食卓の刺身がとっても美味しそうで愛犬も食べたそうな顔をします。しかし、生の刺身は犬が食べても大丈夫なのでしょうか?結論から言うと、犬に刺身は大丈夫です!しかし与える際の危険性や注意点がありますので、しっかり頭に入れてから安全に与えましょう。
犬に刺身を与えても大丈夫?
犬に刺身を与えても大丈夫です。とっても美味しい刺身は愛犬も一緒に味わうことができます。
ただし、時間の経った刺身は食中毒を引き起こす危険があるため与えない方が安全です。犬に与えるなら「新鮮」であることが大切です。もちろん、しょうゆやワサビは付けてはいけません。魚の骨は喉に刺さると危険なので取り除きましょう。
寄生虫の心配がある川魚は刺身でも与えることはやめたほうが安全です。また、刺身を多量に与えると消化不良を起こす場合があるのでご飯のトッピング程度にとどめましょう。
犬におすすめの刺身の種類と栄養効果とは?
犬におすすめの刺身は以下のような、スーパーで「刺身用」に市販されていているものです。
【犬におすすめの刺身の種類】
・マグロ
・カンパチ
・ブリ
・タイ
・アジ
・ヒラメ
・カレイ
生魚の栄養価はとても優れています。DHAやEPAという必須脂肪酸が血液をサラサラにし、血中の中性脂肪やコレステロールを低下させる効果があるため、がんや心臓病、脳血管障害の予防効果が期待できます。またオメガ3脂肪酸は高血圧や血栓の予防、心血管疾患の予防に効果的です。
マグロの刺身は特に動物性たんぱく質が多く必須アミノ酸を多く含みます。鉄分も豊富で低カロリー高たんぱく質でダイエットにも向いている食材です。
犬に刺身を与える際の危険性と注意点
上述したように、さまざまな栄養と効果が期待できる刺身は愛犬に食べさせてあげたい食材ですね。
しかし、与える際にいくつかの危険性と注意すべき点があります。以下に詳しく説明しますので、しっかり覚えて安全に当てましょう。
【犬に刺身を与える際の危険性と注意点】
・消化不良
・ヒスタミン中毒
・ビタミンB1欠乏症
・アニサキス寄生虫
・アレルギー
・少量で与える
消化不良に注意する!
犬に刺身を与えても大丈夫とはいえ、犬はそもそも魚介類の消化が得意ではありません。貝類は特に犬に消化酵素がないため与えすぎると消化不良を起こしてしまいます。生魚も多量摂取は犬の個体によっては下痢を引き起こすので注意が必要です。
ヒスタミン食中毒の危険!
鮮度の落ちた刺身や古くなった生魚を犬に与えるとヒスタミン食中毒を引き起こす原因になります。ヒスチジンが多く含まれる赤身魚の刺身や加工品を常温で放置すると、細菌(ヒスタミン産生菌)の酵素の働きによってヒスチジンがたくさんのヒスタミンを生成します。
マグロ、ブリ、クロカジキ、サバ、サンマ、イワシなどの赤身魚は「ヒスチジン」というアミノ酸が多いためヒスタミン食中毒の原因になる場合が多いです。
ヒスタミン食中毒を引き起こすと、食後すぐに顔や口、舌が赤く腫れ蕁麻疹が出ます。このほかに、下痢やめまい、嘔吐、発熱などの症状が出ることもあります。
加熱してもヒスタミンは消えません。刺身はすぐに冷凍するか、冷蔵庫へ入れましょう。冷凍した刺身を常温解凍するのは、外側が常温になる時間が長いため危険ですのでやめましょう。
〈私の体験〉
筆者の息子も軽いヒスタミン中毒を起こした経験があります。スーパーで購入したブリ照り焼きにして夕飯に出したのですが、食べた直後、小学生の息子のお腹にたくさんの蕁麻疹が出て驚いたことがあります。
翌朝には腫れは引いたのですが、今思えば暑い季節の中、普段より遠くのスーパーに自転車で出かけ、ブリを購入後、他の店にも立ち寄ったりしたため、生のブリが常温にさらされている時間が長かったことが原因だと思いました。大人は大丈夫だったのですが、免疫力の少ない一番下の息子に症状が出たのかもしれません。
人間の場合、重症化することは少ない食中毒ですが、犬は体が小さい分注意が必要です。
ビタミンB1欠乏症の危険!
犬が刺身を多量に摂取して危険なのは消化不良の他に、ビタミンB1欠乏症(チアミン欠乏症)というものがあります。いわゆる脚気という病気のことです。
犬はもともと体内でビタミンB1が作れません。生の魚にはチアミナーゼという酵素が多く含まれていて、犬が多量に摂取すると体内のビタミンB1がチアミナーゼによって破壊され、ビタミンB1欠乏症になります。
ビタミンB1欠乏症になると、神経障害や倦怠感、食欲不振、手足のしびれ・むくみ、ひどくなると心不全などの症状が現れます。
刺身は栄養価が高いからといって愛犬に毎日与え続けたり、一度に大量に食べさせたりするのは危険です。ごほうびのトッピング程度にしましょう。
アニサキス寄生虫の危険!
生の刺身にはアニサキスという食中毒の原因となる寄生虫が潜んでいる可能性があります。主にサバ、アジ、イワシ、カツオ、サンマ、イカ、タラなどの内臓に寄生しています。鮭やニジマスのマス科の川魚も要注意です。
イカの刺身に隠し包丁を入れるのはアニサキスを刻んで殺す意味があるのです。
(サバの内臓に寄生したアニサキス)
アニサキス寄生虫は胃酸では死なず、胃や腸壁に噛みつき強烈な腹痛や痛み、吐き気の症状が現れます。効果のある治療薬はまだ見つかっていないので、内視鏡手術でアニサキスの幼虫を取り除くのが一般的な治療法です。
アニサキスは魚の内臓から筋肉の部位へ移動する場合もあるため、内臓を除去したから安心というわけではありません。魚を加熱が不十分なまま摂取すると感染するリスクがあります。アニサキスの幼虫は目視できる大きさなので愛犬に刺身を与える際は、身に付着していないかよくチェックしましょう。
アレルギー発症の危険!
魚を食べたことのない犬や、免疫力の少ない子犬やシニア犬は刺身を初めて食べる事でアレルギーを発症する場合があります。一般的な症状は腹痛、下痢、蕁麻疹などの皮膚症状が起こります。酷い場合はアナフィラキシーショックを引き起こし、呼吸困難や血圧低下など命の危険があります。死んだアニサキス寄生虫の死骸の成分もアレルギーの原因になる場合があります。
与える時は少量で!
愛犬に刺身を与える際は、上述したさまざまな危険性があるため、新鮮なものを少量で与えましょう。初めて刺身を食べる場合はひとかけらより小さいサイズで、様子を見ながら与えることが大切です。
まとめ
犬に刺身を与えても大丈夫ですが、与える際は消化不良、食中毒、アレルギーに注意してあげましょう。そして、犬の身体は人間より小さいので与える際はごく少量にしましょう。毎日与える事はビタミンB1欠乏症の危険性があるのでおすすめできません。
魚はとっても栄養満点ですので健康のために愛犬にたくさん食べさせてあげたいですよね。しかし、さまざまな危険性を考えるとごはんのトッピング程度にとどめておくのが安全だと思います。
<参考URL>
消費者庁(ヒスタミン食中毒)
>https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/food_safety/food_safety_portal/topics/topics_003/
厚生労働省(アニサキスによる食中毒を予防しましょう)
>https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000042953.html
フラワーアレンジメント講師
2人の息子の母
実家でパグの出産、育児を経験し、
現在はトイプードルの男の子と暮らしています。
みなさまの愛犬にお役に立てる情報を発信していきたいです。
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