5月のGWも終わり、多くの方が日常に戻る時期。
巷では、人だけではなく犬もまた5月病といった体のだるさを感じてしまう場合があると言われますが、犬の5月は熱中症の対策にも注意しなくてはならない時期でもあります。
そこで今回は、5月の時期から始める犬の熱中症対策や注意点をご紹介します。
犬の熱中症対策はなぜ夏場よりも5月から必要なの?
犬の熱中症対策が夏場よりも前、ましてや5月頃にはもう必要な主な理由とは何でしょう?
それはズバリ、【人と犬の快適温度の違いと人と犬の汗腺の違い】です。
犬という動物は、基本的に人が夏場快適だと感じる温度(おおよそ25℃~28℃)よりも2℃~5℃(幅はあるもののおおよそ21℃~26℃)ほど低い温度が快適だと言われています(犬種により変動)。
また犬の汗腺についても、人であれば体温調節の役割を果たし、主に全身に分布しているエクリン腺が、犬の場合だと肉球や鼻先など、限られたごく一部にしか存在しないため、犬の多くは体温調節を苦手とします。
そのため、一般的に人が熱中症に罹りやすい時期のイメージでいうと、どうしても夏本番を直前に迎える6月の梅雨時期から夏真っ盛りになる8月のイメージを持つ人が多いと思われますが、そのイメージを犬にも当て嵌めてしまうと…、さて、どうでしょうか?
犬の熱中症に関して実施したあるアンケート調査では、2019(令和元)年の時点で飼い主さん自身は【愛犬の熱中症が最も多い時期】を、以下のような感覚で捉えている結果が示されています(「熱中症ゼロへ」プロジェクトチーム調べ)。
▽『飼い主が愛犬の熱中症を意識する時期のアンケート結果』
しかし現状は、2023(令和5)年6月~2023(令和5)年8月までに犬の熱中症が原因で請求された保険金データでは、得られた算出結果に以下のような報告が示されました。(アニコムホールディングス株式会社【本社:東京都新宿区、代表取締役:小森 伸昭】調べ)。
▽『犬猫熱中症月別診療件数』
ご覧のように3月~4月はごく微小の請求件数が、5月になった途端、犬では100件以上の熱中症請求件数が報告されています。
本格的な暑さが始まる前までは、どうしても私たち人の感覚と犬の感覚を似たようなものとして認識してしまいがちですが、犬の熱中症の危険性というのは、私たち飼い主が思っている以上に5月から急速に増してきます。
そのため、この時期からの対策がとても大切になってくるので、5月の今こそ、熱中症に対する対策を心掛けるようにしてあげましょう。
▼【合わせて読みたい!こちらの記事もオススメです】
犬の熱中症対策は5月から!罹りやすい犬種や熱中症の症状、病院にかかった時の費用を解説!
>https://www.inutome.jp/c/column_7-163-44845.html
5月から始める犬の熱中症対策
それでは、5月から始めておきたい犬の熱中症対策をご紹介します。
犬の熱中症を引き起こさないようにするための事前準備としての対策を、一つずつ確認してみましょう。
【屋内】で犬が熱中症にならないための対策
まず、犬が一日のほとんどを過ごす【屋内】での対策では、以下の3つの対策をしておきましょう。
▼ポイント①【直射日光を避けた環境作り】
例:ベランダ付近に簾(すだれ)の設置
愛犬用ベッド内には接触冷感のマットなどの設置
▼ポイント②【水分補給するための水飲み場作り】
例:通常1か所設置のところ2か所に増やす
▼ポイント③【エアコンクリーニング】
例:繁忙期前の3月~4月に綺麗にしておく
試運転をしてエアコンの利きを確かめておく
以上が【屋内】で犬が熱中症にならないための対策の主な内容です。
中でも、エアコンクリーニングについては、「早すぎでは?」と感じても、この時期くらいから対策を心掛けましょう。
犬にとって欠かせないエアコンのクリーニング作業は、暑くなる直前になってからでは遅く、5月時期になる前でのエアコンクリーニングを怠ってしまうと、いざ愛犬の快適温度である26℃の設定や除湿の設定をしたとしても、思った程の涼しさを感じられない、除湿の効果が得られているか微妙…といった事態にもなりかねません。
そのため、【屋内】による犬の熱中症対策は、これら3つを中心に、暑さが本格化する前から準備しておきましょう。
【屋外】で犬が熱中症にならないための対策
続いては【屋外】、取り分け散歩の際に気を付けておきたい対策には、以下の3つを心掛けましょう。
▼ポイント①【こまめな水分補給】
例:定期的に立ち止まって飲むかどうかを試みる
パンティング(舌を出して喘いでいる)が激しい時に給水を試みる
▼ポイント②【冷却グッズの使用】
例:冷却ベストや濡らしたタオルの着用をする
体表に水を掛けた後、風を送る
▼ポイント③【散歩場所の変更・ルート変更】
例:気温の高い日は日陰を歩く
公園内の風通しの良い場所を歩く
以上が、【屋外】による主な犬の熱中症対策の内容です。
気温が低くても湿度が高ければ熱中症になり得るので、特にこまめな水分補給は意識するよう心掛けてあげてください。
また散歩場所の変更・ルート変更についても、晴れて気温が上昇した場合には5月の散歩であっても注意し、意識的に日陰や風通しの良いところを選んで歩いてあげましょう。
【車内】で犬が熱中症にならないための対策
それでは、多くの飼い主さんが結構見落としてしまいがちな【車内】での対策を、ここでは2つ程見ていきましょう。
▼ポイント①【遮光カーテンまたは遮熱フィルムを付ける】
例:運転席や助手席以外の席の窓に遮光カーテンまたは遮熱フィルムを貼る
▼ポイント②【外気温25℃を目安に犬の車内待機を判断する】
例:休憩中は窓を開けるかエアコンを付けっぱなしにする
愛犬と一緒に外に出て、日陰になる場所で涼む
(※ただし、25℃以下でも活動的な犬、興奮する犬は車内に残さないようにする)
以上が【車内】における犬の熱中症対策内容です。
愛犬と一緒に出掛けることの多い飼い主さんは、ついつい「ちょっとの間だけ…」と思って、飲料水や軽食の購入にコンビニに立ち寄ることもあるかと思いますが、こうした行為は最悪愛犬の熱中症を招いてしまう大変危険な行為なので、上記のポイント2つを心掛けておきましょう。
5月の犬の熱中症対策で見落としがちな注意点とは?
では、5月から犬の熱中症対策をする上でついつい見落としてしまいがちな注意点には、どのようなものがあるのでしょうか?
5月に気を付けておきたい注意点を以下でいくつか確認しておきましょう。
▼【5月に見落とす!?犬の熱中症注意点】
①日中による散歩
②コンクリート上の気温確認
③気温がある程度高くて雨が降っている時の湿気状況
5月という季節は、人からしてみればそこまで暑くない日もあれば、過ごしやすい日もある、一見すると犬の散歩にも影響がないような季節とも言えます。
しかし、犬からしてみると、例えば外気温が30℃以上を超えるような日中に散歩をすると、犬種の体高によっては40℃以上もの温度を感じさせてしまう場合があります。
▽『暑い日の人と犬の体感温度の違い』
そのため、2024(令和6)年のGW時にも29℃以上の気温を観測したような日中に、犬の散歩に出掛けるということは避けた方が無難です。
また、コンクリート上の温度の確認も、5月頃はあまり行わないかもしれませんが、念のため晴れていて外気温が25℃前後を記録するような日は、事前に地面の熱を確認しておくように注意しましょう。
▽『直近での犬の熱中症週間予報情報』
そして、今となっては当たり前となった犬用のレインコートも、犬がさして気にならない程度の雨量なのであれば、ある程度気温が高い日は着用させない方が良いかもしれません。
というのも、一般的に人のレインコートでも犬のレインコートでも、通気性という面においては、あまり良くないのがレインコートの特徴です。
気温がある程度高く、湿気も高い状態で愛犬がレインコートを着用する状況は、かえって被毛とレインコートの間で蒸れが生じて、逆に熱中症の危険性を高めてしまう可能性が考えられます。
レインコートは気温の低い時には雨を凌げて、汚れも凌げて、さらには寒さも凌げる万能アイテムの一つではありますが、蒸し暑さが感じられる時には、散歩から帰った後にしっかりとタオルなどで愛犬の身体を拭いてあげたりして、被毛ケアを徹底してあげるのが良いでしょう。
まとめ
5月から始める犬の熱中症対策は、人からすれば、まだまだ「必要ないんじゃない?」と感じられるようなことが多いかもしれません。
しかし、犬の種類によっては、短頭犬種や小型犬種、寒冷地域出身の犬種やダブルコートの犬種、子犬やシニア犬、肥満や心臓病などの持病がある犬などは、熱中症に罹りやすく、脱水症状や重症化を招きやすいと言われています。
犬の熱中症対策においては、早いに越したことはないため、是非とも5月という季節から、少しずつでも熱中症対策の準備を始めてみてくださいね。
<参考サイト>
熱中症ゼロへ|犬や猫を飼ってる人
>https://www.netsuzero.jp/learning/le09
アニコム損害保険株式会社|犬と猫の「熱中症週間予報」、4月18日から配信開始 わが子の命を守るため、早めの対策を
>https://www.anicom-sompo.co.jp/news-release/2024/20240418-2/
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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