皆さんは、犬の見せる仕草や表情にどんなものが隠れているのか疑問に思ったことはありませんか?
犬は人のように言葉を話すことは出来ません。ですが、その代わりに仕草や表情、目線などを使って、自分の気持ちを表現しようとします。
この記事では、犬の示すカーミングシグナル、ボディランゲージについて、またカーミングシグナルとボディランゲージにはどんな違いがあるのかをまとめました。
<目次>
犬の見せる仕草の意味とは?
犬のボディランゲージやカーミングシグナルは、『目』、『耳』、『口』、『しっぽ』など、その文字通り体全体で相手に仕草や目線を使って意思を伝える方法のことを言います。
また、犬のボディランゲージはその場の状況をよく考えないと全体像をつかむことが出来ないことがままあり、犬自身が見せるその仕草も一瞬ということも良くあるため、犬のボディランゲージやカーミングシグナルを読み取ろうと思う時には、体の一部分だけではなく、その他さまざまな部位をよく観察しながら犬の気持ちを読み取る必要があることを心掛けておきましょう。
さらに、皆さんもご存知の通り、犬にも個性があり、同じ犬種であってもその性格は犬それぞれです。
犬が自分の気持ちをどれだけうまく表現することが出来るのかは、犬の年齢や健康状態、もしも迎えた子が保護犬だった場合には、その愛犬との関係性の密度などによっても違うことを理解しておきましょう。
子犬と成犬によっても、表現の仕方に違いが見られる可能性は十分考えられるため、ボディランゲージやカーミングシグナルを知るにあたっては、個々のワンちゃんに寄り添う気持ちで取り組んであげてください。
犬の見せる「カーミングシグナル」と『ボディランゲージ』の違いって?
では、犬が見せている仕草でよく言われるカーミングシグナルとボディランゲージの主な違いって何なのでしょうか?
同じ意味に使われる場合も少なくないカーミングシグナルとボディランゲージの違いについて見ていきましょう。
カーミングシグナルは自分と相手を落ち着かせるための表現方法
基本的に犬のカーミングシグナルとは、英語で
【カーミング】=“落ち着かせる”
【シグナル】=“信号”
を意味しており、自分だけではなく、相手に対しても落ち着いてほしい時や平和主義的な犬が万一の争いを避けるために信号を送り合う時に見せる表現方法のことを言います。
この表現方法は、犬の祖先と言われるオオカミにも見られる行動で、オオカミを題材にした本などでは、このカーミングシグナルは、『カットオフ』シグナルと表現されています。
しかし、この表現の言い回しは、カーミングシグナルの著書であり、世にカーミングシグナルという言葉を広めたトゥーリッド・ルーガス女史によれば適切ではないと言います。
というのも、カーミングシグナルは『カットオフ』=何かを止めるよりも以前に不快な事や避けたいことを早い段階で静める時に使われているからです。
例えば、食べ物がないのに唇や鼻をペロッと舐めるワンちゃんが居ますが、この仕草は他の犬が近づいてきた時や抱っこが苦手な愛犬を飼い主さんが抱き上げた時に相手を宥めたくて起こす表現です。
カーミングシグナルには、他にもあくびして相手を落ち着かせようとしたり、白目が見えた【クジラ目】で「ちょっと近いよ…、もう少し離れてくれない?」という意味合いを示したりする場合も…。
具体的な例を挙げるとすれば、以下のようなことが挙げられます。
<カーミングシグナル具体例>
・ほかの犬と遊んでいる最中に相手の犬が興奮しすぎた際に、体の向きを変えて落ち着かせようとする。
・飼い主さん家族が喧嘩をしている最中、間に割って入って「どっちとも落ち着いてよ」というような意味合いであくびをする。
多くの場合、カーミングシグナルで示す意思表示は、相手や自分を落ち着かせたり、自分のストレスを軽減したりするために行われます。
そのため、ものによっては飼い主さん側が犬の表現するカーミングシグナルを示すことで、犬を落ち着かせることが出来ることもあります。
人の場合、大好きな愛犬をジッと見つめたり真っすぐ近づいたりすることは、何気ない行動かもしれません。
しかし、上記でもお伝えしたように、犬の性格はそれぞれなので、そもそも見つめられるのが苦手なワンちゃんにとっては、ただ単に落ち着かない状況かもしれないので、愛犬の表情や目線をよく観察しながら接してあげることが大切です。
ボディランゲージはその時の感情を相手に伝えるための表現方法
基本的に犬のボディランゲージとは、英語で
【ボディ】=“身体”
【ランゲージ】=“言葉”
を意味しており、その言葉通り警戒や恐怖、不安、喜びや楽しみなど、その時の感情を体の動きや行動によって、飼い主さんに表現する時に使われる表現方法のことを言います。
ボディランゲージはカーミングシグナルとは違って、感情が大いに関わってくるため、まずは愛犬と接する上でその時の状況や愛犬の様子を少しずつ理解していくことが大切です。
例えば、飼い主さんの帰宅直後に尻尾を上にあげて勢いよく飛び付いてくる姿であれば体全体で喜んでいることが分かりますが、反対に飼い主さんの帰宅直後様子を窺うように耳が後ろに倒れていたり、尻尾が下がっていたりしたら、それは不安がっているサインかもしれません。
ボディランゲージには、他にも鳴いたり、吠えたり、姿勢で物事を伝えようとしたりすることがあり、また、その動きは一つだけではなく複数の表情、行動が同時に見て取れることもあるため、「尻尾を上げているから喜んでいる!」かというと、一概にはそう言えない場合も…。
具体的な例を挙げるとすれば、以下のようなことが挙げられます。
<ボディランゲージ具体例>
・犬の耳や体が前傾姿勢で、且つ尻尾が上がっている時には、喜ぶといった感情よりも興味や用心、警戒心を抱いている場合があり、中には不安を感じてしまっている。
・愛犬の事を思って2匹目を迎えた後に、突然先住犬が何の前触れもなく自分の体を掻いたり、舐めたりする時には、不安な気持ちを紛らわしたい、上手く状況を掴めていないと感じてしまっている。
このように、ボディランゲージとはその時その時の愛犬の感情を表しており、一つの仕草が一つの意味、という訳ではないので、しっかりとそれ以外のボディランゲージを見極める必要があります。
まとめ
犬のカーミングシグナルとボディランゲージには、それぞれ意味合いは違うものの、その表現方法はほぼ同時に、あるいは一緒に表現されることがほとんどです。
そのため、飼い主さんからしてみたら、どの仕草がカーミングシグナルで、どの仕草がボディランゲージなのか分からない場合も少なくない事でしょう。
しかし、愛犬を可愛がる飼い主さんの事は、愛犬だって知りたいはずですので、ゆっくり焦らず、少しずつ理解してあげてくださいね。
<参考書籍>
犬語図鑑|doggie language犬のボディランゲージを学んでもっと愛犬と仲良くなろう
CALMING SIGNAL|カーミングシグナル 理論と犬のストレスを軽減するための実践的応用
気持ちを知ればもっと好きになる! 犬の教科書
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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