保護犬の里親になるのに子犬と成犬で迷っていますか?私が初めて引き取った保護犬は成犬でしたが、育てやすさや環境に慣れてもらうまでの時間に、とても不安を感じていました。
そして2匹目に子犬の保護犬を引き取ったのですが、保護犬の里親になるにあたって、子犬と成犬で迷いのある方へ、今日は経験談をお伝えいたします。
この記事を読み終わる頃には、保護犬の可愛らしさと子犬でも成犬でも‘’手のかかる子ほど可愛い‘’ことが分かるでしょう。
保護犬を譲渡してもらうとき、子犬と成犬の違いは何?
子犬と成犬の保護犬の違いは、正直そんなにありません。
保護犬はペットショップやブリーダーから買うのと異なり、犬種も年齢もバラバラです。
飼いやすさでいうと子犬の方が躾はしやすいですが、年齢よりも重要視してほしいのは「その子の過去」です。
次の章で詳細をお話ししますが、保護犬はみんな何らかのトラウマを抱えています。
捨てられたり、虐待を受けたり、飼育放棄だったり、人間を敵と見ている子もいるのです。
トラウマに年齢は関係なく、小さな頃に負った心の傷が成犬になっても消えない子もいます。
躾や家庭犬として身に付けなければいけないことは、トラウマによって障害になり得ません。
それらに年齢は関係なく、性格によっても適応力の高さが問われるのです。
天真爛漫で常に前を向いている子もいれば、なかなか過去を忘れられないネガティヴ思考の子もいます。
どちらが良い悪いではなく、保護犬は年齢に関係なく、手がかかるのはみんな一緒なのです。
手がかかるというのはマイナスに受け止められますが、何十年も同じ時間を過ごす中で普通の子より歩みは遅くても、少しずつできることが増えていくのは飼い主として幸せを感じられます。
なので、年齢よりも大切なのは「その子の性格と過去」です。
保護犬の里親になる際には、以上の点を重視してください。
成犬になってから譲渡された保護犬「ザウ」から感じたこと
私が初めて引き取った保護犬‘’ザウ‘’は、1歳を過ぎて我が家に来ました。
ザウは前の飼い主から虐待を受けていて、生まれてから1度も檻から出たことがありませんでした。
闘犬種のピットブルなので、体型は中型犬ですが、体力は超大型犬に勝るほどあります。
十分な運動も躾もされずに1歳まで育ったザウを引き取るのは、とても勇気のいる決断でした。
それでもザウのオレンジ色の瞳とニッコリ笑う顔に一目惚れしてしまい、我が家に連れて帰ることにしました。
引き取って最初の数日は遠慮がちに行動し、本当に問題など感じないほどの良い子。
「保護犬ってこんなに楽なの?」と思っていたのですが、1週間もすると本当のザウを少しずつ見せるようになりました。
まず、躾は本当に時間が掛かります。
成犬はある程度人と暮らすことを知っているので、前の飼い主との生活から新しい生活に変わったことを教えなくてはいけません。
大人になってから何かを覚えるより、子どもに教えた方が飲み込みが早いのと同じで、犬も同様に成犬になると躾には時間を要することになります。
特に前の飼い主が飼育放棄のような状態だったので、トイレはもちろんのこと、おすわりや待てを教えるのは本当に大変でした。
散歩の躾は全くされておらず、でも体力が有り余っていたので、私が散歩されているような状態がしばらく続きました。
ペットショップやブリーダーから子犬を買うと数ヵ月でできることが、ザウは1年かかってようやく出来るようになりました。
それでもトイレだけは土の上でないとしないので、我が家では庭の一部を改造し、犬用のトイレとして管理しています。
ザウを引き取って分かったのは、「なんでも犬に合わせてもらうのではなく、人が犬に合わせることも必要」ということです。
犬が野生で暮らしていた頃は、トイレを覚える必要も人に合わせて歩く必要もありませんでした。
それらは人と暮らす上で必要になったものですが、生活していく上で絶対に必要なことと、そうではないことがあります。
できないことを無理矢理教えるよりも、犬ができないことに人が合わせられないか考えてみる。
お互いが生きやすいように、寄り添うことを教えてもらいました。
子犬のときに譲渡された保護犬「ズミ」から感じたこと
2匹目に引き取った保護犬の‘’ズミ‘’は4ヵ月のときに、我が家にやってきました。
ズミは生まれてすぐに捨てられて前の飼い主が拾ったものの、先住犬との相性が悪く里親に出されていました。
2ヶ月間、里親募集を出しても引き取る人が現れず、たまたま知人からもう1匹飼わない?と聞かれたのがズミとの出会いです。
子犬だったこともあり、躾はとてもスムーズにできた記憶があります。
ザウが率先してズミの面倒を見ていたことも関係あるかもしれませんが、成犬で引き取ったザウよりもズミの方が、吸収力は抜群に良いです。
ただ1つ手を焼いたのが、ズミはトラウマが大きいこと。
虐待を受けていたザウよりも、捨てられた過去のあるズミの方が心の傷が大きかったのです。
そのため分離不安になり、私やザウの姿が見えなくなると吠えたり遠吠えをします。
また工事の音や花火の音を聞くとパニックで痙攣を起こし、家から門を出て1歩外に出るだけのことに3ヵ月掛かりました。
そして現在でも家から1キロ以上の場所に散歩に行くのが困難なため、日々トレーニング中でもあります。
前の飼い主の話ではおそらく生後2ヶ月になる前に捨てられ、公園で飢えを凌いでいたのだろうとのことでした。
兄弟や母犬・父犬もおらず1匹だけの状態だったので、1匹だけで空腹と孤独と戦っていたのでしょう。
ズミから教えてもらったことは、「人それぞれのペースがある」ということです。
今までペットショップやブリーダーからしか犬を買ったことがなかったので、私の中で当たり前にできると思っていたことが1つもできませんでした。
ですが、ズミが一所懸命に覚えようとしているのもよく分かりましたし、怒る気にはなりませんでした。
散歩ができない、人が多く音が大きい場所には出掛けられない、なんでもザウが一緒じゃないとできない、それらをすべてひっくるめてズミなのです。
家の中では我が強く天真爛漫のムードメーカーですが、一歩外に出ると全身の痙攣が止まらない。
そんなズミも可愛い我が子で、少しずつでも成長していく姿を見られて幸せです。
みんなができることをできなくてもいい、ズミが毎日楽しく生活してくれることが大切なのです。
保護犬を育てるなら、子犬と成犬どちらが育てやすい?
保護犬の里親サイトを見たり、実際にボランティアをしていると、引き取られていくのは圧倒的に子犬が多いです。
幼い頃から一緒に暮らしている方が躾もしやすく、そして長い時間をともに過ごすことができるからでしょう。
ですが、成犬も子犬も飼った身としては、正直どちらも変わらないというのが本音です。
やはり保護犬はどんなに小さくても、ペットショップやブリーダーから賈うのとは訳が違います。
犬も自我がありたくさんのことを感じる生き物なので、たった数カ月でも嫌なことや悲しかったことは理解しています。
スタートラインは普通に生まれ育った子たちよりも、やや後ろ。
その共通点に、成犬も子犬も関係ないのです。
保護犬は子犬でも成犬でも、手がかかるのは同じ。
保護犬は本当に手がかかります。
成犬も子犬も関係なく、しつけから日々の暮らしまで、人間の子どもと同じように毎日が戦いです。
ですが、「手がかかる子ほど可愛い」という言葉があるように、振り回されれば振り回されるほど、愛情も深く広くなっていくものなのです。
保護犬には必ずといっていいほど、トラウマが付きまといます。
人も怖さや悲しさを感じると「もう2度と同じ思いはしたくない」と思うものですが、それと同じように保護犬である彼らも恐怖から逃れようとするのです。
トラウマは散歩のときや病院に行ったとき、人や他の犬に向かう場合もあります。
可哀想であることは大前提なのですが、それ以上に、これから人と暮らしていく中で克服してもらわないといけないこともあるのです。
時間と根気が必要になりますが、その分、トラウマを克服して少しずつ成長する姿は愛くるしい以外の何物でもありません。
できなかったことができるようになり、いつかはできなかったことも忘れて楽しむ姿を見せてくれるようになります。
保護犬の成長を見ながら、私が成長させてもらっているような、そんな気持ちになれるのです。
まとめ
手がかかるのも、躾に時間がかかるのも、保護犬に子犬と成犬の違いはありません。
それらを踏まえた上で里親になろうと決断する方が多いかと思いますが、以下の点をご記憶していただけると幸いです。
・保護犬にトラウマは付きもの、可哀想と思わずに前を向いて接してあげて。
・できて当たり前ができなくても、人が寄り添うことで解決することもある。
・手がかかる子ほど、可愛いもの。
沖縄移住をきっかけに保護犬ボランティアを始め、アメリカン・ピットブル・テリアとジャーマンシェパードドッグの元保護犬2匹と一緒に暮らす。
アメリカン・ピットブル・テリアがアレルギー疾患を抱えていたことをきっかけに、食の大切さを知り、現在は生食にこだわった食事を取り入れている。
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