には十分気を付け、もし愛犬と一緒に楽しめる山菜を見つけた際には、しっかりと下処理、調理をした上で、愛犬と共に春の訪れを楽しんでください。
<参考書籍>
スープストックで手軽に続けられる体に良い食事 犬ごはんの教科書
7歳からの老犬ごはんの教科書
<参考サイト>
井上動物病院|ペットに危険な植物・毒草図鑑(犬に危険な植物・猫に危険な植物)
>https://www.inoue-animal-hospital.net/%E3%83%9A%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AB%E5%8D%B1%E9%99%BA%E3%81%AA%E6%A4%8D%E7%89%A9#anc_4
公益社団法人栃木県獣医師会|犬や猫が食べてはいけないもの
>https://www.tochigi-vet.or.jp/other/pet/pet_01_14.html
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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