日ごとに寒さが増し、本格的な冬がやってきましたね。
愛犬が寒い思いをしないようにと、湯たんぽやペット用ヒーターなどで寒さ対策をしている方も多いのではないでしょうか。
しかし、忘れてはいけないのが冬場は犬の低温火傷が増える季節ということです。
そこで今回は「愛犬を低温火傷にさせない工夫」や「低温火傷をしているかの見分け方」をご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
冬は犬の低温火傷が増える季節?!
冬場は暖房器具による火傷が増える季節と言われています。
ペット保険のアニコム損害保険株式会社が契約者に対して季節ごとの火傷の通院傾向を調査したところ、結果は下記のようになりました。
▼季節ごとの火傷の通院傾向(345,649頭を対象に調査)
グラフを見てみると「1~3月」と「7~9月」に火傷の件数が増えていることがわかります。
7~9月にかけてはアスファルトの熱による火傷、1~3月にかけては暖房器具による低温火傷で通院する犬が増える傾向にあるようです。
また、緑色の線は通院日数を表していますが、火傷が増えている月は通院日数も伸びていることがわかります。
このことから火傷が重症化しており、治療が長期に渡っているケースが多いということも推測できます。
愛犬に暖房器具を使うきとは注意が必要ですね。
低温火傷って何が危険なの?
よく「低温火傷は危険」と耳にしますが、普通の火傷となにが違うのでしょうか。
低温火傷の危険なポイントを押さえておきましょう。
▼「低温火傷」って何が危険なの?
①火傷をしていることに気がつきにくい
②火傷が重症化しやすい
①火傷をしていることに気がつきにくい
高温のものに接触すると短時間でも火傷をしますが、低い温度(44~50℃ほど)でも長時間接触していると火傷になります。
これが低温火傷です。
熱湯や高温の湯気を浴びると痛みを感じて慌てて冷やしますが、低温火傷は傷みを感じにくいため、火傷をしていることに気がつかないケースも少なくありません。
特に犬は全身毛に覆われているため皮膚の異変に気づきにくく、発見が遅れる可能性があります。
②火傷が重症化しやすい
先ほど低温火傷は火傷をしていることに気がつきにくいとお話しました。
そのため火傷の傷が深くなり、重症化しやすい傾向にあります。
傷が深いと痛みを感じる神経も損傷してしまうため、痛みを感じないまま筋肉や骨にまでダメージが達してしまい、治療が長期に及ぶ場合もあります。
低温火傷になるまでの時間は?
ではどのくらいの時間、熱源に当たっていると低温火傷を起こすのでしょうか。
人の場合ですが、低温火傷になるまでの時間と温度は下記のように報告されています。
▼低温火傷になるまでの時間・温度(人の場合)
・44℃→「3~4時間」
・46℃→「30分~1時間」
・50℃→「2~3分」
ペットヒーターには切り替えができる温度設定機能がついている場合が多いですが、商品によっては50~60℃の高音まで設定できるものもあるので、温度設定を違えないように注意が必要です。
また、子犬や老犬は寝ている時間も多いため、気がついたら長時間熱源に接触していたということも考えられます。
熱源の温度が低くでも接触時間が長いと重症化してしまうので、注意が必要です。
愛犬が低温火傷をしているかの見分け方
では愛犬が低温火傷をしているか、どうやって見分ければよいのでしょうか。
下記のような症状、仕草をしていると低温火傷を起こしている可能性があります。
▼低温火傷の症状
・皮膚が赤くなっている
・水ぶくれができている
・特定の箇所を触ると嫌がる
・特定の場所をずっと舐め続けている
低温火傷は損傷レベルが4つに分類されていますが「水ぶくれができる」「特定の場所を何度も舐め続ける」といった症状はⅡ度(浅い)に該当します。
▼火傷の損傷レベル
Ⅱ度(浅い)は痛みがひどく、治療には1~2週間ほど時間がかかります。
Ⅱ度(深い)以上になると神経が損傷したり痕が残ったり、外科手術が必要になる場合もあります。
また深く損傷した傷は時間の経過とともに表面に現れます。
そのため一見軽い火傷のように見えても、時間が経過すると火傷の範囲が広がり、重症化するおそれもあります。
犬は全身毛に覆われているので、毛をめくってこまめに皮膚をチェックしてあげましょう。
愛犬を低温火傷させない工夫
それでは、愛犬を低温火傷させないために私達がとれる対策や工夫は何があるでしょうか。
▼愛犬に低温火傷をさせない工夫
・ペット用のヒーターを使用するときは直接ペットを乗せない(毛布などを敷く)}
・ペットヒーターの温度は38度前後に設定
・湯たんぽを使用する場合は直接本体に体が触れないようにする
・自分で熱から逃げられるようなスペースを設ける
・飼い主さんが熱源の場所にいる時間を管理する
・長時間同じ場所にいることが多い(子犬・老犬など)場合はペット用ヒーターの使用は避ける
・ストーブは周りを柵で囲って熱源から距離をとれるようにする
サークルやケージなど狭い場所でペット用ヒーターを使用すると、熱さを感じても逃げ場がなくて低温火傷をひきおこすおそれがあります。
熱さから逃げられるスペースを必ず確保してあげましょう。
また、寝たきり子や病気で動きが鈍い子の場合、熱源に接触する時間が長いので、時間や温度の管理は十分気をつけながら使用するようにしましょう。
冬になると色々な防寒対策グッズが出ていますが、使用方法や使用時間を誤ると知らない間に愛犬を危険にさらしてしまうことがあります。
各家庭で取りやすい防寒対策は異なるので、今回ご紹介した内容を参考にしながら生活環境や愛犬の体調に合わせて防寒グッズを選んであげてくださいね。
<参考URL>
やけどに注意したい季節があります アニコム家庭どうぶつコラム
>https://www.anicom-page.com/hakusho/column/pdf/140124.pdf
冬場に注意 低温やけど 社会福祉法人 恩賜財団済生会
>https://www.saiseikai.or.jp/medical/column/low_temperature_burns/
やけど(熱傷) 一般社団法人 日本創傷外科学会
>https://www.jsswc.or.jp/general/yakedo.html
<画像元>
Unsplash
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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