犬から見える世界は白黒ってホント？犬の視覚機能についてのお話

犬が見ている世界は白黒に見えるって本当かどうか気になりませんか？犬の視覚について疑問を持つ飼い主さんも多いと思います。

最近の研究では犬が白黒以外にも色が見えていることがわかってきました。他にどんな色が見えているのでしょうか？今回はそんな犬の視覚機能についてのお話です。

＜目次＞

犬が見えている世界は白黒だけじゃない

一昔前まで犬に見える色は白黒のモノクロームな世界だと言われてきました。しかし近年の研究で犬に見える色が他にもあることがわかってきました。さてどんな色が見えることがわかったのでしょうか？

犬が見える色には「黄色・青・グレー」があることがわかってきました。その見え方は人間の赤緑色盲の人と同じ色彩感覚を持っていて、青と黄色は区別できるけれど、赤と緑が区別しにくいことがわかっています。

【犬と人間の色の見え方の違い】

引用元：https://www.koinuno-heya.com/zukan/sight.html

・「赤」　→　濃いグレーに見える
・「オレンジ・黄・緑」　→　黄色っぽく見える
・「青・紫」　→　青っぽく見える

上記のように、それぞれの色を個別にはっきりとは認識せず、色のグループの中間色として識別しているのです。

意外といろいろな色が見えていて驚きですよね！モノクロの世界に濃淡の黄色や青がグラデーションで見える感じでしょうか。

赤と緑の区別が難しいので、犬と芝生で赤いボールを投げて遊ぶと探すことは難しいかもしれません。

犬は人間より脳から視覚神経への繊維が少ないです。それに加え、網膜にある錐状体（すいじょうたい）がほとんどありません。そのため、犬の見える世界はぼやけて見えています。

犬の視覚は平均で0.2～0.3程度と言われています。焦点が合うのは30cm程度であり、2～3m以内のものは良く見えますが、10～20m離れると見えにくくなると言われています。

あら？意外にも人間より目が悪いのね？と思いますが、目が悪くても人間よりはるかに優れた嗅覚と聴覚でそれを補っているのです。

そして犬は動体視力や物体識別力もとても優れています。ピントを合わせる能力が優れていて、動くものについては人間の25％遅く見えています。1キロ先の動くものを見分けられると言われています。瞬時に立体的に物をとらえて見るのがとても得意です。

我が家のトイプードルのテトもボール投げをして遊ぶとき、投げたボールを一瞬で口にキャッチして驚くことがあります。とても目がよい証拠ですね。

犬や猫の夜行性の動物は暗闇でも目がよく見えます。その理由は人間より目の水晶体が厚いので光を集めやすい事と、網膜の裏側にあるタペタム（輝板）の細胞層が少しの光でも増幅させて吸収するからです。

時折、犬の目が反射して光って見えるのは、このタペタムが鏡のように吸収しきれなかった光を反射させているからです。

この目のつくりから夜目がとても効き人間の5～8倍も良く見えます。しかし、月の光も全くない真っ暗闇で見えるわけではありません。

犬の目に限らず、夜行性の動物は白目が少なく黒目が大きく瞳がクリッとしていて可愛いですよね。その理由も暗闇で目が見えるようにタペタムの部分が大きく発達したからです。

白目が少ない理由として他に、視線の先を敵に読み取られないようにするためとも考えられています。視線の動きが敵にわかってしまうと狩りをするとき不利になります。

野生の世界では黒目が大きくないと生死にかかわるのです。

反対に人間は目でコミュニケーションを取るために白目部分が大きく発達したと言われています。たまに愛犬が目をキョロっとさせて白目が見えるとき、視線がわかりやすく人間っぽくて可愛いですよね。

人間の視野は120～180度あります。犬の視野はどうでしょうか？

野生動物の世界は周りの情報をいち早くキャッチする必要があり、それができないと生死にかかわります。

両目を動かしてはっきり見える視野は80～110度、全体で見えている範囲は135～270度と言われています。このとても広い視野は危険を察知するのにとても役に立ちます。

しかし犬の視野は犬種による顔の形状によって見え方に差があります。鼻が短い犬種ほど正面がよく見え、鼻の長い犬種ほど遠くを見るのが得意です。いずれにせよ、人間より視野が広いことは間違いありません。

いかがでしたか？犬の視覚機能についてご紹介しました。

犬が見ている世界は白黒だけではないと聞いてなんだか安心しませんか？

愛犬と旅行やお散歩に行って海や花畑などの景色を眺めるとき、一緒にいろんな色を見て楽しんでくれているのかな？と思うと嬉しくなりますよね。

犬は赤と緑は識別するのが難しいので愛犬におもちゃやボールを与える場合、識別しやすい黄色や青色を選ぶとより楽しく遊べるかもしれません。

今回の記事がみなさまの愛犬との生活にお役に立てたら幸いです。

石田凛理子

神奈川県在住のフリーライター
フラワーアレンジメント講師
２人の息子の母
実家でパグの出産、育児を経験し、
現在はトイプードルの男の子と暮らしています。
みなさまの愛犬にお役に立てる情報を発信していきたいです。