犬は人より寒さに強いと思われがちですが、寒さに対する耐性は犬種や年齢によって異なります。
寒さは健康にも悪い影響を及ぼすので、寒さに弱い犬種は十分な防寒対策を取ってあげましょう。
今回は寒さに弱い犬を10犬種ご紹介します。
「犬が寒がっているときのサイン」や「飼い主さんができる犬の防寒対策」も一緒にご紹介しますので、この冬の寒さ対策に活かしてみてくださいね。
<目次>
寒さに弱い犬10選①「チワワ」
チワワはメキシコが原産の犬だと言われています。
温かい気候で過ごしてきたため、保温効果のある毛(ダブルコート)を持っていません。
▼保温効果のある毛(ダブルコート)ってなんですか?
犬の毛は2種類あり、体の表面にある毛を「オーバーコート」、オーバーコートの下に密集して生えている毛を「アンダーコート」といいます。
オーバーコートだけの犬は「シングルコート」と呼ばれており、防寒を果たすアンダーコートがない分寒さに弱いです。
アンダーコートを持っている犬は「ダブルコート」と呼ばれており、シングルコートの犬より寒さに強いです。
現在は交配によってダブルコートの毛を持つチワワもいますが、体の小ささ(体が小さいと熱が奪われやすい)や地面からの距離が近いこともあり、寒さの影響を受けやすい犬種です。
チワワを飼っている飼い主さんは気温が下がってきたら、早めに寒さ対策を取ってあげるとよいでしょう。
寒さに弱い犬10選②「バセンジー」
バセンジーはアフリカにルーツがある犬種だと言われています。
暑い気候に耐えられるように毛はシングルコートでつるりとした短毛をしています。
寒さに耐えられる体をしていないので、防寒対策が必須の犬種です。
暖房器具や洋服などで寒さを調整してあげましょう。
寒さに弱い犬10選③「トイプードル」
トイプードルの毛はフワフワとカールしていて、とても温かそうにみえますね。
寒さから身を守ってくれそうな毛に思えますが、実際には保温効果のないシングルコートなので、防寒性は高くありません。
また、トイプードルは体が小さく体脂肪も少ない犬種です。
体脂肪が少ないと体内で熱を保持する力が弱いので、冷気にさらされるとすぐに体温が低下してしまいます。
寒さが厳しい地域でトイプードルを飼っている方は特にしっかりと防寒対策を取ることが大切です。
寒さに弱い犬10選④「マルチーズ」
マルチーズも毛が長く、温かそうに見えますね。
マルチーズは地中海のマルタ原産(諸説あり)と言われており、イタリアの温暖な気候に適応してきた犬種です。
そのため、毛の保温効果は低く寒さに弱い犬種です。
特に老化が進むと体温調整が苦手になっていくので、愛犬が寒がっていないか注意してあげましょう。
寒さに弱い犬10選⑤「グレート・デーン」
体格が大きいので、その分寒さに強いイメージを持つかもしれませんが、グレート・デーンも寒さに弱い犬種です。
毛が短くシングルコートなので、毛の保温効果は低いです。
外で飼育をすると寒さで体調を崩してしまう可能性があるので、室内飼いが必須です。
室内でも快適に過ごせるように温度管理に気をつけましょう。
寒さに弱い犬10選⑥「ヨークシャー・テリア」
ヨークシャー・テリアは長い毛にしっかりと覆われているので、寒さに強そうに見えるかもしれませんが、生えている毛は保温性の低いシングルコートです。
寒さに弱い犬種なので、散歩で外に出るときは洋服を着せるなどの防寒対策を取り、室内では暖房器具を使って快適に過ごせるように調整してあげましょう。
ただ、ヨークシャー・テリアの毛は他の犬種と比べると細く、暖房器具を使用すると乾燥して静電気が発生しやすくなります。
暖房器具を使用する際は加湿器や静電気を防止するスプレー(ペット用)を併用するといいでしょう。
寒さに弱い犬10選⑦「パピヨン」
パピヨンは保温性の少ないシングルコートの毛をもつ子が多いですが、交配の過程でスピッツ(ダブルコート)の血が入ることでダブルコートを持っている子もいます。
ただ、ダブルコートを持っているから寒さに強いというわけではなく、体脂肪の少なさや地面に近い環境で生活をしているので、寒さの影響を受けやすい傾向があります。
寒さに強い犬種ではないので、しっかりと寒さ対策をとってあげましょう。
寒さに弱い犬10選⑧「イタリアン・グレートハウンド」
エジプトがルーツのイタリアン・グレートハウンドも毛が短く、シングルコートなのでとても寒がりの犬種です。
寒さを感じ始める秋口には寒さ対策を取ってあげるようにしましょう。
寒さ対策として犬の服は有効ですが、着せっぱなしにしていると通気性が悪く皮膚を圧迫するため、皮膚病をまねくおそれがあります。
眠るときには服を脱がせるなど、皮膚にも休息する時間をつくってあげましょう。
寒さに弱い犬10選⑨「ミニチュア・ピンシャー」
ミニチュア・ピンシャーはすらっとした体格をしていますが、筋肉質で体脂肪が少ない体をしています。
体脂肪が少ない体は寒さを感じやすいです。
また毛が短くシングルコートなので、寒さに弱い犬種といえるでしょう。
ブルブル震えていたり、丸まって動かないという場合は、寒さを感じているサインなので防寒対策をとってあげましょう。
寒さに弱い犬10選⑩「パグ」
パグの毛はダブルコートですが、毛が短いため地肌に寒さが伝わりやすく寒さに弱い犬種です。
冬の間は服を着せたり暖房器具を使用して、愛犬が快適に過ごせる生活環境をつくってあげましょう。
犬が寒がっているときのサインは?
犬が「寒いなぁ」と感じているとき、どんなサインが現れるでしょうか。
犬が寒がっていときによく見せるサインを一覧にまとめてみました。
▼犬が寒がっている時のサイン
・寝ているときに小さく丸くなる
・小刻みに震えている
・毛布やブランケットに潜り込む
・動きたがらない
・飲水量が減った
一番わかりやすいサインが「寝ているときに丸くなる」「毛布やブランケットに潜り込む」ではないでしょうか。
愛犬が寝床で上記のような仕草を取る場合は、寒さを感じている可能性が高いので毛布を1枚足すなどの寒さ対策をとってあげましょう。
お腹を出したり手足をグーンと伸ばして寝ている場合は、寒さを感じおらず快適な室温で過ごしているといえるでしょう。
飼い主さんができる愛犬の防寒対策は?
では、飼い主さんが愛犬のためにできる寒さ対策はなにがあるでしょうか。
寒さ対策を一覧にまとめてみました。
▼飼い主さんが愛犬にできる寒さ対策
・シーリングファンを回して部屋の空気をかき混ぜる
・犬の寝床や休憩場所に多めにタオルや毛布を敷く
・水飲み場やトイレは暖かい場所に設置する
・防寒用の服を着せる
・ホットカーペットや湯たんぽを使う(使うときは低温やけどに要注意)
冷たい空気は下へ暖かい空気は上へ流れるため、暖房を付けていても部屋の中で寒暖差は生まれます。
人には快適な温度でも人の足元で生活をしている犬は寒さを感じている可能性があります。
部屋の温度を均一にするために、暖房にプラスしてシーリングファンで空気をかき混ぜてあげるとよいでしょう。
また水飲み場やトイレを寒い場所に設置していると、寒いのを嫌がって排泄や飲水の回数を減らしたり我慢をしてしまうことがあります。
排泄の回数や飲水量が減ると泌尿器系の病気にかかりやすくなってしまうので、寒くなったら水飲み場やトイレは暖かい場所に移動してあげましょう。
毛がモフモフに生えていると「温かいから寒くないよね」と思ってしまうかもしれませんが、犬種や毛の状態によって寒さに対する耐性は違います。
また寒さに強いと言われている犬種でも、高齢になったり生活環境(寒さに体を慣らしていない)によって寒さに弱くなります。
愛犬の寒がっているサインを見落とさないようにしましょう。
<参考書籍>
アジア動物スキンケア検定 公式テキスト 動物スキンケア実践ガイド
<参考URL>
【温度差に注目!】犬が暮らしやすい適温は何度?温度管理の方法やポイントは?
>https://mag.anicom-sompo.co.jp/15455
<画像元>
Canva
Unsplash
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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