犬を飼っていると切り離せない問題が犬の病気です。
特に子犬は免疫も弱く、ちょっとした環境変化で体調を崩してしまいがちです。
そこで今回は、子犬の通院で多い理由を5つご紹介します。
子犬がかかりやすい病気を知ることで予防策をとったり、病気のサインにいち早く気づくことができるのでぜひ最後までご覧ください。
<目次>
1年間の通院回数は0歳で平均4.3回
通院理由を見ていく前に子犬はどのくらいの頻度で通院しているか見ていきましょう。
ペットフード協会が2019年に行った「全国犬猫飼育実態調査」によると、「0歳」「1~6歳」「7歳以上」の犬の通院回数は下記のようになりました。
▼最近1年間で動物病院に行った回数は?
0歳の犬が「平均4.3回」、1~6歳の犬が「平均3.7回」、7歳の犬が「平均4.36回」通院しているという結果になりました。
1~6歳の成犬と比べると子犬やシニアは通院回数が多い傾向にあることがうかがえます。
それでは、どんな理由で通院することが多いのでしょうか。
子犬の通院理由を多い順にみていきましょう。
子犬の通院理由 第1位:皮膚疾患
少し古いデータになりますが、2004年にアニコム損保がアニコムどうぶつ健保に加入している約 12 万頭のペットを対象に行った調査によると、子犬の通院理由トップ5は下記のようになりました。
▼子犬の通院理由
第1位:「皮膚疾患」41%
第2位:「消化器疾患」25%
第3位:「整形外科疾患」9%
第4位:「呼吸器疾患」6.5%
第5位:「眼科疾患」4%
子犬の通院理由で一番多かったのは「皮膚疾患」での通院で全体の4割を占めました。
では、どんな「皮膚疾患」が多くみられるのでしょうか。
ベッツアイが獣医師100人に行ったアンケートによると、犬の皮膚疾患で一番多いのは「アレルギー性の皮膚炎」で皮膚疾患の内訳の6割以上を占めていることがわかりました。
▼獣医師100人に聞いた皮膚症状のある犬の原疾患の内訳
▼「アレルギー性皮膚炎」って何ですか?
アレルギーの原因物質(アレルゲン)によって犬の中の免疫機能が過剰に反応し、その結果起きる皮膚炎のことです。
アレルゲンには「食べ物」「ノミ」「花粉」「ハウスダスト」などがあります。
ではこの皮膚疾患を予防したり、早めに異変に気付くためには何をすればよいのでしょうか。
▼飼い主さんができること
・皮膚の状態や仕草をこまめにチェックする(皮膚に赤みがある、頻繁に体を掻くなど)
・犬の生活環境を清潔にする
・ブラッシングをこまめにして皮膚環境を清潔にする
・お風呂上りに保湿をする
・皮膚が弱い子は早めに動物病院へ相談
子犬を飼ったばかりのころは、犬との生活に慣れておらず病気の初期症状を見落としがちです。愛犬の皮膚の状態や仕草をこまめにチェックして皮膚の異変にいち早く気づいてあげましょう。
また、アレルゲンの原因である「ハウスダスト」や「花粉」を掃除やブラッシングで犬の生活環境から取り除いてあげることも、大事な予防策です。
子犬の通院理由 第2位:消化器疾患
子犬の通院理由で2番目に多かったのは「消化器疾患」でした。
犬によく起きる消化器疾患にはどんなものがあるでしょうか。
▼犬によくおきる消化器疾患
・胃腸炎
・嘔吐
・下痢
・寄生虫感染
・食物アレルギー
・消化器の腫瘍
消化器疾患は「食事の変更」「ストレス」「寄生虫の感染」などさまざまな原因で起きる可能性があります。
子犬はまだ抵抗力が弱いので、下痢や嘔吐を繰り返すだけでも体力が奪われ重症化しがちです。
体調に異変を感じたら、早めに動物病院に行くようにしましょう。
消化器疾患を引き起こさないために、下記のことに注意をしましょう。
▼飼い主さんができること
・食事内容をコロコロ変えない
・糞や尿の状態をチェックする
・散歩中の拾い食いに注意する
・散歩中の匂いかぎに注意する(他の犬の排泄物から感染することもある)
・ワクチンや駆虫薬で寄生虫感染を予防する
子犬の通院理由 第3位:整形外科疾患
子犬の通院理由で3番目に多いのは「整形外科疾患」でした。
犬によく起きる「整形外科疾患」にはどんなものがあるでしょうか。
▼犬によく起きる整形外科疾患
・骨折
・膝蓋骨脱臼(パテラ)
・股関節形成不全
・椎間板ヘルニア
・前十字靭帯断裂
特に子犬が注意しなければならないのが「骨折」です。
下の図はアイペット損害保険株式会社が「子犬の年齢と骨折の発生割合」を調べたグラフです。
▼子犬の月齢別骨折発生割合(調査件数669件)
生後3カ月頃から骨折が発生する割合がだんだんと高くなり、生後10カ月でピークを迎えていることがわかります。
子犬は骨が未完成でもろく、危険に対する学習や経験が未熟です。
そのため、骨折につながりやすい「段差のある場所から飛び降りる」「階段を下りる」といった行為を躊躇なくとってしまいます。
骨折は治療費が高額(総額で20~70万円ほど)になりがちで、通院回数も増えるので飼い主さんにも愛犬にも大きな負担がかかります。
「整形外科疾患」は1位、2位の病気と比べると発生頻度が少ないですが、十分注意が必要な病気です。
▼飼い主さんができること
・フローリングに滑り防止のマットを敷く
・ソファーやベッドから飛び降りさせない
・階段の上り下りをさせない(段差がある場所は柵を置く)
・正しい抱っこ方法を覚える
・歩き方に違和感がないか観察する(スキップやケンケン歩きなど)
子犬の通院理由 第4位:呼吸器疾患
子犬の通院理由の第4位は「呼吸器疾患」でした。
「呼吸器疾患」と聞くとあまりピンとこないかもしれませんか、下記の病気が犬によくみられます。
▼犬によく起きる呼吸器疾患
・慢性気管支炎
・肺炎(誤嚥性/細菌性/好酸球性)
・気管虚脱
・軟口蓋過長症
皮膚疾患や消化器疾患などに比べると見た目で発見するのが難しい病気なので、愛犬の仕草をよく観察していち早く症状に気づけるようにしましょう。
▼こんな症状が出ていたら要注意!
・呼吸が浅い
・くしゃみや鼻水が多い
・息を吸うときにガーガーと音がする
・いびきがひどくなった
・興奮するとせき込む
・散歩や運動を嫌がるようになった
▼飼い主さんができること
・散歩のときに首輪を引っ張らないようにする
・愛犬の仕草をよく観察する
・おかしいと感じたら犬の様子を動画にとっておく(獣医師さんに説明するときに役立ちます)
・早食いをさせないようにする
子犬の通院理由 第5位:眼科疾患
子犬の通院理由の5位は「眼科疾患」でした。
通院の割合だけ見ると4%なので病気になる頻度は少ないのではと思いがちですが、実は眼科疾患の症状は非常に気づきにくく、飼い主さんが「あれ?」と気づくころには進行して末期の状態という場合もあります。
犬は人間のように「目がかすむ」「痛みを感じる」といった体の変化は伝えてくれません。
そのため毎日の体の観察に加えて、飼っている犬種がどんな目の病気にかかりやすいのか事前に知っておくことが大切です。
▼犬によく起きる眼科疾患
・チェリーアイ
・白内障
・緑内障
・網膜変性
・進行性網膜変性
▼こんな症状が出たら早めに動物病院へ
・目に赤みがある
・目ヤニや涙が多くなった
・目が白っぽくなった
・以前に比べて怒りっぽくなった
・物にぶつかるようになった
・目や顔周りを何度も掻く
▼飼い主さんができること
・自分の犬種におきやすい目の病気を知っておく
・遺伝的に目の疾患が出やすい犬種を知っておく
・こまめに目の観察をする
子犬の通院で多い理由を5つご紹介しました。
子犬がかかりやすい病気や事故を知っておくと、病気の初期症状に早めに気づけたり生活環境を整えることができます。
飼い始めは不安なことも多いですが、今回ご紹介した内容を毎日の健康管理に役立ててくださいね。
<参考URL>
とても多い犬の皮膚トラブル! その原因と対策は?
>https://vetseye.info/opinions/op006/
仔犬の通院理由トップ 5・第 1 位は皮膚科疾患
>https://www.anicom-page.com/hakusho/statistics/pdf/nr_041117.pdf
子犬の骨折と月齢の相関性について分析結果を発表
>https://www.ipet-ins.com/info/28392/
<参考書籍>
小動物獣医看護学 小動物看護の基本と実践ガイド 上巻下巻D.R.レイン (著)B.ク-パ- (著) 西田利穂 (著)
<画像元>
Unsplash
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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