「愛犬にはずっと健康で長生きしてほしい」というのは飼い主さん全員の願いですね。
そんな健康を保つのに欠かせないのが「犬のオーラルケア」です。
大切なのはわかっているけれど、なかなか習慣化できないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は「犬のオーラルケアの実態」と「犬のオーラルケアを習慣化するためのポイント」をご紹介しますので、愛犬の口内ケアの参考にしてみてくださいね。
歯科検診で判明、犬の歯周病予備軍は76%
アニコム パフェ株式会社がマースジャパンリミテッドと共同で行った犬の歯科検診の調査によると検診結果は下記のようになりました。
▼犬の歯科検診結果(検診を受診した犬780頭)
歯科検診を受診した犬780頭を調査したところ「歯垢・歯石の沈着が見られた犬」は76%で、3歳を超えると80%まで増加していることがわかりました。
また、進行すると歯周病をまねく「歯肉炎」や口腔トラブルのサインでもある「口臭」も年齢を重ねるごとに増加傾向にあることがわかります。
歯垢は細菌の塊のことで、菌の中には歯周病を引き起こす歯周病菌も含まれます。
また歯石の沈着が見られるということは、それだけ歯垢(菌の塊)が取り除かれずに蓄積していたということでもあります。
歯周病にかかるリスクの高い歯周病予備軍の犬が全体の7割以上いたということを考えると、決して楽観視できない数字だと思います。
歯周病を防ぐにはお家でのオーラルケアが大切ですが、実施している飼い主さんはどのくらいいるのでしょうか。
現状をみていきましょう。
犬のオーラルケア成功者はわずか20%
愛犬にオーラルケアを実施している飼い主さんはどのくらいいるのでしょうか。
ライオン商事株式会がおこなった「愛犬のお世話に関する調査」によると、愛犬にオーラルケアを実施している頻度は下記のようになりました。
▼愛犬へのオーラルケアをしてあげる頻度は?( 飼育者1,600人を対象に調査)
・「オーラルケア成功者(20.7%)」→犬のオーラルケア(歯ブラシや歯磨きシートなど)を毎日~週2回程度実施
・「オーラルケア中間層(56.8%)」→犬のオーラルケアを週に1回程度以下実施、または歯みがきおやつやマウスウォーターなどを使ったオーラルケアを頻度を問わず実施
・「オーラルケア離脱層(11.8%)」→以前に実施したことはあるが現在はやっていない
・「オーラルケア未実施層(10.7%)」→過去に犬のオーラルケアを実施したことはない
グラフを見てみると愛犬にオーラルケアを毎日~週2程度実施している「オーラルケア成功者」は全体のわずか2割という結果になりました。
飼い主さんの8割が犬のオーラルケアを習慣化できていないという結果を考えると、歯周病予備軍の犬が非常に多いという結果もうなずけます。
しかし、同アンケートで「面倒ではあるがした方がよいお世話」をたずねたところ54%以上の方が「オーラルケアをした方がよい」と回答しました。
▼面倒ではあるがした方がいいお世話( 飼育者1,600人を対象に調査)
この結果を見てみると愛犬のために「オーラルケアを実施した方がいい」「オーラルケアを実施してあげたい」という意識や意欲は高い方が多いことがわかります。
つまり、オーラルケアの重要性は認識しているけれど、なかなか実施できないというジレンマに陥っている方が非常に多いという結果が浮き彫りになりました。
犬のオーラルケアを挫折する理由は?
では、飼い主さんが愛犬のオーラルケアを挫折してしまった理由はなんなのでしょうか。
同アンケートで「離脱層(現在はオーラルケアを実施していない)」と「未実施層(オーラルケアを実施したことがない)」にオーラルケアをやめた理由と実施しない理由をたずねたところ結果は下記のようになりました。
▼犬のオーラルケアをやめてしまったのはなぜ? (離脱層を調査)
・1位:「犬が嫌がる・噛む・吠えるなどの抵抗をしそう」
・2位:「犬の年齢が高く、オーラルケアのしつけが難しい」
・2位:「犬が逃げてケアができない」
▼犬のオーラルケアをやめてしまったのはなぜ? (未実施層を調査)
・1位:「犬が嫌がる・噛む・吠えるなどの抵抗をしそう」
・2位:「どのようにやればいいかわからない」
・3位「無理して行うのはよくない」
アンケートを見てみると離脱層も未実施層も「愛犬が嫌がる、噛む、吠えるなどの抵抗をする、しそうだから」という回答が一番多いという結果になりました
歯磨きなどのオーラルケアを頑張っていたけれど、愛犬の抵抗にあってやめてしまったという背景を持つ方が多いようです。
また、オーラルケアの未実施層のアンケート結果を見てみると「どのようにやればいいのかわからない」という導入部分に悩みを抱えている意見も多数寄せられました。
何度も失敗を繰り返すと犬も飼い主さんも嫌な経験が増え、オーラルケアに対する苦手意識がより強くなってしまいます。
では、オーラルケアを成功させている方と実施できない方の違いはなんなのでしょうか。
最後にオーラルケアを習慣化させるためのポイントをお話します。
犬のオーラルケアを習慣化するための3つのポイント
犬のオーラルケアを習慣化させるために大切なポイントは3つあります。
▼愛犬のオーラルケアを習慣化するためのポイント
①「完璧でなくていいから続ける」
②「スキンシップの時間にする」
③「オーラルケアの知識を増やす」
①「完璧でなくていいから続ける」
犬のオーラルケアを実施している方に「オーラルケアを継続するために必要なこと」を調査したところ継続するためには「完璧でなくていいから続けること」と回答しました。
せっかくオーラルケアをするのだから完璧にしてあげたいという気持ちはわかるのですが、歯の汚れを全部落とそうとすると、歯磨きの時間も長くなるので犬が我慢する時間も長くなります。
1日だけ完璧に実施するよりも毎日コツコツ汚れを取っていき、オーラルケアを習慣化してしまうということが大切ですね。
②「スキンシップの時間にする」
犬のオーラルケアを実施している方に「継続のモチベーション」をたずねたところ、「オーラルケアをスキンシップの時間にする」という回答が一番多く寄せられました。
歯磨きという概念がない犬にとって口を触られるオーラルケアは嫌なことの連続です。
「スキンシップをたくさんとる」「犬が好きそうな味の歯磨き粉を探す」「歯磨き後にオヤツや歯磨きガムを食べさせる」などオーラルケア中や後に愛犬も楽しめる何かを用意すると愛犬も受け入れやすくなるかもしれません。
③「オーラルケアの知識を増やす」
同アンケートで「犬のオーラルケアについて知っていること」をたずねたところ、歯磨き成功者と離脱・未実施者では犬の口内ケアの知識に大きく差があることがわかりました。
▼犬のオーラルケアについて、知っていることは?
「口臭は歯周病のサイン」「歯周病は口の中だけでなく全身疾患も引き起こす」という知識を知っていると「放置するともっと大変なことが起きる」ということがわかるので、なんとかオーラルケアを実施しようとします。
なかなかオーラルケアが継続できないという方は、まずどんなデメリットが起きるかなど「犬のオーラルケア」に対する知識を増やして行動のきっかけにするのもおすすめです。
愛犬の健康を考えるうえでオーラルケアは欠かせません。
なかなか継続するのが難しいですが、今回ご紹介したポイントを行動のきっかけにして愛犬のオーラルケアにチャレンジしてみましょう。
動物病院で歯磨き教室を開催しているところもあるので、一人で行き詰まったらぜひ相談してみてくださいね。
<参考URL>
76.3%が歯周病の予備軍、愛犬も歯みがきの習慣化を!
>https://www.anicom-page.com/hakusho/statistics/pdf/100528.pdf
《ライオン商事株式会社》ワンちゃんの飼い主さんが抱くリアルな本音や知っておきたい5つの「飼い主タイプ別ヒント」等を大公開
>https://news.jprpet.com/news/detail/11354/
<画像元>
Unsplash
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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