犬を迎えたいと思った場合、これまでの選択肢はペットショップが主流でした。
今でもその選択肢が多くの方に選ばれている現状は変わりませんが、犬の飼養経験を積めば積むほど、保護犬に対する思いが強くなる飼い主さんもまた、近年は多いのではないでしょうか?
今回の記事では、そんな保護犬を迎えたい場合に知っておきたい迎える場所や条件、向き合い方などをまとめました。
<目次>
そもそも保護犬の定義とは?
保護犬とは、何らかの理由で保護施設への引き取り、預け入れられたワンちゃんたちのことを言います。
保護されてしまうワンちゃんたちの主な理由としては、以下のようなことが挙げられます。
▼【保護犬となってしまう主な理由】
・引っ越しや結婚、出産に伴う環境の変化
・犬自身の特性や性格を理解しきれず手を焼いた結果
・ブリーダーの廃業・多頭飼育崩壊
・飼い主自身の病気・死去
・野犬・野良犬
飼い主さん自身の病気や死去については、致し方ない部分があるかもしれませんが、それ以外については例えどんな理由であれ、保護施設に引き取られる・預けられる犬たちや猫たちには何の罪もありません。
また、こうした理由だけではなく、ペットショップで売れ残ってしまっている犬・猫でも、今やその対象(保護犬候補)となり得ていることは否めないのが現状です。
実は筆者がこれまで迎えてきた愛犬たちは、どの子もペットショップで売れ残っていた子たちでした。
初代柴犬は8カ月齢ほど、2代目シェルティは5か月齢ほど、そして今現在迎えて生活を共にしている3代目柴犬もまた、8カ月齢で我が家に迎えています。
保護犬となり得る、または保護犬になりそうな、言わば保護犬候補の犬たちは、時にはこれといった理由もなく保護施設に預けられてしまう場合も少なくありません。
そのため、保護犬を迎える際にはそうした事情で傷を負ってしまっていることも考慮した上で、迎える心構えを持ち合わせておくことが大切です。
現在の保護犬や保護猫の状況とは?
昔に比べ、現在は【動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)】の改正も相まって、保護犬や保護猫の引取り件数などは減少傾向にあるようです。
まずは2022(令和4)年~2023(令和5)年の環境省データによる犬と猫の引取り件数及び、その後の状況を示した以下図表を確認してみましょう。
▽『全国の犬・猫の引取り件数推移』
▽『全国の犬・猫の返還・譲渡数推移』
図表の棒グラフ推移を見る限りでは、引取り件数は年々減少の一途を辿り、反対に返還数・譲渡数の推移については2005(平成17)年を境に増えているという、なんとも嬉しい結果となっています。
しかし一方では、減少の一途を辿りつつも、それでも完全に殺処分ゼロという理想を叶えるには、難しい課題が残っているようで…。
▽『全国の犬・猫の殺処分推移』
2019(令和元)年に環境省が定めた「動物愛護管理行政事務提要の殺処分数の分類」という以下の3点に犬が分類された場合には、殺処分の対象となり得てしまう現状は、とても痛ましいことと言わざるを得ません。
① 譲渡することが適切ではない(治癒の見込みがない病気や攻撃性がある等)
② ①以外の処分(譲渡先の確保や適切な飼養管理が困難)
③引取り後の死亡
しかしこの結果を受けて、「可哀そうだから迎えよう」といった考えや「攻撃性があってもうちなら平気」といった自己の過信の元迎えようとする行為は、それはそれで関わり方の面で大変危険を伴うため、安易な迎え入れは行わないようにすることが大切です。
保護犬を迎える際には、しっかりとご家族全員で相談・熟考した上で迎えるよう心掛けましょう。
どこから迎える?保護犬を迎える時の3つの場所【番外編あり】
現在の日本では、保護犬を迎える時の場所として、主に動物保護施設・自治体の動物愛護センター・保護犬カフェでの迎え入れ方法があります。
番外編としてその他という項目もご紹介しますが、まずは主な迎え先の詳細をそれぞれ確認してみましょう。
動物保護施設
犬や猫を救助し、管理、譲渡までを担う動物保護施設。
主にこれらの施設の多くはNPO法人で活動しており、一般の方からの寄附で運営が賄われています。
こうした動物保護施設の場合、情報収集の多くはネットに掲載されているため、まずは検索エンジンに「動物保護団体 東京都」などと入力し、地元の保護団体を調べると良いでしょう。
動物保護施設では、実際に施設に赴いて見学する方法の他に、定期的な譲渡会イベントなどを開催していることが多いため、そういった機会に訪れて触れ合ってみても良いでしょう。
自治体の動物愛護センター
自治体によって、保護犬や保護猫の譲渡活動を直接行っている場所があります。
動物愛護センターからの譲渡のほか、オンラインによる譲渡事前講習会、現時点で譲渡可能な保護犬や保護猫などの情報がサイトで確認できるため、まずはどんな子がいるか、譲渡条件などを確認して見ると良いでしょう。
保護犬カフェ
まだ保護犬を迎えるかどうか迷っているけれど、実際迎えるとなったら保護犬を、と考えている飼い主さんにとって気軽に訪れることが出来るのが、保護犬カフェです。
動物保護施設では、場所によってシェルターを兼ねてカフェを運営しているケースがあり、そこには最終的に気に入れば、譲渡の実現が可能な保護犬や保護猫がいます。
基本的に、保護犬カフェにいる保護犬たちとの触れ合いは、それを目的としたカフェという訳ではないため、もしも気になる子が怖がって一向に近寄ってこない子だったとしても、それはそれとして受け止めることが大切です。
保護施設に連絡を入れることに抵抗がある場合やハードルが高いと感じる場合には、保護犬カフェに訪れてみることを検討してみましょう。
その他<番外編>
保護犬を迎える主な迎え先については、上記の3つの場所がメインとなってくるでしょう。
しかし、その他にも動物病院やペットショップという選択肢も存在します。
昔は動物病院はその言葉通り動物病院だけ、ペットショップはペットショップだけという認識の方は多かったかもしれません。しかし現在では、動物病院でも譲渡活動のボランティアを担っていたり、ペットショップでも同様な活動をしていたりする場所が増えています。
保護施設に比べると譲渡の機会はそれほど頻繁ではないかもしれませんが、こうした場所も増えているということは覚えておくと良いでしょう。
保護犬の里親になるための条件とは?
ペットショップやブリーダーで犬を迎えるのとは違って、保護された犬を新しく迎えようとする場合には、迎え先によって条件が定められています。
「動物が好きだから」や「保護活動に貢献できれば」という思いだけでは、譲渡が成立しない可能性があるため注意しましょう。
一般的に保護犬や保護猫を迎える際によく求められる条件には、以下のようなものがあります。
▼【保護犬を迎えるための主な条件】
・犬を飼うことを家族全員が賛成していること
・不妊・去勢手術を行うこと
・狂犬病予防注射・混合ワクチン接種を行うこと
・単身者や高齢者の場合、後継人が居ること
・小さなお子さんが居ないこと(迎え先による)
・カップルの場合、婚姻関係を結んでいること(迎え先による)
・住環境が賃貸の場合、ペット可物件であること
・安定的な収入があること
・家を空ける頻度が少ないこと
ペットショップの場合では、迎える選択権は100%人の方にありますが、保護犬の場合では、その選択権は保護施設のスタッフさんに加え、ひいては保護された犬たちにもあるため、お互いがマッチした時に初めて譲渡が成立します。
例えば里親希望者側が迎えたいと思っても、保護施設側がNOと判断した場合には譲渡成立は叶わない場合があるため心掛けておきましょう。
また、当然譲渡希望者側が最初こそ「この子が良い!」と思っても、いざその子とトライアルをしてみたら思っていたのと違うという場合も然りなので、保護犬を迎える際には、お見合いのようなイメージで臨みましょう。
保護犬を迎えたら、向き合い方は『ゆっくり、焦らず』
実際に保護犬と面会して、正式に譲渡が成立した場合、晴れて愛犬となった保護犬と向き合う時には『ゆっくり、焦らず』をモットーに少しずつ関係性を気付いていくことが大切です。
成犬の保護犬の場合、警戒心が強い子はもちろんですが、人懐っこい子であっても譲渡されてからしばらくは、人や場所に慣らす必要があります。
そのため、最初の内は、仲良くなりたくても触り過ぎたり、写真を撮ったり、また、構い過ぎたりするのではなく、そっと見守りましょう。
保護犬の中には、順応性高くすぐ慣れる子も居るにはいますが、そうでない子の場合にはゲージやクレートからちゃんと出てくるまで1カ月以上掛かることも覚悟する必要があります。
ただし、好奇心旺盛で人や犬を怖がることなく保護された子犬の場合である時には、この限りではない場合があります。
また、もしも先住犬が居るといった場合には、最初は生活スペースを分けて、お互いの状況や関係性を観察するよう心掛けましょう。
この場合についても子犬の場合と成犬の場合では、愛犬同士の状況を見極めつつ慎重に判断することが大切ですが、迎えた保護犬が子犬で、先住犬の方に受け入れ態勢があるようなら、お互いの生活空間を一緒にしても問題ない場合があるため、覚えておきましょう。
まとめ
今や保護犬を迎える方法は、多種多様な形で迎え入れが可能となりました。
しかし保護犬を迎えるということは、その飼い主さんと愛犬となった保護犬にとって、新しい暮らしがスタートするキッカケになったに過ぎないことを忘れてはいけません。肝心なのは、そのあとの保護犬との生活や関係性です。
そのため、保護犬の迎え入れを検討される場合には、その子の一生が幸せになるような心構えを持って、迎えてあげてください。
<参考書籍>
保護犬・保護猫と家族になるときに読む本 お迎えから育てかたと向き合い方まで
気持ちを知ればもっと好きになる! 犬の教科書
<参考サイト>
犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況|環境省
>https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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