夏も終わり、犬にとっては散歩がしやすく、過ごしやすくなる秋の季節。
ちょっと足を延ばして散歩を楽しもうと思う飼い主さんもいるのではないでしょうか?
しかし、実は秋という季節には犬にとって危険な植物が数多く存在しているのです。
そこで今回は、犬にとって触ったり食べたりしてしまうと危険な秋の植物の種類や万一の時の対処法をご紹介します。
<目次>
犬が触るだけで危険な秋の植物と対処法
犬の秋の散歩中で気を付けたい植物には、犬が触れてしまうだけで皮膚炎や嘔吐、下痢などを引き起こしてしまう植物があります。
ここでは、触れる事にも注意が必要な秋の植物、また、万一触れてしまった時の対処法をご紹介します。
触るだけで危険な秋の植物①:イチジク
6月から7月の夏果と8月から10月の秋果に分けられるイチジクは、そのままかぶりついても、ジャムやサラダなどの料理の一品としても美味しいですが、愛犬に関しては食しても、樹液や枝、葉などに触れてしまっても危険な植物です。
イチジクには主に、葉や樹液に含まれる光毒性成分『フラノクマリン』、下手の切り口部分に含まれるたんぱく質分解酵素『フィシン』、葉に含まれる天然ゴム成分『ラテックス』という成分が含まれます。
フラノクマリンについては皮膚炎を引き起こす危険性があり、フィシンについては粘膜のただれや嘔吐、下痢などを引き起こします。
そして、葉に含まれる天然ゴム成分ラテックスは、蕁麻疹や喘息発作、アナフィラキシーショックなどを引き起こす可能性があるため気を付けましょう。
【犬がイチジクに触れてしまった時の対処法】
万が一犬がイチジクの葉や樹液、枝に触れてしまった場合には、早急にその触れた部分を水で洗い流して、出来るだけ早く動物病院で診察してもらってください。
そして、万一誤食をして、まだ口にイチジクが残っている場合には慎重に取り出すか、難しいようならそのまま動物病院へ直行して催吐処置をしてもらいましょう。
触るだけで危険な秋の植物②:ノボロギク
大体3月から12月頃までほぼ1年中咲き続けるノボロギクには、全草に毒があり、犬が触れると皮膚炎を引き起こします。
ノボロギクには主に、ピロリジジンアルカロイド類の一種で触れると軽度の皮膚炎、食すと嘔吐や肝臓障害、運動失調などを引き起こす大変毒性の高い『セオシオニ』という成分が含まれています。
ノボロギクは道端の街路樹などに生息していて、夏時期にタンポポの蕾のような花を咲かせ、咲かせた後はタンポポの綿毛をイメージさせるような見た目をしているため、安易に愛犬を近寄らせると皮膚炎などを起こしてしまう可能性があるので注意しましょう。
【犬がノボロギクに触れてしまった時の対処法】
ノボロギクを愛犬が誤って誤食してしまったなら、言わずもがな症状の有無に関係なく、動物病院に連れていくことをオススメしますが、触れてしまっただけならば、まずは皮膚にただれや炎症が起きていないか様子を見ましょう。
もし、しばらく様子を見ても目立った症状などが見受けられなければ、そこまで心配しなくても良いかもしれませんが、念のため動物病院で診察をしてもらった方が安心です。
また、愛犬の体質次第ではありますが、万が一ノボロギクを触ったことによって呼吸困難などの症状が現れた際には、慌てて横にしたり動かしたりせず、犬が楽な状態のまま、すぐさま動物病院で診察してもらいましょう。
触るだけで危険な秋の植物③:シュウメイギク
開花時期が9月から11月頃と言われているシュウメイギクは、犬が触ったり、口にしたりすると大変危険なキンポウゲ科の植物です。
シュウメイギクには主に、茎や葉を傷つけることで抽出され、触るとかぶれなどの炎症を引き起こす『プロトアネモニン』という油成分が全草に含まれています。
見た目こそアネモネと近縁種なので可愛らしい植物なのですが、キンポウゲ科に属する植物は、切り花を差した水ですら毒性があると言われているほどなので、愛犬が口にしたり、触ってしまったりしないように注意しましょう。
【犬がシュウメイギクに触れてしまった時の対処法】
シュウメイギクの葉や茎から出る『プロトアネモニン』は、その汁液に強く表れるため、誤ってそれを愛犬が触れてしまった時にはすぐさま水で洗い流し、動物病院で診察してもらいましょう。
また、愛犬が誤って口にしてしまった場合も下痢や嘔吐、肝障害が引き起こされる危険性があるため、もしも散歩ルートにシュウメイギクを見かけたのなら、離れて歩くように心掛け、万が一口にした場合には早急に動物病院へ連れて行ってあげてください。
犬が食べてしまうと危険な秋の植物と対処法
それでは続いては、犬が食べてしまうと危険な秋の植物をご紹介します。
先程は触れてしまっても食べてしまっても危険な植物でしたが、食べてしまうと危険な秋の植物には、以下のような植物が存在します。
食べると危険な秋の植物①:イチョウ(銀杏)
秋の季節の代表格であるイチョウは、葉や枝などに毒性はないものの、炒って食べることが出来る銀杏については、ビタミンB6の栄養素を阻害し、嘔吐やけいれんを引き起こす『ギンコトキシン』、銀杏の外皮に含まれ、頭痛や腹痛、誤って踏んだ場合には皮膚炎を起こす『ギンコール酸』という成分が含まれています。
秋には綺麗な黄色い絨毯のように地面一面を彩ってくれるイチョウの葉ですが、イチョウの木はイチョウの葉と同時に銀杏の実自体も落ちるので、愛犬が誤って銀杏を口に入れないように注意しましょう。
【犬が銀杏を食べてしまった時の対処法】
愛犬が誤って銀杏を口にしてしまった際には、まずは落ち着いて愛犬の口の中に銀杏が残っているのか、すでに食べた後なのかを確認しましょう。
もしも残っている時には、慎重に愛犬から銀杏を取り除きましょう。
犬は習性上、一度口に咥えたものはなかなか離すという事をしません。
そのため、慌てて銀杏を取り上げようとすると、逆に飲み込んでしまったり、最悪は攻撃に転じて飼い主さんご自身がけがを負ってしまう場合があるので、難しいようなら取り除くことは諦め、症状のあるなしに関わらず、動物病院で診察、催吐処置をしてもらってください。
食べると危険な秋の植物②:彼岸花
お彼岸の時期には欠かせない彼岸花は、植物性アルカロイドの一種で嘔吐や下痢、腹痛、けいれんなどの症状を起こす『リコリン』、リコリンと同じくアルカロイドの一種で、同様の症状を引き起こす『ガランタミン』という成分を全草に含み、特に球根と茎に多く毒成分を含んでいます。
ガランタミンについては、人の認知症の進行を遅らせる抗認知症薬として知られているようですが、彼岸花に含まれるこれらの毒成分は最悪死に至ってしまう大変危険な成分なので、決して口にしないように注意しましょう。
【犬が彼岸花を食べてしまった時の対処法】
彼岸花は見るだけなら美しい植物ですが、口にしてしまうと最悪死亡してしまう大変危険な植物です。そのため、もしも愛犬が彼岸花を口にしてしまった時にはすぐさま動物病院で診察してもらい、催吐処置や胃洗浄(麻酔が必要)などをしてもらいましょう。
食べると危険な秋の植物③:イチイ(実の種)
10月頃に実を付け、公園などでは剪定された状態でよく見かけるイチイの木の実は、実自体は無毒ですが、その中に含まれている種には、けいれんや呼吸困難などの症状を引き起こす『タキシン』という成分が含まれています。
タキシンは、種だけではなく、葉や樹皮、木材などにも含まれているため、甘いものが大好きな犬が実を食べてしまうと大変危険です。
散歩ルートにイチイの木があるのなら、愛犬には近寄らせないように注意しましょう。
【犬がイチイの実を食べてしまった時の対処法】
イチイの実は無毒とはいえ、人とは違って実を食べれば自然と種まで食べてしまう危険がある犬が、万が一イチイの実を食べてしまった際には、すぐさま動物病院で診察してもらいましょう。
イチイの実は人であっても数粒で致死量とされているため、小型犬が誤って口にしてしまえば、最悪死に至ってしまう可能性が考えられます。
愛犬が誤って口にしてしまった場合には、しっかりとその時の状況を獣医さんに説明し、適切な処置をしてもらいましょう。
まとめ
秋は過ごしやすくなる一方、犬にとっては危険な植物も多くなります。
中でも銀杏やヒガンバナ、イチイの実については、多くの公園内で見慣れた植物なので、愛犬と散歩する際は、毒性を持った植物には近付かせないように気を配った散歩を心掛けてあげてください。
<参考書籍>
犬と猫に有害な植物
いぬ大全304
<参考サイト>
ASPCA(アメリカ動物虐待防止協会)
>https://www.aspca.org/
ペットに危険な植物・毒草図鑑(犬に危険な植物・猫に危険な植物)|井上動物病院
>https://www.inoue-animal-hospital.net/%E3%83%9A%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AB%E5%8D%B1%E9%99%BA%E3%81%AA%E6%A4%8D%E7%89%A9#anc_1
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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