獣医療の進歩や飼い主さんの健康意識の向上によって小型犬では20歳、大型犬では12歳を超えるわんちゃんも増えてきました。
健康で快適なシニアライフを送ってもらうには、愛犬の老いに合わせて飼い主さんがサポートをしてくことが大切です。
そこで今回は愛犬が10歳を超えたら知っておきたいことを8つご紹介します。
心の変化や食事、終活の心構えまで幅広くご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
<目次>
愛犬が10歳を超えたら知っておきたいこと①「老いる順番」
犬の感覚は聴覚、視覚、嗅覚の順に衰えていくと言われています。
最初は「呼んでも反応が鈍い」「何度もコマンドを繰り返さないと通じない」といった行動が現れ始め、次第に「物にぶつかる」「段差で転ぶ」といった行動が増えてきます。
聴覚の衰えは気がつきやすいですが、視覚の衰えは今までの感覚や嗅覚を頼りに動くことができるので、意外と飼い主さんが気づきにくいです。
聴覚の衰えに気づいたら「家具の角にクッション材を巻く」「段差にガードを置く」「通りに物を置かない」など視覚の衰えに備えた部屋づくりをしてあげましょう。
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愛犬が10歳を超えたら知っておきたいこと②「かかりやすい病気」
ペット保険のアニコム損害保険株式会社が発表した年齢ごとの疾病情報の統計データによると、10歳の犬がかかって亡くなった病気は下記のようになりました。
▼10歳の犬の死亡原因(対象:1,500頭)
グラフを見てみると「腫瘍」や「循環器疾患」にかかって亡くなる犬が多いことがわかります。
▼「腫瘍」ってどんな病気?
定義は様々ですが「犬の体内の細胞が自分で過剰に増殖する状態」のことをいいます。
「肥満細胞腫」「乳腺腫瘍」「リンパ種」にかかる犬が多いと言われています。
▼「循環器疾患」ってどんな病気
心臓や血管などが正常に働かなくなる病気です。
「僧帽弁閉鎖不全症」「心筋症」「不整脈疾患」にかかる犬が多いと言われています。
腫瘍には色々なバリエーションがあり「皮膚のしこり」「リンパの腫れ」など飼い主さんが発見しやすい形で現れることもあれば「元気がない」「疲れやすい」といった発見しにくい症状で現れることもあります。
腫瘍でも循環器疾患でも早めに発見して早めに治療計画を立てることが大切です。
10歳を過ぎたら半年に一度の健康診断を欠かさないようにしましょう(循環器の治療を専門にしている動物病院は少ないので事前に調べておくと◎)
愛犬が10歳を超えたら知っておきたいこと③「生活環境を見直す」
「白髪が増えた」「寝る時間が長くなった」など愛犬に老化の兆しが見え始めたら、愛犬が快適に過ごせているか生活環境を見直しましょう。
老犬になると環境や生活スタイルが変わると適応するのに時間がかかり、ストレスをためてしまうことがあります。
早めに生活環境を整えて慣れるための時間を多く作ってあげましょう。
▼生活環境の見直しポイント
・隙間をなくす(隙間に入って出られない事故を防止するため)
・家具や柱、曲がり角にクッション材を設置(ぶつかり防止)
・床に滑り防止のマットやカーペットを敷く
・食事環境の見直し(食器・食べる高さ・姿勢が崩れていないか等)
・トイレ環境の見直し(シートの上で滑っていないか、距離が遠くないか等)
・部屋の中の温度変化を少なくする(シーリングファンで空気をかき混ぜる)
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愛犬が10歳を超えたら知っておきたいこと④「食事を見直す」
10歳を超えると運動量や筋力の低下、食事量が減ったことでだんだんと体が痩せてきます。
そのため10歳を超えたら適度な運動で筋力をキープしつつ、しっかり食べて体重を維持することが一番大切です。
食事の仕方をよく観察して「フードの形状」「ドッグフードの種類」「食事の回数」などが今の愛犬にあっているか一度見直してみましょう。
▼愛犬の食事の見直しポイント
・食事量が減っていないか(病気で食欲が低下していることもあるので注意)
・食事中の姿勢が悪くなっていないか
・食事中に何度もむせていないか
・食べこぼしや食べ残しが多くなっていないか(食器や食事の高さを見直す)
・食べるスピードが遅くなっていないか(フードの形状を見直す)
・食べ始めるまで時間がかかっていないか(歯の痛みや認知機能の低下の可能性)
・だんだん痩せてきた(ドッグフードの種類の見直し)
愛犬が10歳を超えたら知っておきたいこと⑤「心の変化を知る」
年齢を重ねると体だけではなく心も変化してきます。
▼犬の心の変化
・頑固になった
・甘えん坊になった
・怒りっぽくなった
・来客を喜ばなくなった
・物や他の犬への興味が薄くなった
べったり甘えるようになった、犬や人が大好きだったのに素っ気ない態度をとるようになったなど今まで見たことのない一面が現れて性格が変わったように感じるかもしれません。
実際には視覚や聴覚の衰えから今までと同じように反応できなくなっていたり、体の衰えによる不安感や体の痛みを甘えや怒りで表現している場合があります。
若い時と同じような反応を求めずに、今の愛犬の気持ちや反応を尊重してあげるようにしましょう。
愛犬が10歳を超えたら知っておきたいこと⑥「遊び方を工夫する」
年齢が高くなると関節の痛みや視覚や聴力の衰えから若いときと同じ遊びができなくなることがあります。
足腰が衰えてきたなと感じたら「鼻を使ったゲーム」や「知育のおもちゃ」など嗅覚や頭を使った遊びを取り入れるようにしましょう。
聴力が衰えた子には声だけでなくハンドサインも付け足して負荷を調整してあげてください。
遊びの中で自分で考える機会を作ったり手や鼻を使うことは脳にいい刺激になり、認知症予防にも役立ちます。
愛犬が10歳を超えたら知っておきたいこと⑦「自宅でシャンプーできるようにする」
月に1度トリミングに通っている子が多いと思いますが、高齢になるとサロンによっては年齢や持病を理由に断られる場合もあります。
新しいサロンを探せばいいのではと思うかもしれませんが、高齢になるとストレスの許容値が狭くなるので、新しい環境や新しい人を受け付けなくなることがあります。
もしものときに備えて自宅で体のケアができるようにしておきましょう。
泡で出てくるシャンプー(泡立てる手間が省ける)や浸かるだけで汚れやニオイが落とせる入浴剤など時短グッズもあるので、愛犬の体に合うものをセレクトしてあげましょう。
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愛犬が10歳を超えたら知っておきたいこと⑧「終活を意識する」
愛犬が亡くなるときのことなんて考えたくないという方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、すべての犬がゆっくり年を取りながら飼い主さんの手の中で最後を迎えられるわけではありません。
不慮の事故や病気にかかって突然亡くなることもありますし、飼い主さんの外出中に亡くなって最後に立ち会えないといったこともあります。
心の準備ができていないままに愛犬と離れるのは、飼い主さんにとって一番苦しい最後ではないでしょうか。
そのため心の余裕があるときに「元気なうちに一緒にやりたいこと」「病気になったらどうするか」「どんな葬儀をしたいか」など希望や疑問を洗い出して備えておくことが大切です。
高齢になると視力や聴力が衰えて、体も若い時と同じように動かせなくなってきます。
日に日に感じる愛犬の老いに少し切なくなってしまうこともあるかもしれませんが、元気なシニアライフを送ってもらうために、愛犬の変化に対応していきたいですね。
<参考書籍>
イヌの老いじたく 7歳からの最適な飼い方を伝授 サイエンス・アイ新書
犬もよろこぶシニア犬生活
心や体の変化にあわせた老犬とのコミュニケーションがわかる 愛犬の友編集部
<画像元>
Unsplash
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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