あなたの愛犬はゆっくりごはんを食べる派ですか?それともパクパクごはんに食らいついていく派でしょうか。
一心不乱にパクパク食べている姿は微笑ましい半面「そんなに早く食べて大丈夫なのかな」と心配にもなりますね。
そこで今回は「犬の早食い」をテーマに解説します。
「早食いのデメリット」や「早食いをさせない対策」だけでなく「早食いの見分け方」も紹介しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
「うちの子って早食い?」犬の早食いの見分け方
パクパクごはんを食べていく姿を見慣れていると、早食いに気づきにくいかもしれません。
そもそも犬の早食いとはどういう状態をいうのでしょうか。
定義が決まっているわけではないですが、「食べ終わりまで休憩なく一気に丸呑みしていく」「ガツガツと数秒で食べ終わってしまう」ような子は早食いをしているといえます。
もちろんドライフードやウェットフードなどごはんの形状によって食べるスピードは異なりますが、早食いじゃない子は途中で休憩をいれたりゆっくり食べ物を口に入れていきます。
愛犬が「ごはんを置いた瞬間からガツガツ丸のみしていく」という食べ方をしているのであれば、早食い傾向にあるのでデメリットと対策は頭に入れておいた方がよいでしょう。
どうして犬は早食いをするの?
では、どうして犬は早食いになってしまうのでしょうか。
考えられる理由は3つあります。
▼犬が「早食い」をする3つの原因
①歯の形状
➁野生のなごり
➂多頭飼いの環境
①歯の形状
犬の歯を見てみると人と違ってギザギザに尖っていますね。
この尖った歯は肉を引き裂き、喉を通る大きさに肉を刻んでいくことに特化しています。
そのため人間のように何度も咀嚼して味わって食べるということが構造状できません。
多少咀嚼はしますが、ほとんど丸のみをするように食べるので早食いになってしまいます。
➁野生のなごり
野生で生きていたころの犬は狩りをして暮らしていました。
狩りはいつでも上手くいくとは限りませんし、獲物を仕留めたとしても他のライバルに横取りされてしまう可能性もあります。
そのため「食べられるときに食べられるだけ食べる」という習性が身についており、早食いになりがちです。
➂多頭飼いの環境
多頭飼いをしていて、食事は「大皿でみんなで食べる」「柵なしで並んで食べさせる」という方法をとっている場合、自分の食事を他の子に取られないように早食いになる傾向があります。
また、劣悪な環境で育ってきた保護犬の子はご飯に執着している場合が多く、早食いになりやすいです。
犬の早食いのデメリットは?
早食いの原因をみていくと、犬の特性なのでしょうがないのかなという気になってしまいますが、早食いをすることで起きるデメリットもあります。
▼犬の早食いのデメリット
・早食いによる嘔吐
・窒息や誤嚥の可能性
・胃捻転を引き起こす可能性
・早食いによる嘔吐
ガツガツとごはんを食べた後、ゲホっと頻繁に吐いてしまうようなら要注意です。
嘔吐をすると胃酸が逆流するので、食道や粘膜が荒れてしまいます。
何度も嘔吐を繰り返すと「胃炎」や「食道炎」を引き起こす可能性もあるので、愛犬が早食いをして頻繁に吐くという場合は、早食い対策を取った方がよいでしょう。
・窒息や誤嚥の可能性
一気にガツガツと飲みこむことで喉に食べ物が詰まったり、食べ物が誤って気管に入ってしまう誤嚥を起こす可能性があります。
食べ物や口の中の細菌が肺に入ってしまうと「誤嚥性肺炎」を引き起こすことがあります。
犬が高齢になってくると気管に蓋をする「喉頭蓋」の働きが衰え、誤嚥をより引き起こしやすくなるので、愛犬の年齢が高くなる前に対策を取ってあげましょう。
・胃捻転を引き起こす可能性
胃捻転は胃の中にガスが溜まって膨れ上がり、ねじれてしまう病気です。
胃捻転を引き起こす原因は明確になってはいませんが、早食いも原因のひとつではないかと言われています。
胃が捻転すると周囲の臓器や血管が圧迫されるので、すぐに処置をしなければ短時間で死にいたる恐ろしい病気です。
胸が深い犬がなりやすいと言われてるので、胸が深くて早食いをする子は注意をしておいた方がよいでしょう。
愛犬に早食いをさせない対策は?
これまでの内容を見ていくと早食いにはデメリットも多くあることがわかりました。
特に「頻繁に吐き戻してしまう」「老犬」「胸が深い犬種」は早食いをするとトラブルに発展しかねないので、早食い対策を取っておいた方が安心ですね。
では、愛犬に早食いをさせないための対策は何があるのでしょうか。
対策法を4つご紹介します
▼愛犬に早食いをさせない対策4つ
①フードを小分けにして食べさせる
➁早食い防止の食器を使う
➂多頭飼いの場合は離れて食べさせる
④食事を出すときに「待て」をさせない
①フードを小分けにして食べさせる
1日量は変えずに1回に与える食事量を減らして頻回に分けて食べさせるようにしましょう。
➁早食い防止の食器を使う
早食い防止用の食器は食器内にデコボコとした突起があって一気食いしにくい構造になっています。
食べるのに時間がかかるので、早食いを防止することができます。
また、ノーズワークマットや餌を詰められる知育のおもちゃを使って、遊びながらごはんを食べるのも早食い防止になるのでオススメです。
➂多頭飼いの場合は離れて食べさせる
多頭飼いをしている場合は、ケージに入れたり部屋を分けるなど安心してごはんを食べれる環境を作ってあげましょう。
また、飼い主さんが側に立って覗き込むのを気にして早食いをする子もいるので、なるべく離れて食事に集中できるようにしてあげましょう。
④食事を出すときに「待て」をさせない
食事の前に「待て」「おあずけ」をしている方も多いと思いますが「早くごはんが食べたい」という気持ちが高まって余計に早食いになってしまいます。
嬉しくてごはんの前に大暴れするという場合は、一旦落ち着かせるために「待て」をするのは良いのですが、それ以外の場合は食事の前に「待て」をさせない方がよいでしょう。
犬は早食いになりやすい傾向がありますが、早食いによって引き起こされる病気もあります。
早食いが習慣になってしまうと、今は問題なくても老犬になってから窒息や誤嚥などを引き起こす可能性もあります。
頻繁に吐き戻したり食事のスピードが気になるという場合は、一度食事の方法を見直してみてはいかがでしょうか。
<参考書籍>
小動物獣医看護学 小動物看護の基本と実践ガイド 上巻下巻 D.R.レイン (著)B.ク-パ- (著) 西田利穂 (著)
動物看護コアテキスト[第3版]5 臨床動物看護学Ⅱ
動物看護コアテキスト編集委員会
<画像元>
Unsplash
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
最新記事 by 伊藤さん (全て見る)
- 「犬の涙やけは食べ物が原因?!」「犬の涙やけは治せるってホント?」涙やけに関する誤解やよく聞く疑問を解説 - 2024年11月23日
- 「愛犬と食べたい秋・冬が旬の果物」与えてOKな果物とNGな果物知ってる? - 2024年11月12日
- 「長生きする犬の共通点は?」長生きさせるための飼育環境や年齢別の注意点を解説 - 2024年11月4日
- 「犬の歯が欠けやすいオヤツ・オモチャ5選」選ぶときのポイントや歯が欠けたときの対応も解説 - 2024年10月29日
- 「犬の睡眠が足りないとどうなる?」犬の睡眠不足がまねく病気や睡眠不足のサインを解説 - 2024年10月22日