昔は、犬には人が食べた残飯がほぼ主食、なんてことも珍しくない時代がありました。しかし、ドッグフード開発に始まりヒューマングレードで質の高い食事が主流になってからは、長生きしてくれるワンちゃんも増えましたね。
けれど、それでもやっぱり老いのせいで食欲が全くなくなってしまったワンちゃんにはどうすれば良いの?
今回は、ホリスティックの観点から見たシニア犬にいざという時のためのお助け食材9選をまとめました。
<目次>
介護期に入ったシニア犬へのごはんの考え方とは?
幼犬~成犬時期は「ごはん」というフレーズを聞くだけで、目を輝かせながら勢いよく食べる愛犬も、年月が過ぎてシニア犬になると、食欲にムラが出てきたり、全く食べなかったりという日も増えると思います。
結論から申し上げれば、この頃からの愛犬にとっては、“身体に良いもの”よりも“愛犬が好んで食べてくれるもの”を優先にご飯を与えるように工夫するのが大切です。(当然与えてはいけない食材はNG。)
この段階の愛犬は、いくら身体に良いものだったとしても、食べてくれなければあっという間に老いてしまい、命にかかわる事態になりかねません。
犬にも人と同じように、気分によって食欲のある時とない時は存在します。
とはいえ、やはり私たち飼い主からしたら、「どんな形であってもとにかく何か食べてほしい」と愛犬が食べられるものを一生懸命試行錯誤し、且つ、一秒でも長く、一日でも多く一緒に過ごしたいと思ってしまいますよね。
もちろん、まだまだ自力でご飯を食べられるシニア犬の場合には、今回ご紹介するお助け食材は必要がなく、筆者の2代目シェルティが患っていた食物アレルギーを持っているワンちゃんにとっても、与えられない食材が存在するかもしれないので、安易にオススメはしません。
けれど、ご自身の愛犬に食物アレルギーや食に対する制限が基本的に無く、また、何も口にしてくれない日が増えてきて、「口から食べてくれるのが最優先」という状態にまで入ってきている場合には、食欲を刺激しやすく、少量であっても高エネルギーのものを与えるのはオススメです。
ただし、上記でもお伝えした通り、まだまだご飯を食べてくれるワンちゃんについては、基本的にオススメしませんのでご注意ください。
シニア犬のいざ!という時のお助け食材9選
それでは、シニア犬にいざという時に与えてあげたいお助け食材9選をご紹介します。与える際には少量から与えることを念頭に置きつつ、愛犬の状態を逐一確認するようにしましょう。
また、持病を持ち合わせている愛犬の場合には、事前に獣医さんに「与えても大丈夫か」意見を仰いだ上で与えてあげるように心掛けてください。
お助け食材その①:カスタードプリン
アミノ酸バランスに優れ、良質なタンパク質が豊富な卵が主原料のカスタードプリンは、味覚の上で愛犬が一番好む甘味が感じられるオススメ食材です。コンビニでもスーパーでも手軽に買うことが出来ますが、現在は犬用のプリンも売っているため、そういったものでも良いでしょう。
比較的どんなワンちゃんでも喜んで食べてくれるプリンですが、プリンを作る工程でゼラチンを使用している場合、摂り過ぎはかえって高たんぱくとなり、腎臓病などを患っているワンちゃんは悪化させてしまう可能性があるため、その点だけ注意しましょう。
お助け食材その②:カステラ
「~♪カステラ1番、電話は2番、3時のおやつは文明堂♪~」の歌でお馴染みのカステラも、全く食欲のない愛犬にオススメの食材です。
そのままではパサついてしまうため、犬用のミルクに浸してしっとりさせてから与えてあげると、愛犬も食べやすくなります。
一般的に人用として売られているカステラは、薄紙が付いていたり、ザラメが付いているため、与える際には薄紙をしっかり取り除き、ザラメはごく少量に留める必要がありますが、今では犬用ミニカステラがおやつとして売られているため、選んであげる時は、卵をたっぷり使っているものを選んであげましょう。
お助け食材その③:茶碗蒸し
卵とカツオなどの出汁で作られた茶碗蒸しも、愛犬が全くご飯を食べてくれない時に与えたいオススメ食材です。
茶碗蒸しは高タンパクで栄養補給になり、そのまま与えても十分良いですが、少し温めて与えてあげると、出汁の効いた香りが増すため、愛犬の食欲増進に繋がります。
お助け食材その④:炒り卵
炒って与えることでより食いつきの良くなる炒り卵も、食欲のない愛犬にオススメの食材です。卵は一般的に油と相性が良く、少量の油で炒ることで、ビタミンの吸収率がUPします。
炒り卵であれば、ご自宅でも手軽に調理できますし、余計な甘味料なども入れる必要性がないため、人間用の、ましてや、市販品に抵抗がある飼い主さんには特にオススメです。
お助け食材その⑤:豚バラ肉
動物性タンパク質と脂質が多く、高エネルギーながらもリンの含有量が少ないため、腎臓に問題のあるワンちゃんでも食べられる豚バラ肉は、お助け食材としてとてもオススメです。
犬は良く鼻で食べるとも言われるほど嗅覚が優れているため、豚バラ肉をしゃぶしゃぶして与えてあげるだけで、優れた栄養補給になります。
ただし、大量に与えるのは当然NGで、膵炎などの脂肪の摂取を控えているワンコは与えないようにしましょう。
お助け食材その⑥:チーズ
塩分少なめのチーズや、中でもビタミンやカルシウムが豊富で高栄養なカッテージチーズは、食欲がない愛犬に与えたいお助けオススメ食材です。
カッテージチーズは、ご自宅に牛乳とレモン(または酢)があれば、手作りすることが出来、他の様々なチーズと比べ、低カロリーで良質なタンパク質を多く含むため、優れた栄養補給になります。
お助け食材その⑦:野菜ジュレ
抗酸化作用の高いビタミンCを摂ることで体の酸化防止に繋がる野菜ジュレは、いざという時であれば、赤ちゃん用の野菜ジュレでも代用可能なお助けオススメ食材の一つです。
生の酵素やビタミン摂取が期待できる果物自体を食べてくれるならそちらを優先して与えた方が良いですが、そうでないならつるっと飲み込めて咀嚼するのが難しい愛犬にも与えやすい野菜ジュレで、肉や魚では補いにくいビタミンを補ってあげてください。
お助け食材その⑧:米麹のみの甘酒
「飲む点滴」とも言われる米麹甘酒は、愛犬のいざという時に役立つお助けオススメ食材です。
米麹甘酒には、脱水症の時に行う点滴(輸液)の成分と似ている部分があり、栄養素も豊富に含まれています。腎臓病のワンちゃんが避けたいリンやカリウムの含有量も種類によりけりではありますが、大体100ml辺りリンは20mg、カリウムは15mg程度と思いのほか少ないため、腎臓ケアを必要とするワンちゃんに対しても安心です。
また、米麹甘酒の13種類にも及ぶオリゴ糖は、便秘の改善や鉄、亜鉛などの吸収促進、整腸作用、腸内細菌の善玉菌を活発にして免疫力アップ、併せて水分補給などにも役立てられます。
お助け食材その⑨:葛餅
マメ科の植物である葛(くず)粉と水で作り上げた葛餅は、胃腸に優しく、体を温め、腸を整えられ、エネルギー補給にも役立つオススメ食材です。
くずもちと言われるものと、葛餅(くずもち)と言われるものは、基本的に原料が違うようで、くずもちは小麦粉を原料としているため、愛犬に与える際には、葛餅を選ぶように注意しましょう。
きな粉をまぶして与えると、タンパク質や脂質、糖質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素を効率よく摂取することが出来ます。
まとめ
愛犬の、特にシニアになって食が細くなった時というのは、何かしらトッピングがないと完食しないということも珍しくありません。
筆者のこれまでの愛犬たちは、初代柴犬ではまさに上記の通りで、それでもまだ初代は最後まで完食する子だったので問題ありませんでした。
ですが2代目シェルティについては、本人の食欲旺盛とは裏腹に幼犬の頃からあった食物アレルギーの影響は相当大きく、食欲が全くなくなった時にはあのチュールですら受け付けず、という状態でした。
しかし、最後の最後で本来であれば鶏肉アレルギーで、愛犬には与えてはいけない食材を担当の獣医さんから、「食べるなら与えて良い」と許可をいただけた時は、喜んで食べていました。
なので、本当に愛犬が何も食べなくなってしまった時は、ご紹介した食材に限らず、愛犬が喜ぶ食材で、栄養補給を試みてあげてください。
<参考書籍>
7歳からの老犬ごはんの教科書
衣|食|住|遊 楽しいひと手間が愛犬との暮らしを快適にする 老犬暮らしの便利帳
<参考サイト>
株式会社 八海山|麹甘酒の継続的飲用が 透析患者の便通改善効果や中性脂肪低減効果など QOL 向上に役立つことを学会で発表します
>https://www.hakkaisan.co.jp/wp-content/uploads/2019/04/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E9%80%8F%E6%9E%90%E5%8C%BB%E5%AD%A6%E4%BC%9A%E3%80%80%E3%81%82%E3%81%BE%E3%81%95%E3%81%91%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E7%99%BA%E8%A1%A8%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6.pdf
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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