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「車内に犬を留守番させるのは違法?!」 犬を車に残してはいけない理由をご紹介

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お出かけをしたときにふと隣の車を見ると、車内で犬が留守番をしている。

よく見かける光景ではありますが、車内に犬を残していくと状況によっては違法になるだけでなく、犬の命を危険にさらされてしまうかもしれません。

今回は車内に犬を残していく危険性をまとめましたので、愛犬とお出かけの際の参考にしてみてくださいね。

車内に犬を残すのは合法?それとも違法?

車内に犬を1匹で残すのは問題のない行動なのでしょうか。

結論から言うと、車内に犬を1匹で留守番させると違法になる可能性があります。

理由は2つあります。

▼車内に犬を残すのが違法になる理由

①「動物愛護法違反」になる可能性があるから
②「道路交通法違反」になる可能性があるから

①「動物愛護法違反」になる可能性があるから

日本には動物を守るために「動物愛護法」という法律があります。

動物愛護法では「健康や安全を保つことが困難な場所に動物を拘束して衰弱させること(動物愛護法44条2項)」は虐待にあたると定めており、100万円以下の罰金または1年以下の懲役が課されます。

「車の中は過酷な環境じゃないでしょ」と思うかもしれませんが、JAFが行った車内の温度変化の計測実験によると、外気温が23℃であっても車内温度は30分ほどで35℃以上に達しました。

▼車内の温度変化の計測実験

(外気温:23.3℃〜24.4℃ 外湿度:11~19% 車両を南向きに配置 大型SUVと軽ワゴンで計測)

実験結果を見てみると、猛暑といえない気温(23℃)であっても車中は十分高温になっていることがわかります。

犬には毛があるので、人でいうとダウンを着ている状態と同じです。

気温が35℃の中、ダウンを着て過ごさなければならないと考えると車内は十分過酷な環境だといえます。

また、犬は汗をかけないので体温を下げられず、人よりも熱中症にかかるリスクが高いです。

熱中症の死亡率は36~46%(重症化の場合)と非常に高く、後遺症が残ることもあります。

熱中症にかかりやすい生き物を高温の環境に拘束していると考えると、虐待に問われる可能性が高いです。

②「道路交通法違反」になる可能性があるから

では、車内が涼しくなるようにエアコンをつけておくのはどうでしょうか。

エアコンをつけておくためにはエンジンをかけたまま車を離れるということになりますが、この行為は道路交通法の「停止措置義務違反道路交通法(第71条5号)」違反に該当します。

車から離れるときはエンジンを切り確実に止めた状態にしておかなければならないと定められているので、エアコンをかけたまま車を離れると罪に問われる可能性があります。

車内に犬を残してはいけない2つの理由

犬を車内に残すと違法になる可能性が高いことがわかりました。

違法だからやってはいけないというのはもちろんなのですが、別の面からも犬を1匹で車内に残さない方がよい理由があります。

▼車内に犬を残してはいけない2つの理由

①車内は熱中症を起こしやすい環境
②思わぬ事故が起こりやすい

①車内は熱中症を起こしやすい環境

先ほど犬は人よりも熱中症にかかりやすいとお話しましたが、車の中は私たちが考えるよりも熱中症を起こしやすい環境です。

下のグラフはアイペット損害保険株式会社が行った犬の熱中症に関する意識調査の結果ですが、飼い主さんがペットの熱中症を疑った状況を見てみると「車での移動中」や「車内でのお留守番中」など車内で熱中症にかかるペットが少なくないことがわかります。

車内で熱中症にかかりやすい理由として下記のことが考えられます。

・水が自由に飲めない
・エアコン停止後、短時間で車内が高温になる
・不安や興奮、恐怖は体温を上昇させる

JAFの調査によるとエアコンを停止した車内はわずか20分ほどで40℃まで温度が上昇するそうです。

また、慣れない場所で過ごす興奮や車内に1匹で残される不安は犬の呼吸を荒くさせます。

呼吸が荒くなると体温が上がるので、普段よりも熱中症にかかる可能性が高くなります。

車の中に犬を乗せるときには十分に熱中症対策をとることが大切です。

②思わぬ事故が起こりやすい

車内に犬を残すと思わぬ事故を起こす可能性が高くなります。

動物病院からは誤って犬がエンジンを切って、エアコンが止まってしまった事例も報告されています。

▼Vol.39 車でお留守番は危険です 湘南台セントラル動物病院
>https://www.central-pc.org/column/254

また、パワーウィンドウのボタンを踏んで外に飛び出したり、車内に置いてあるティッシュやお菓子の袋などを誤飲する可能性もあります。

不安や興奮から普段とまったく違う行動をとることも多いので、車内に犬を1匹で残すのはおすすめしません。

エアコンをつけていても熱中症にはかかる?!

エアコンが効いた車内であれば熱中症を起こさないかというとそうではありません。

JAFの報告によると、駐車時にエアコンを使用していても直射日光が当たる環境では車内温度は40℃近くまで上昇したそうです。

40℃は熱中症を引き起こす温度です。

また自由に水を飲める環境でなかったり、エアコンによる乾燥で脱水症状を引き起こすリスクが高くなります。

エアコンを稼働していても熱中症にかかる可能性は十分あるので、油断しないようにしましょう。

短時間でも車内に犬を残すことはやめよう

体温が40℃を超えると熱中症にかかるリスクがありますが、犬の体温は38℃前後です。

体温が1~2℃上がるだけでも熱中症にかかる可能性があります。

最初に少し触れましたが熱中症は死亡率も高く、危険な合併症もひきおこす病気です。

たとえ短時間であっても熱中症を起こしやすい車の中に1匹で残しておくのは非常に危険な行動です。

「短時間で戻るから大丈夫」「エアコンをつけているから大丈夫」と油断していると、愛犬を危険な目に合わせてしまうかもしれないので、犬を車内に残す場合は必ず1人一緒に残るか常に一緒に回れるルートを考えておくなど1匹でいる時間をなるべく作らない工夫をとることが大切です。

▼こちらの記事もおすすめです

「犬が熱中症になった時の対処法知ってる?」ワンランク上の対策で愛犬の命を守ろう
>https://www.inutome.jp/c/column_7-172-45720.html

犬を車内で留守番させるのはよく見かける光景ですが、思った以上に危険の多い行動です。

留守中に熱中症にかかるとすぐに対処ができないので、重症化するリスクもあります。

愛犬の命を守るために短時間でも犬を1匹で車内に残さないことを徹底していきたいですね。

<参考URL>

改正動物愛護管理法の概要
>https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/renkei/r01_02/mat02_1.pdf

車内に子供を残さないで!曇りでも、エアコンをかけていても、車内は“危険温度”まで上昇
>https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000045.000003128.html

ペットの熱中症と対策 平成31年度熱中症対策シンポジウム
>https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/sympo/20190602_5.pdf

<画像元>

Canva

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伊藤さん

伊藤さん

・倉敷芸術科学大学 生命動物科学科卒業
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手

やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。

大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。

愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。

「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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