突然ですが、飼い主の皆さんは冬の散歩はどうしていますか?
「必ず行く」という方もいれば、「天気の状況、寒さによる」という飼い主さんも多いかと思います。
けれど、そんな冬時期の犬の散歩には夏とはまた違った注意が必要です。今回は、冬の散歩で犬が気を付けるべきケガやトラブル5選とその対策についてご紹介します。
<目次>
雪国の犬は冬の散歩で約4割が足トラブルを経験している⁉
犬の散歩は、時と場合によりますが、基本的には日々のルーティンの継続なので、冬だからという理由だけで、散歩に出かけなくなる飼い主さんやワンちゃんはそう居ないと思います。
しかし、だからこそ気を付けたいのが散歩の際のケガやトラブルです。
北海道の犬の飼い主さん400人を対象とした雪国における足のトラブル、リスクに関するアンケート調査結果では、なんと約4割もの犬が、冬の散歩で何かしらのトラブルに遭遇しているとの結果が。
犬の肉球は本来、非常に分厚い皮膚に覆われていて、また、構造的にも脂肪、弾性繊維(エラスチン)、膠原繊維(コラーゲン)などが混在した皮下組織で構成されており、さらに肉球の内部を通る静脈と動脈が並走する形で配列していることもあって、そう簡単に犬の肉球が凍傷や衝撃、転倒などのダメージを負うことはないと言われているにも関わらずこの結果です。
上記のアンケート調査は、あくまでも北海道の犬という雪国に限定された結果ではありますが、異常気象などの影響で、普段あまり見舞われることのない突然の大寒波や大雪に首都圏在住の犬が見舞われてしまうと、この結果以上の犬への危機管理対策が重要となってくるのは必至と言えます。
気を付けるべきケガやトラブルを今の内から確認しておきましょう。
冬散歩で犬が気を付けるべきケガやトラブル5選
では、冬に愛犬と散歩する上で犬が気を付けるべきケガやトラブルにはどんなものがあるのか、一つずつ確認していきましょう。
前述したアンケート結果内容と重複する点もありますが、なぜそうなってしまうのか、理由も解説するので是非とも最後までお付き合いください。
犬の冬散歩ケガ・トラブル①:関節炎
寒さが身に沁みる冬の散歩では、人同様犬も関節炎に悩みます。
特に膝蓋骨脱臼などを患いやすい小型犬や股関節形成不全症がある中・大型犬のワンちゃん、肥満傾向で運動不足になりがちなワンちゃん、シニア犬については、普段とても散歩が大好きなのに、突然散歩に行きたがらなくなったり、立ち上がるのが辛そうだったり、足を触ると嫌がったり、怒ったりする場合には関節炎を疑った方が良いでしょう。
<関節炎にならないための対策>
寒さの影響で血行不良を招いて、関節が痛くなるなどの弊害が出てしまう関節炎は、散歩に行く前に、入念なマッサージや温めてあげることをお勧めします。
筆者の2代目シェルティも小さい頃から関節炎があり、かつ太りやすい体質だったという事もあって、よくビッコを引いては、とても心配することが多かった記憶があります。
最終的に、我が家のシェルティの体重は、12kg→9kgまで減量し、出来る限りその体重維持に努めましたが、肥満によって併発してしまう関節炎は、運動だけではなく食事制限についても飼い主さん自身が強い意志を持って改善することが大切です。
長い目で見る覚悟を持って、愛犬と接してあげましょう。
一方で病気によって冬の散歩に影響する関節炎は、担当してもらっている獣医さんと相談し、適切な処置や処方をしてもらいながら、無理のない範囲で散歩に行くよう意識しましょう。
犬の冬散歩ケガ・トラブル②:しもやけ・凍傷
凍傷と聞くと人の場合、手足の指先などのイメージが強いですが、犬の場合の凍傷は、肉球だけとは限りません。
確かに肉球も、しもやけや凍傷になる可能性がある場所ではありますが、犬の場合血管が細い耳や頬、しっぽの先などの方が、外気に触れるとしもやけになりやすいと言われています。
しもやけは腫れや痒みだけでなく、ひび割れや痛みを伴います。また、そのしもやけがひどい場合には、その先の段階である凍傷になってしまう可能性があるため、注意しましょう。
<しもやけ・凍傷にならないための対策>
犬の場合は、しもやけが出来やすい主な場所は多くが耳と言われているため、犬をしもやけや凍傷から守るには、耳の大きいワンコは特に、犬用のスヌードで耳周りを守ってあげましょう。
また、肉球に関するしもやけ・凍傷対策には、保湿クリームや犬用の靴を履かせて対策すると、効果的です。
ただし、ワンちゃんによっては犬用の靴を履くのが苦手な子も多いと思うので、そういった場合には無理に履かせることはせず、血行促進効果があるビタミンEなどのサプリメントを与えてあげると良いですよ。
犬の冬散歩ケガ・トラブル③:融雪剤・凍結防止剤
冬で雪が降りだすと、凍結防止のために、融雪剤や凍結防止剤が撒かれるようになりますが、当然こういった薬剤を愛犬が誤って触ってしまったり、食べてしまったりすると危険です。
融雪剤の成分は主に『塩化カルシウム』という成分で出来ていて、もしも愛犬が誤って触ってしまうと、皮膚炎やただれが起こってしまう場合があります。
また、食べてしまった場合には、胃腸を刺激し、嘔吐や下痢、潰瘍の原因になってしまいます。
凍結防止剤は基本的には『塩化ナトリウム』で出来ており、いわゆる「塩」ではありますが、過剰な塩分摂取は中毒症状の原因となるため、注意が必要です。
<融雪剤・凍結防止剤によって中毒にならないための対策>
融雪剤や凍結防止剤は、通常は雪が降る地域で撒かれることが多いため、首都圏など、あまり雪が降らないような地域では、そこまで心配する人も少ないかもしれません。
しかし、こういった薬剤は、雪が解けた後だけでなく、雨が降った後の道路凍結などが予想される場合にも使われることがあるため、油断はしないようにすることが大切です。
雪が降っている時の散歩や雨が降った後の散歩に出かける際には、雪とは違った白い粒状の薬剤が道路などに散らばっていないか確認しながら、散らばっていた時には出来るだけ避けて歩いたり、愛犬自身に靴下や靴を履かせたりして、直接的な接触、誤食を防ぎましょう。
犬の冬散歩ケガ・トラブル④:転倒
冬の散歩では、愛犬の転倒にも気を付ける必要があります。
犬の肉球というのは、基本的に衝撃を和らげるクッションの役割や凍傷になりにくい構造、滑り止めといった役割など、色々と役立つ機能が豊富です。
しかし、それでもやはり、普段見慣れない一面銀世界の景色や辺り一面をキラキラと舞う雪を見たりすると、興奮のあまり、誤って転倒してしまう恐れがあります。また、雪でなくとも地面が凍結していた場合は、愛犬だけではなく、飼い主さんご自身の転倒も十分に考えられるため、併せて注意するよう心掛けましょう。
<転倒してケガをしないための対策>
転倒事故は、例えば突然愛犬が引っ張ったり、坂道であったり、愛犬が雪の興奮によってなど、いくつかパターンがあると思います。
そのため、好奇心旺盛なワンちゃんについては特にリードを短く持って、いつでもコントロール出来るようにすると良いでしょう。
また、飼い主さんがこういった時に長靴を履くように、靴下や靴に愛犬が慣れているのであれば、滑り止め機能がしっかりと施されているものを履かせてあげると、転倒防止に限らず、肉球へのケガなどが防止できるのでお勧めです。
さらに、可能であるなら洋服も着せてあげると、万が一靴下や靴を履いた状態で転倒したとしても、服で守られる個所が大幅に増えるので併せて検討してみてくださいね。
犬の冬散歩ケガ・トラブル⑤:趾間炎
趾間炎とは、アレルギーや細菌、真菌などの感染、免疫力の低下やストレス、寄生虫、外傷、火傷、環境因子など、様々な要因が原因で起こる皮膚炎の一種です。
冬の散歩では、上記でご紹介したような雪による物理的要因や融雪剤による科学的要因、冬の寒さや乾燥といった環境要因などが揃いやすい状態となるため、冬の散歩ではこういったトラブルにも愛犬は注意が必要です。以下で趾間炎になりやすい可能性がある子のチェック表があるので、こちらでご確認の上、当て嵌まる場合にはしっかりと対策するよう心掛けましょう。
<趾間炎にならないための対策>
趾間炎の症状は、皮膚炎と言われているだけあって痛みや発赤、腫脹、脱毛などの症状が表れます。
そのため、基本的に趾間炎を防ぐためには、犬用靴を着用し、散歩から帰ってきた後は保湿クリームを塗るなどの対策を行うことが大切です。
趾間炎は、指や肉球に出来た炎症をなめ壊すことで発生します。ただ、そのなめ壊しがひどいといずれは嚢胞化し、趾間嚢胞という症状に発展してしまいます。
趾間嚢胞は、そのまま自壊すると出血を繰り返してしまうようになるため、早目に対処しましょう。
まとめ
いかがでしたか?
皮膚炎や持病など、様々な病気を持ち合わせていた筆者の2代目シェルティは、冬の散歩が直接的な原因ではありませんが、シニアになってから気づいたら趾間嚢胞にいつの間にか、なっていた経験があります。
結果、血が溜まる度に病院で抜いてもらって、その後は足を舐めないようにエリザベスカラーや包帯を巻いてもらうという繰り返しでした。
犬の足のケガやトラブルは、散歩をしていれば付き物ではあるものの、冬場はその危険性が一気に高まる場合もあるため、普段から愛犬の様子を気遣いながら散歩に出かけるように意識してあげてくださいね。
<参考サイト>
冬の犬の足は危険がいっぱい。雪国犬の約4割が足トラブルを経験!獣医師が教える “「冬の趾間炎」になりやすいコチェック”を発表。飼い主の新常識、犬の靴・靴下で冬場のお散歩対策を
―北海道の飼育者アンケートによる愛犬の足トラブル事情が判明―
>https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000038.000019222.html
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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