犬に多い歯の病気といえば「歯周病」ですね。
実はこの「歯周病」は犬種によってなりやすさが違うということはご存知でしょうか。
今回は「歯周病になりやすい犬種」や「歯周病になりやすい犬種が気をつけること」をお話していきますので、ぜひ愛犬の健康管理にお役立てください。
「歯周病」にかかりやすい犬種トップ10
ペット保険のアニコム損保が発表した「歯周病の保険金請求割合」のグラフを見てみると、割合が高い犬種は下記のようになりました。
▼「歯周病にかかりやすい犬種」
アニコム損保のペット保険に契約した犬466,548頭の歯周病による保険金請求情報に基づく請求割合の比較
1位:「イタリアン・グレーハウンド」
2位:「ミニチュア・ダックスフンド」
3位:「パピヨン」
4位:「ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア」
5位:「カニーンヘン・ダックスフンド」
6位:「キャバリア・キング・チャールズ」
7位:「ヨークシャー・テリア」
8位:「ジャック・ラッセル・テリア」
9位:「シェットランド・シープドッグ」
10位:「ミニチュア・シュナウザー」
一番歯周病にかかりやすい犬種は「イタリアン・グレーハウンド」で次に「ミニチュア・ダックスフンド」「パピヨン」の順になりました。
グラフの一番下に「犬全体の平均」が出ていますが、比較すると「イタリアン・グレーハウンド」が圧倒的に多いことがわかります。
また、他の犬種においても犬全体の平均よりかかりやすい傾向があるので、ランクインした犬種は特に歯周病に注意しておいたほうがよいでしょう。
ではランクインした犬種は、どうして歯周病にかかりやすいのでしょうか。
理由を見ていきましょう。
「歯周病」にかかりやすい理由は?
ランキングにランクインした犬種が歯周病にかかりやすいのはなぜでしょうか。
理由は「3つ」考えられます。
▼歯周病にかかりやすい理由
①歯が密集している
②飲水量が少ない
③噛む力が弱い
①歯が密集している
ランクインしている犬種を見てみると、顎が小さくて歯が密集して生えている犬種が多いことがわかります。
小さくて狭い口の中に歯が密集して生えていると、歯の隙間に汚れが溜まりやすいです。
菌の塊である「歯垢」や菌の餌となる「食べかす」も溜まりやすいので、歯周病にかかりやすくなってしまいます。
②飲水量が少ない
歯に「歯垢」や「菌」が付着していても、よだれや水を飲むことで多少洗い流すことは可能です。
しかし、ランクインしている犬種は小型犬が多いです。
小型犬は飲水量が少ないので「歯垢」や「食べかす」が十分流れず、菌が繁殖しやすい口内環境になりがちです。
そのため、歯周病にかかりやすいと考えられます。
③噛む力が弱い
先ほどランクインしている犬種は小型犬が多いとお話しました。
小型犬は噛む力が大型犬に比べると弱いです。
歯に汚れが付着していても、歯磨きガムやオモチャをかじることで減らすことができますが、小型犬は噛む力が弱いので歯に汚れが残りがちです。
そのため、歯周病にもかかりやすいです。
「歯周病」を放置するとどうなる?
ランクインしている犬種を飼っている方の中には「すでに歯周病になっているかも」と気になった方もいるかもしれません。
では「歯周病」をそのまま放置すると、どんなリスクがあるのでしょうか。
▼「歯周病」を放置するとおきること
・歯肉に「穴」があく
・頬や目の下に「穴」があく
・鼻から出血する
・顎(あご)が骨折しやすくなる
・臓器に悪影響を与える可能性がある
歯周病の原因菌は酸素が苦手です。
そのため、酸素を避けるために酸素が届きにくい歯の隙間や歯周ポケットに潜り込みます。
そして口の周りの組織を壊しながら、どんどん奥に進んでいきます。
その結果、歯肉や頬に穴が空き、鼻から出血が見られるようになります。
また、歯周病の原因菌は骨も溶かしてしまうので、顎の骨が脆くなり骨折しやすくなります。
歯周病の怖いところは口周りだけでなく、全身疾患も引き起こす可能性があることです。
口の周りの組織を壊すと出血をしますが、その際に血管から菌や菌の出す毒素が体の中に入り込み、行き着いた臓器で様々な悪さをします。
歯周病を放置してしまうと、口の中だけの問題にとどまらず「骨折」や「全身疾患」など別の疾患も引き起こしてしまうので、放置せず早めに対処することが大切です。
「歯周病」にかかりやすい犬種が気をつけること
では、歯周病にかかりやすい犬種が気をつけることはなんでしょうか。
ポイントは「4つ」あります。
▼「歯周病」にかかりやすい犬種が気をつけること
①「歯肉炎」に注意する
②歯のチェックをこまめにする
③歯磨きをする
④口内環境を整えるグッズを使う
①「歯肉炎」に注意する
歯の周りの歯茎が赤く腫れている状態を「歯肉炎」といいます。
「歯肉炎」は軽度の炎症ですが、そのまま放置していると「歯周病」に進行してしまいます。
「歯肉炎」のうちに処置をすることで、悪化を防ぐことができるので「歯肉炎」が起きていないかチェックするようにしましょう。
②歯のチェックをこまめにする
歯周病にかかりやすい犬種は歯のチェックをこまめに行い、いち早く異変に気がつけるようにしましょう。
「歯肉炎が起きていないか」「歯石が着いていないか」「歯に黒い斑点がないか」など細かくチェックしましょう。
特に奥の歯は歯周病にかかりやすいので、唇をめくりあげてしっかりチェックするようにしましょう。
③歯磨きをする
歯周病を予防するには歯磨きが一番有効です。
歯ブラシで磨くのが難しい場合は、歯磨きシートを使って汚れを落としましょう。
初めて歯ブラシを使う、歯茎に炎症が起きているという子は、毛先が柔らかい歯ブラシを選ぶのがおすすめです。
また、奥歯に歯ブラシを入れるのは難しいので、なるべくヘッドが薄いものを選ぶとよいでしょう。
④口内環境を整えるグッズを使う
歯磨きにだけでなく口内環境を整えるグッズも併用するとよいでしょう。
炎症を抑えたり口の中の菌数を減らしたりするグッズもありますし、継続的に取ることで口内環境を整えていくサプリメントもあります。
歯周ポケットを綺麗にしたり歯石を付きにくくする効果が期待できるので、愛犬にあったものを選んであげましょう。
歯周病はどの犬種でもかかる可能性がある歯の病気ですが、顎が小さく歯が密集している犬種は特にかかる可能性が高いです。
歯周病はお家でのオーラルケアで予防することができる病気です。
今回ご紹介した「歯周病にかかりやすい犬種が注意すること」を参考にして、愛犬の歯の健康管理に役立ててくださいね。
<参考URL>
『歯周病を放っておいたらどうなるの?』サーカス動物病院
>https://www.instagram.com/p/B7TKNEepkzH/
日本臨床歯周病学会 歯周病が全身に及ぼす影響
>https://www.jacp.net/perio/effect/
歯ピカへの道② こんなワンちゃんは歯周病に要注意!
>https://mag.anicom-sompo.co.jp/3017
<画像元>
Unsplash
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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