犬を迎える上で欠かせないドッグフード選び。
今や年齢別で用意されているドッグフードもその種類の豊富さから、切り替える時に「どうしよう…」と頭を悩ませてしまう方も多いと思います。
しかし、やはり愛犬と生活を共にしていく以上、ライフステージに合わせたフード選びはとても重要です。
そこで今回は、年齢別で見る栄養価の違いや切り替えの方法、与えるフードが療法食だった場合の対応についてもご紹介します。
ドッグフードのタイプには何がある?
皆さんはドッグフードと聞いて、最初にどのようなタイプを思い浮かべるでしょうか?
昔なら、猫マンマを除いた「カリカリ」と言えばドライフードといった概念で、犬も猫もその一つで通用しましたが、今では様々なタイプが存在するようになりました。
ドライフードタイプ
ドライフードは、水分含有量が10%程度以下のドッグフードで世間一般的に知られているドッグフードとして有名です。
物によってその形状、硬さ、製法などに若干の違いがありますが、多くは特殊な加圧押出機で原料を加工する膨化粒状のものが主流とされ、与えやすさは然ることながら、値段や保存性の良さ、そして栄養価についてもバランス良く配合できるのが特徴です。
ソフトドライフードタイプ
ソフトドライフードは、水分含有量が25%~35%程度のフードのことを指し、一般的に加熱発砲処理されているものがこれに当たります。
ドライフードよりも柔らかく水分量を多く含んでいるため、パピーやシニア犬にも食べやすい嗜好性が高めのフードとなっているのが特徴です。
ただし、しっとりさを保つ目的で湿潤調整剤が使われているものが多いです。
セミモイストフードタイプ
セミモイストフードは、フードの水分含有量を25%~35%程度含んだドッグフードで、半湿潤タイプのものがこれに当たります。
セミモイストフードは製造過程がソフトドライタイプのものと違って発砲処理を行なっていないため、こちらもしっとりさを保つ目的で湿潤調整剤が使われているものが多いのが特徴です。
また、柔らかさや食べやすさ、嗜好性もソフトドライタイプと同程度に高いため、パピーやシニア犬に食べやすいフードとなっています。
ウェットフードタイプ
ウェットフードは、水分含有量が75%程度以上の製品で、缶詰やアルミトレー、レトルトパウチなどに入っているものが、このタイプです。
魚肉や畜肉を原料としたオートミールタイプと、そこに植物性の原料やビタミン、ミネラルなどを加えたレーションタイプの2種類があります。嗜好性が高く、食が細くなったシニア犬には特におすすめのフードですが、保存性に関しては、未開封を除いて最高でも2日以内には消費しなければならない点に注意が必要です。
犬の年齢別栄養価の違いって?
ドッグフードの切り替えを行う上で欠かせない犬の栄養価の違いについては、迎えた犬種や運動量、年齢、持病の有無、ドッグフード自体のカロリーなどで変わってきます。
まずは犬の年齢別で、必要な栄養価について、基本的な内容を見ていきましょう。
パピー期・繁殖期に必要な栄養価
犬の年齢別において、タンパク質量及び脂質量を共に多く必要とするパピー期と繁殖期(妊娠・授乳期)の栄養価は、AAFCO(米国飼料検査協会)では、タンパク質22.5%以上、脂質8.5%以上、ME(代謝エネルギー要求量)1000kcal当たりのタンパク質量は、56.3gと定められています。
一般的にパピー期にある子犬や繁殖期(妊娠・授乳期)にある成犬の場合、そうでない成犬と比べた時には、大体離乳直後の子犬の場合で同じ体重の成犬の約2倍のMEを必要とすると言われています。また、子犬を産むために栄養を必要とする繁殖期の母犬の場合でも、妊娠後期に差し掛かった時には、通常の成犬に比べてMEは約1.4倍以上を必要とすると言われています(体重10kgの場合)。
さらに、この時期の愛犬はカルシウムやリンの値も要求量が多くなるため、それらに合わせたドッグフードを選択するのが重要です。
成犬期に必要な栄養価
成犬期におけるタンパク質量及び脂質の栄養価については、タンパク質18%以上、脂質5.5%以上、ME(代謝エネルギー要求量)1000kcal当たりのタンパク質量は、45.0gと定められています。
成犬時はパピー期・繁殖期ほど代謝エネルギー要求量を必要とはしませんが、適切な体重管理や筋肉維持のためのドッグフード選びが重要となってきます。
シニア期に必要な栄養価
シニア期に必要な栄養価については、AAFCO(米国飼料検査協会)で栄養基準は定められていません。
基本的にはシニア犬用とされているフードの栄養基準も、成犬の栄養基準がベースとされています。しかし、シニア期の場合では、運動量低下による肥満や代謝低下に伴うたんぱく質不足には注意が必要です。
一般的にシニア期にある犬では、成犬期に比べ30%~50%程度多く、タンパク質を必要とすると言われています。
また、機能が低下しやすい腎臓や肝臓といった臓器への負担にも気を付けながら、低カロリー・高たんぱくのドッグフードを選ぶよう注意することが大切です。
年齢に応じてドッグフードを切り替える方法
では、いざ年齢に応じたドッグフードの切り替えを行なおう!と思った時には、どんなことに注意をすればよいのでしょうか?
フードを切り替える時には、まず大前提として『一気に切り替えを行わない』ことを覚えておきましょう。
犬は元々肉食性で、胃液も強酸性という特徴を持ち合わせている動物のため、そこまで胃が弱い訳ではありません。
しかし、一方で犬の胃は自律神経によって自分の意思とは関係なく働く臓器であるため、ストレスの影響を受けやすいという特徴も持ち合わせています。
そういったことも踏まえた上でフードを切り替えるため、おおよそ1週間~2週間を目安に、最初は元のドッグフードと新しいドッグフードを9:1の割合で与えてみましょう。
そうして毎日1割程度を新しいドッグフードに切り替えていき、それまでのドッグフードを減らしていきます。
ただし、切り替えている途中で下痢や嘔吐といった不調を見せた場合には、絶食させるかどうかを愛犬の様子を見ながら判断し、状態に合わせた対処を心掛けてあげてください。
絶食は時と場合によっては有効ですが、犬種の性格によってはそれが必ずしも有効な対処法とは限らないため、しっかりと見極めてあげましょう。
それでもなかなか下痢や嘔吐が良くならない場合には、もしかしたらそのフードは体質に合っていないかもしれません。下痢や嘔吐、軟便などが続くようなら迷わず動物病院を受診しましょう。
愛犬が療法食の場合は切り替える必要あり?なし?
それでは、もしも愛犬が若い頃から療法食を主食としていた場合、そのフードの切り替えは必要なのでしょうか?
結論を申し上げれば、療法食の切り替えを検討する際には愛犬のその時の状況、現段階の持病の状態、そして獣医師さんとの相談によって判断が異なります。
持病を持っている愛犬のために与えている療法食というのは、元からその病気の状況をこれ以上悪化させないよう、管理・調整されたフードとして作られているものなので、特別な事情がない以上は、切り替える必要はありません。
ただ、年齢と共に抱える病気が増えたり、心臓・肝臓・腎臓といった機能低下に伴う変化が生じたりしてきた際には、変更するという選択もあるでしょう。
筆者の2代目シェルティは、元々若い頃から食物アレルギーを持っていて、食べられる食材が相当限られていました。
中でもアレルギー反応を示したものに鶏肉が該当していた時には、「ドッグフード代表格の主食が食べられないって、他にどうすれば…?」と頭を抱えましたが、それでもそういった時に代わりとなる主原料で作ったドッグフードが数多く用意されているのが、療法食です。
療法食の場合、物によってはライフステージ別で用意されていることもあるかもしれませんが、通常は全年齢用、もしくは成犬~シニア犬用に作られている場合がほとんどのため、あくまでも療法食の切り替えを検討される場合には、事前にかかりつけの獣医さんにご相談の上、切り替えをするよう心掛けましょう。
まとめ
いかがでしたか?
昔こそドッグフードというとドライフードが主な選択肢で、主な原材料も鶏という選択肢しかなく年齢別にドッグフードを切り替えるという感覚は、ほぼなかったかもしれません。
しかし、今では種類も製造方法もそして使用されている原材料においても多種多様な食材で作られるようになりました。
犬の年齢も年々高齢化が進んできて、今や犬種全体の平均寿命はおおよそ13歳~15歳(人間換算:68歳~76歳(大型犬含む))とも言われているため、ドッグフードの切り替えを検討される際は、年齢別に応じたドッグフードの切り替えを、心掛けてあげてください。
<参考サイト>
ペットフードのためのQ&Aガイド
>https://dourinken.com/wp-content/uploads/2019/12/petfood-QandA.pdf
AAFCO2016年版における犬猫の栄養素プロファイル概要(前編)|迫田順哉|ユニ・チャーム株式会社
>https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpan/19/2/19_105/_pdf
ペットフードの種類|一般社団法人ペットフード協会
>https://petfood.or.jp/knowledge/kind/
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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