愛犬のかかりつけの動物病院を決めている方は多いですが、もしものときに駆け込める夜間・救急の動物病院を決めている方は意外と少ないのではないでしょうか。
ペット保険の調査によると、救急通院(夜間・時間外)を経験した方は3割以上いるそうです。
そこで今回は「救急通院になった理由」や「救急通院のときに困ったこと」を紹介します。
もしものときに知っておきたい情報がたくさんありますので、ぜひ最後までご覧ください。
ペットの救急通院の経験者は3割以上
ペット保険のアニコム損害保険株式会社がペット保険契約者に対して「ペットの夜間救急経験」に関する調査を実施しました。
「夜間・救急の通院経験がありますか?」の問いに対して結果は下記のようになりました。
▼「夜間救急に通院したことはありますか?」有効回答数3,610
▼夜間救急に通院したことはありますか?
・「ある」31.0%
・「したいと思ったができなかった」9.6%
・「ない」57.2%
調査結果を見てみると「夜間救急の通院経験がある」と答えたのは全体の31.0%にものぼりました。
「したいと思ったができなかった(9.6%)」と回答した方と合わせると、4割以上の飼い主さんが夜間救急の通院が必要な事態になったことがあるということがわかります。
夜間救急と聞くと非常に珍しいことというイメージがありますが、意外と多くの飼い主さんが思いがけないトラブルを経験しているという結果が浮き彫りになりました。
では、飼い主さんが夜間救急を訪れた理由はなんだったのでしょうか。
次章で詳しく見ていきましょう。
夜間・救急通院した理由は?
飼い主さんがペットを夜間救急に連れて行った理由はなんなのでしょうか。
同アンケートで「夜間救急に通院した理由」をたずねたところ、結果は下記のようになりました。
▼「夜間救急に通院した理由はなんですか?」(回答数:1,120名)
▼「夜間救急に通院した理由はなんですか?」(多い順)
・「下痢・嘔吐」27.9%
・「ぐったりしていた」22.9%
・「誤飲・誤食」21.4%
・「怪我(骨折を含む)」12.9%
・「けいれん・発作」10.4%
救急通院した理由で一番多かったのは「下痢・嘔吐(27.9%)」で次に「ぐったりしていた(22.9%)」「誤飲・誤食(21.4%)」という結果になりました。
「下痢・嘔吐」といった消化器疾患は犬によくみられる症状のひとつですが、下痢や嘔吐以外の症状も出ていたり血便が出ていたりすると緊急性が高くなります。
また「ぐったりしていた」という症状は「熱中症」「中毒」「アナフィラキシー」などいろいろな原因が当てはまります。
どれも愛犬の身近に起こりがちなトラブルですが、様子見をしているうちに悪化するリスクがあることばかりなので、夜間であってもすぐに動物病院にいくことが大切ですね。
救急通院時に困ったことは?
では、夜間救急に通院したときに飼い主さんが「困った」と感じたことはなんでしょうか。
同アンケートで「救急通院の際に困ったこと」を尋ねたところ、結果は下記のようになりました。
▼「救急通院の際に困ったことはなんですか?」(回答数:1,466名)
▼「夜間救急の際に困ったことはなんですか?」(多い順)
・「診療費が予想より高かった」22.7%
・「病院に電話しても繋がらなかった」15.4%
・「すぐに通院できる病院が見つからなかった」13.3%
・「動物を病院に連れて行く手段がなかった」5.0%
・「病院をさがす手段がわからなかった」3.7%
アンケートで一番多い回答が「診療費が高かった(22.7%)」で、次に「病院に電話しても繋がらなかった(15.4%)」「すぐに通院できる病院が見つからなかった(13.3%)」という結果になりました。
(※)国の保険制度が使えないペットの医療費は高額になりがちですが、夜間救急の場合はどのくらい費用がかかるのでしょうか。
(※)民間の保険制度はあるので、加入している場合は契約条件に応じて還付が受けられるケースもあります。
▼夜間救急通院でかかった費用(回答数:1,120名)
かかった費用を見てみると「1万円以上3万円未満」が一番多いことがわかります。
愛犬の命には変えられませんが「思ったより費用が高かったな」と感じる金額ですね。
通院理由では「ぐったりしていた」「誤飲・誤食」という回答が多かったですが、検査の際には血液検査や内視鏡、CTなどを使うことが多いため、さらに費用が高額になる場合があります。
また「病院に電話しても繋がらなかった」「すぐに通院できる病院が見つからなかった」というお困りの声も多かったですね。
都会の方では夜間や救急対応している動物病院も増えてきましたが、住んでいる地域によっては通える場所に夜間病院がないというケースも少なくありません。
では愛犬の不測の事態に備えて、夜間救急の動物病院を探している方はどのくらいいるのでしょうか。
夜間・救急通院できる病院を探している方は48.7%
夜間でも通院できる動物病院を探している飼い主さんの割合はどのくらいでしょうか。
「ペットの緊急時に対して普段から備えていること」をアンケートでたずねたところ結果は下記のようになりました。
▼「ペットの緊急時に対して普段から備えていること」
▼「ペットの緊急時に対して普段から備えていることはなんですか?」(多い順)
・「かかりつけの動物病院を決めている」83.6%
・「保険証や予防接種証明書などをすぐ出せる状態にしている」49.5%
・「夜間の緊急時に通院できる病院を調べている」48.7%
・「普段の様子を観察し、緊急を判断できるようにしている」44.2%
アンケート結果を見てみると「かかりつけ医」を決めている飼い主さんが多いのに対し、「夜間救急に対応している動物病院を調べている」飼い主さんはぐっと減り、48.7%にとどまっています。
犬を飼っている人の3割以上が緊急通院したという結果から考えると、もしものときに備えてかかりつけ以外の動物病院を何件か調べておくことが大切だということがわかります。
愛犬の様子がいつもと違うと飼い主さんもパニックになりますし、異変が起きてから情報を調べ始めると、動物病院に着くまで時間がかかってしまいます。
愛犬が元気なうちに下記のことを準備しておきましょう。
▼普段から飼い主さんができること
・夜間、救急対応してくれる動物病院を探しておく
・夜間、救急対応してくれる動物病院までの道順を調べておく
・愛犬の情報をひとまとめにしておく
・定期的にかかりつけ医に通って今の愛犬の状態を知ってもらう
・かかりつけ医に夜間、緊急時の対応を相談する
・異変が起きたら動画に残しておく(獣医師さんに説明するときに役立ちます)
いつもと愛犬の様子が違うと誰でも不安になります。
それがかかりつけ医の診療時間外や夜中であったらより不安が募るでしょう。
いざというときすぐ行動できるように今回ご紹介した「普段から飼い主さんができること」を準備してみてくださいね。
<参考URL>
ペットの救急(時間外・夜間)通院、34.2%が経験あり
>https://www.anicom-page.com/hakusho/medical/pdf/100908.pdf
31.0%の飼い主が、ペットの夜間救急で通院経験あり
>https://www.anicom-page.com/hakusho/medical/pdf/120830.pdf
<画像元>
Unsplash
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
最新記事 by 伊藤さん (全て見る)
- 「愛犬と食べたい秋・冬が旬の果物」与えてOKな果物とNGな果物知ってる? - 2024年11月12日
- 「長生きする犬の共通点は?」長生きさせるための飼育環境や年齢別の注意点を解説 - 2024年11月4日
- 「犬の歯が欠けやすいオヤツ・オモチャ5選」選ぶときのポイントや歯が欠けたときの対応も解説 - 2024年10月29日
- 「犬の睡眠が足りないとどうなる?」犬の睡眠不足がまねく病気や睡眠不足のサインを解説 - 2024年10月22日
- 「習慣化で病気をまねくおそれも」犬の皮膚や毛、耳によくないNG習慣 - 2024年10月18日