寒さ厳しい冬の乾燥は、私たち飼い主だけでなく大切な愛犬にとっても大敵ですよね。
特に寒さによって乾燥し過ぎてしまうと、人の場合にはカサカサやあかぎれなどの手荒れに発展してしまって、「冬は保湿クリームが手放せない!」という方も少なくないはず。
ただ、実はそんな手荒れに似た症状は、犬にもあるってご存知ですか?
そこで今回この記事では、乾燥し過ぎによって起こり得る犬の肉球トラブルの種類や注意点、対策方法をご紹介します。
<目次>
乾燥し過ぎで起こる肉球トラブル①:痒み
犬の肉球が乾燥し過ぎることによって起こるトラブルで一番多いものと言えば、痒みではないでしょうか?
冬の乾燥は犬のデリケートな皮膚だけではなく、普段散歩で毎日使っている肉球についても例外ではないため、時としてその乾燥が痒みをもたらすことがあります。
また、肉球の痒みが起こってしまった場合、その痒みは大体肉球の間の炎症(趾間炎)に繋がってしまう危険があります。
▽『舐めたことによって起こった趾間炎』
それだけではなく、痒みからくる舐めすぎは肉球に長時間湿った状態を作り出すため、肉球の皮剥けや感染症による危険性なども高めてしまうことがあります。
趾間炎は必ずしも乾燥からくるものだけでなく、食物アレルギーなどが原因で起こってしまったりもする疾患ですが、特段アレルギー症状もないのに肉球をしきりに痒がっている場合には、普段からの愛犬との生活環境や散歩の際の状況など、乾燥しやすい状況下に置かれていなかったかを総合的に判断して、対策してあげましょう。
乾燥し過ぎで起こる肉球トラブル②:皮剥け(擦過傷)
乾燥のし過ぎで肉球が起こすトラブルに、皮剥け(擦過傷)が挙げられます。
皮剥けと聞くと、「さぞ派手に転んだ」とか、「相当摩擦が加わった」とか、そういったイメージを持ち合わせる人も多いかと思いますが、意外にも乾燥によるものでも、肉球の皮が剥けることがあります。
犬の肉球が皮剥ける原因は、寒い冬の乾燥によって起こった痒み、アスファルトやコンクリートによる摩擦、そして、歩く以外の方法での散歩などで起こる可能性があります。
寒い冬の乾燥によって起こった痒みに関しては、その痒みを何とかして鎮めたいと愛犬自身が舐め壊すことで起こってしまうものです。しかし、もう一方のアスファルトやコンクリートによる摩擦や歩く以外の方法での散歩については、不適切な散歩方法によって、こうした皮剥けを起こしてしまうことがあります。
▽『皮が剥けた状態の肉球』
上記の画像は、可哀そうなことに散歩をする飼い主さんが、歩き以外の方法(自転車やバイク)で起こってしまった擦過傷のようです。
犬の散歩は歩き以外の方法で行ったとしても、法律においては何ら罰則が科せられたり、問題になったりするということはありません。
しかし歩き以外の散歩の場合、こうした肉球の皮剥けは肉球の乾燥以上に起こりやすく、ちゃんとした治療を行わなかった場合、感染症の危険性がとても高まってしまいます。
犬の肉球のためにも、散歩をする際は愛犬の歩幅、そしてご自身の足を使った散歩を心掛けるようにしましょう。
乾燥し過ぎで起こる肉球トラブル③:ひび割れ
犬の肉球が乾燥し過ぎることによって起こり得るトラブルで考えられるものに、ひび割れがあります。
ひび割れは基本的に、洗い過ぎなどが原因で起こった乾燥によって出来てしまったり、冷たいアスファルトの上を素足(肉球)のまま歩くことで出来てしまったりします。
▽『乾燥によって起こった肉球のひび割れ』
とはいえ、犬の肉球は元々寒さや暑さにある程度耐性を持った作りをしているため、皆さんもご存知の通り『乾燥したらすぐにひび割れを起こす』わけではありません。
犬の年齢や散歩をする時の肉球の環境、また、季節の違い、ケア方法の仕方によっても乾燥度合いが異なってきます。
肉球のひび割れは、素足でアスファルトを歩く頻度が多い、長時間散歩を要する犬では、その過酷な環境下によって皮膚の肥厚や肉球の保湿性の減少をより一層高めてしまう場合があります。
特にご自身の愛犬に、『靴を嫌う』、『長時間散歩を必要とする』、『肉球クリームを嫌がる』というような特徴を持ち合わせていて、且つ飼い主さん側の意識として『散歩後しっかり肉球を洗う』という考えをお持ちの場合には、皮脂の余分な除去による乾燥から肉球のひび割れを助長させてしまう恐れがあるため、注意しましょう。
乾燥し過ぎで起こる肉球トラブル④:あかぎれ
人の手の関節によく見られるあかぎれ。
実はこのあかぎれを起こす対象は、人だけではなく犬も、そして猫にも起こり得ると言われています。これは、上記でご紹介したひび割れ同様、本来土の上を歩くことに適して使われてきた肉球が、アスファルトやコンクリートなどを歩くことによって受けてきた刺激や乾燥が原因で起こってしまうものだからだと考えられています。
あかぎれ:真皮層まで達し、赤みや痛み、皮膚の亀裂の深さを伴う
ひび割れ:皮膚の亀裂が浅く、わずかな痒みを伴う
しかし一般的にあかぎれは、ひび割れと違ってこのような特徴があり、ひび割れよりも重度な状態のものを指します。
流石に犬の肉球が、あかぎれ状態に進行してしまうまで放置してしまうことは稀かもしれませんが、地域によってはその進行速度に違いが生じる可能性は0ではないため、しっかり気に掛けてあげるよう心掛けましょう。
愛犬に肉球トラブルが起こった際の注意点とは?
愛犬に肉球トラブルが起こった時には、そのトラブルが本当に乾燥からくるものなのか、他に原因がないかなどをしっかりと確かめておくようにしましょう。
犬の肉球トラブルは、何も乾燥やアレルギーだけが原因で起こるわけではありません。
そこには加齢による肉球の角化、愛犬の舐め壊しによる趾間炎、関節疾患からくる独特な歩き方で起こる指間嚢胞や犬ジステンパー感染症などでも、肉球にトラブルが起こってしまうことがあります。
さらに、飼い主さんの中にはもしかしたら、散歩から帰ってくるたびに肉球をしっかり洗ったり、拭いたりしている人が居るかもしれませんが、それはかえって逆効果です。
確かに素足で歩くことを前提としている散歩から帰ってきた際には、出来るだけ綺麗な状態で家に上がってもらいたいと飼い主心理からすると思ってしまうかもしれませんが、犬はただでさえ乾燥肌になりやすい傾向を持ち合わせているため、犬の肉球にもある程度の油分を残しておかないと、乾燥を加速させてしまいます。
そのため、愛犬の肉球を清潔にする際は、乾いたタオルやウェットティッシュで軽く拭いてあげるだけに留めておきましょう。
愛犬に肉球トラブルを起こさせないための主な対策方法
それでは、大切な愛犬に肉球トラブルを起こさせないためには、どんな対策を心掛ければ良いのでしょうか?
結論から申し上げれば、とにかく保湿ケアを徹底してあげることです。
乾燥によってトラブルを起こした場合、肉球用の保湿クリームなどでケアをしてあげることで、それだけで摩擦や乾燥から肉球を守ってくれます。
ただ、中には保湿クリームに対して抵抗を示すワンコも少なからずいるため、その場合には、以下のような保湿効果があるスプレーなどを吹きかけてマッサージしてあげると、肉球のケア・保護に役立てることが可能です。
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犬にとって肉球というのは、単に歩くだけの機能に留まらず、衝撃吸収の役割や滑り止めの役割、体温調整に関係する役割など、多岐に渡ります。
そのため、そうした数々の優れた機能を守るためにも、常日頃からしっかりとしたケアを怠らないよう心掛けると良いでしょう。
犬の肉球の詳しい役割を知りたい方はこちらの記事も是非ご覧ください。
▼【合わせて読みたい!こちらの記事もオススメです】
冬本番!素足で歩く犬は冷たくないの?肉球の役割と肉球保護のおすすめグッズ3選
>https://www.inutome.jp/c/column_9-214-38121.html
まとめ
いかがでしたか?
乾燥のし過ぎで起こってしまう可能性がある肉球トラブルは、しっかりとケアしてあげることで、その可能性を防ぐことが出来ます。
肉球は、確かにある程度の厚さや寒さに耐性があるものではありますが、それもしっかりとしたケアあってこそ。
普段見ている愛犬の肉球に少しでも異変が見られるようなことがあったなら、その時には獣医さんに診てもらった上、しっかりと肉球ケアをお忘れなく!
<参考書籍>
いぬ大全304
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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