皆さんは『キャロブ』ってご存知ですか?
キャロブは、本来犬が決して食べてはいけないとされているチョコレートの代用品として使うことが出来、尚且つ栄養価も高いと言われている食べ物です。
しかし、そうは言っても具体的にどんな食材なのか、本当に犬にとって害はないのか、心配な飼い主さんも多いはず。
そこで今回は、バレンタイン目前に知っておきたい、キャロブの栄養価やチョコレートとの違いについて解説します。
そもそもキャロブって何?
そもそも犬が食べても大丈夫と言われるキャロブとは、簡単に説明すると、マメ科の『イナゴ豆』の事を指します。
なぜ『イナゴ豆』なのかというと、英名の「Locust bean(イナゴマメ)」を訳したもの、または種子の見た目が昆虫のイナゴに似ていたことから、日本では『イナゴ豆』と言われるようになりました。
ただ、厳密に言えば、キャロブとして呼ばれる部分は、一般的に果肉を乾燥させたものの事を指し、さらにそれを粉末状にしたものは、キャロブパウダーと呼ばれています。
そのため、実際に愛犬のために作られるケーキやクッキーなどは、主にキャロブパウダーを使用している場合が多く、私たち人が通販で購入する場合もほとんどがキャロブパウダーに加工された状態で売られている場合が多いです。
キャロブは加工せずとも甘いチョコレートやピュアココアのような風味を持つ果肉と言われており(実際にはどこまで甘いのか気になるところではありますが)、実物を手に入れるのはなかなか難しいので、愛犬にキャロブを与える際には、市販されているキャロブパウダーをチョコ風味のブラウニーやクッキーという形に調理してから与えてあげると、愛犬も喜んで食べてくれるでしょう。
キャロブの主な栄養価とは?
キャロブは日本では、まだまだ知られてない食材かもしれませんが、エジプトのエミュート大学という大学が発行する科学雑誌では、健康に作用する様々な栄養価を含む『スーパーフード』の一つとされています。
それでは、具体的にどのような栄養素が含まれているのか、見ていきましょう。
キャロブの栄養価①:ビタミンA
キャロブには、ビタミン類が多く含まれているとされており、その中で脂溶性ビタミンとされているビタミンAには、皮膚や粘膜の健康維持や体の成長に役立ちます。
キャロブの栄養価②:ビタミンB群
キャロブに含まれているビタミンB群には、ビタミンB2やビタミンB12、ビタミンB6などの水溶性ビタミンが豊富に含まれています。
ビタミンB群は栄養素などの代謝機能に働くため、神経機能や赤血球の合成に役立ちます。
キャロブの栄養価③:ビタミンC
ビタミンB群同様水溶性ビタミンに分類されているビタミンCもキャロブには豊富に含まれています。
ビタミンCは皆さんもご存知のように抗酸化作用や老化防止、コラーゲン生成を助けてくれたりする栄養素なので、シニア犬にもぜひ摂ってほしい栄養素ですね。
キャロブの栄養価④:鉄
全身に酸素を運ぶための赤血球を作り出す鉄も、キャロブには豊富に含まれています。
鉄には、動物性食品から補えるヘム鉄と、植物性食品から補える非ヘム鉄の2種類がありますが、非ヘム鉄となるキャロブの鉄分は、たんぱく質やビタミンCと一緒に摂ると吸収率がアップする特徴を持っています。
キャロブの栄養価⑤:カルシウム
骨格形成や筋肉の収縮、細胞の増殖、血液凝固、ホルモン分泌など、多様な栄養に携わっているカルシウムもまた、キャロブには豊富に含まれています。
カルシウムの吸収率を上げる方法には、ビタミンDと一緒に摂取すると効果的だと言われているので、ケーキ作りで使う卵やチーズなどで吸収率アップを図ってあげてくださいね。
キャロブの栄養価⑥:たんぱく質
犬の六大栄養素として欠かせないたんぱく質も、キャロブには豊富に含まれています。たんぱく質は筋肉や皮膚、骨、爪、血液、ホルモン、免疫抗体など、体を作る上で重要な役割を担っており、成長促進や脳の活性化、免疫向上などに役立つので、成犬だけではなく、子犬やシニア犬には特にキャロブ入りおやつはオススメです。
キャロブの栄養価⑦:食物繊維
キャロブには食物繊維も豊富に含まれており、その栄養価はゴボウの約2倍とも言われています。食物繊維は便秘の解消や生活習慣病予防、肥満防止、排毒作用の促進など、腸にとってとても嬉しい効果を持っているので、適度な食物繊維で愛犬の腸活に役立ててあげましょう。
キャロブの栄養価⑧:ピニトール
ピニトールとは、マメ科の植物に多く含まれる栄養素なのですが、この聞き慣れない栄養素は、キャロブのさやから抽出される栄養素です。
ピニトールは主に、血糖値を下げる効果や糖尿病、肥満の予防などに効果的です。
愛犬にとって本当にキャロブは危険じゃない?
それでは、本当に犬にとってキャロブは危険な食材ではないのでしょうか?キャロブを与えることによって考えられる危険性としては以下の事が挙げられます。
【キャロブで考えられる犬への危険性】
・大豆アレルギーの危険性
・既存添加物に指定されているカロブ色素・カロブビーンガム増粘安定剤の危険性
上記が考えられる危険性ですが、この内、厚生労働省が既存添加物に指定しているキャロブ(カロブ)については、どちらにおいても種子の胚芽や胚乳を粉砕したり、沈殿して得られたものを使用したりする場合に限っており、人間に対して向けているものでもあるため、現在のところ犬に対してはそこまで心配する必要性はありませんが、どんな食材であっても多量の摂取は危険なので、その点だけ気を付けてあげてください。
また、大豆アレルギーに関しても、キャロブを口にしてしまうことでアレルギー反応を起こすワンちゃんも居るかもしれないので、事前にアレルギー検査を行うか、もしくはまずは少量与えてみて問題がないようであれば、少しずつ与えてあげるように注意しましょう。
キャロブとカカオチョコレートの違い
まず、愛犬にキャロブが与えられるといった時点で、カカオチョコレートとキャロブでは大きな違いがありますが、カカオチョコレートを犬が食べることで中毒症状が起こる原因には、カカオに含まれるテオブロミンという成分と、カフェインが関係しています。
カフェインについては、中枢神経に働きかける興奮作用によって落ち着きがなくなったり、頻脈が起こったり、嘔吐や下痢などが起こったりします。
そしてテオブロミンについては、この成分の分解や排出する能力が犬の場合には低いため、カフェイン中毒同様嘔吐や下痢といった症状が表れます。
しかし、キャロブには根本的にテオブロミンとカフェインは含まれておらず、犬が中毒を起こす原因になる成分は、このほかについてもありません。
ただ、通販などで売られているキャロブ商品の中には、見た目がチョコレートにそっくりなものも存在していて、パッと見では区別がつかないものもあるかもしれないので、くれぐれも普通のチョコレートと見間違えないように気を付けてください。
まとめ
いかがでしたか?
筆者も3代目柴犬のために、バレンタインデーに手作りキャロブチョコトリュフを作ってあげたことがありますが、その時はすごく喜んで食べてくれました。キャロブで作るお菓子やおやつについては、犬だけではなく、人ももちろん食べることが出来ます。
バレンタインデーに愛犬へキャロブチョコを作ってあげた際には、飼い主さんも是非一口味見してみてくださいね。
<参考書籍>
スープストックで手軽に続けられる体に良い食事 犬ごはんの教科書
7歳からの老犬ごはんの教科書
愛犬のためのホリスティック食材辞典 増補改訂版
<参考サイト>
Is Carob Good For Dogs…… AND Why?|キャロブは犬になぜ良いのですか?
>https://hudsandtoke.com.au/pages/blog.htmlis-carob-good-for-dogs-and-why/
食品添加物リスト|公益社団法人日本食品化学研究振興財団
>http://www.ffcr.or.jp/shokuhin/2014/02/C3F4C591005986D949256FA900252700.html
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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