節分の時期になると、豆まきをする人も多いと思います。
しかし、豆まき中に愛犬が撒かれた豆をパクッ!と食べてしまって大丈夫かな?と心配な飼い主さんもいるのではないでしょうか?
「犬は肉食の動物」と思われがちですが、実は犬は雑食寄りの肉食動物で、厳密に言ってしまえば何でも食べてしまいます。
今回は、犬にとって安全な節分の楽しみ方や注意点、豆まきをする由来についてご紹介します。
犬にとって安全な節分の楽しみ方って?
犬を飼養している方が家の中で安全に節分を楽しむ方法は、一言で言ってしまえば、『人の豆まき中は愛犬をゲージ内か別部屋で待たせる』のが最善策です。
というのも、豆まきに使われる豆には、地域によって違いがあり、北海道や東北といった寒い地域と、鹿児島や宮崎といった九州地方では落花生が使用される傾向が強く、関東や西の地域では大豆が使用される傾向があります。
基本的に、落花生であれ、大豆であれ、犬が過剰摂取するような状態でなければ問題ありません。
落花生は『オレイン酸、リノール酸、ビタミンE』などの効果で老化防止や整腸作用が期待でき、大豆は『良質なたんぱく質、大豆イソフラボン、サポニン』などの効果でがん・生活習慣病予防、悪玉コレステロールの低下が期待できます。
ただ、「節分の日」ともなると、豆まきをやる人数や豆を撒く個数によって、思った以上に量が多くなることも予想されます。すると、その場合には話が違ってきて、愛犬を普段のようにフリーで過ごさせたまま豆まきをすると、豆をまいた先から一つずつ丁寧に愛犬が豆を食べていき、結果的に身体に負担がかかってしまう場合があります。
そのため、どうしても愛犬と一緒に節分を楽しみたい場合には、人の分の豆まきをし終え、落花生や大豆を回収した後に、愛犬が食べても良いボーロやフリーズドライの納豆で再度愛犬のための豆まきをしてあげるのが安全です。
豆まきを行う時の注意点
犬が居るご家庭で豆まきを楽しむためには、注意点についても知っておきましょう。
豆まきに込められた祈りには、無病息災や平穏無事などの願いが込められておりますが、知っておくことで後々招きかねない病気などにも対処することが出来ます。
▼【豆まきをする時に知っておきたい注意点】
・腸閉塞などの「詰まり」に注意する
・大豆アレルギーに注意する
・消化不良に注意する
・生の大豆に注意する
・肥満や胃もたれに注意する
腸閉塞などの「詰まり」に注意する
豆まきをする際に注意しておきたい腸閉塞などの詰まりは、腸だけではなく、喉に対しても当てはまります。
犬は一般的に自らが食べるものを良く噛んで味わうということはせず、ほぼ丸飲みして食事を済ませます。
豆まきをした後の片づけが中途半端だったり、思いのほか一か所に溜まって豆が散らばっていたりすると、それを勢いよく愛犬が食べてしまって、喉に詰まらせたり後々腸閉塞を起こしたり、といった危険もあるため、豆まきの豆はしっかりと片付けるように注意しましょう。
大豆アレルギーに注意する
大豆アレルギーと聞くと、その名の通り「大豆に対するアレルギーに注意すればいいかな?」と思ってしまいそうですが、実は落花生(別名:ピーナッツ)もマメ科の植物に分類されており、大豆と同じアレルギーの危険性がある植物です。
大豆や落花生を犬が食べて、もしも皮膚の痒みや嘔吐、下痢などの症状が見られた際には、大豆アレルギーを疑い、出来るだけ早急に動物病院で診療してもらってください。
消化不良に注意する
植物性たんぱく質が豊富な豆には、食物繊維も豊富に含まれております。
いくら雑食性の傾向がある犬だからと言っても、やはり祖先としている動物は完全肉食性のオオカミであるため、草食動物に比べれば、食物繊維の消化はどちらかと言えば苦手です。
小型犬などは特に人が少量とも思える量であっても、場合によっては消化不良を起こし、下痢や嘔吐などの症状が見られることもあるので、注意が必要です。
生の大豆に注意する
生の大豆、と言っても、市販で売られている豆まき用の豆は、一般的に炒り豆が多いため、大量に摂取することがなければ、そこまで注意する必要性はありません。
しかし、未加熱の大豆や炒っていても過剰に摂取してしまった場合の豆には、消化酵素の「トリプシン」を阻害する「トリプシンインヒビター」という成分と、腸管周囲組織やリンパ節などに到達すると体に悪影響がある「レクチン」という赤血球凝集素成分が含まれています。
基本的に通常であれば大豆は加熱した上で販売されているため、大丈夫だとは思いますが、非加熱の大豆は体内に誤って取り込んでしまうと、犬のみならず、人であっても有害なので、万が一愛犬が過剰に炒り豆である大豆を摂取してしまった場合には、念のため動物病院で診てもらうように心掛けてください。
肥満に注意する
豆まきをする豆が大豆の場合、適量を摂取する分には肥満予防や疲労回復、老化防止などに役立てることが出来ますが、豆まきをする豆が落花生で過剰摂取してしまった場合、落花生は反対に脂肪分が多いために肥満や胃もたれ・胸やけの原因となってしまう可能性があります。
肥満は、長生きするようになった現在の犬においても十分に注意したい生活習慣病となっている病気です。
豆まきをし終わって、その歳の数だけ豆を食べる時には、殻の中からピーナッツを落とさないように注意しましょう。
節分の日に豆まきをする由来
昔から『節分』というと、2月を思い浮かべる人も多いと思います。
しかし、元々『節分』は、立春、立夏、立秋、立冬の前日の4回を指す言葉で、『季節の節目』の日という意味だったようです。
なぜこれら節目が『節分』なのかというと、このような季節の変わり目には邪気が生じると考えられており、平安時代の宮中行事では、特に年が変わる前日の大晦日に『追儺(ついな)』と言われる厄払いが行われていたことが由来と言われています。
しかし、いつしかそれら行事は宮中行事としては行われなくなり、反対に一般庶民の間では、『季節の節目』の中でも、1年が始まる立春の前日、「春の節分」を、最も大切な日として魔を滅する(魔滅)と魔除けの力があるとされた豆を懸けて無病息災を祈る豆まき行事『節分』が、定着したのでした。
今となっては、当たり前のように各家庭で行われている『節分』の豆まきも、最初は皇居などにおいて行われる宮中行事だったのには驚きですね。
まとめ
いかがでしたか?
基本的に多少なら食しても何ら問題のない豆まきの豆である落花生や大豆も、取り過ぎは良くありません。
特に人は豆まきをし終えた後は、歳の数だけ豆を食べる風習もあるため、愛犬と共に『節分』を楽しむ際には、別に愛犬が食べられるようなおやつを用意して、健やかな一年をお過ごしください。
<参考書籍>
愛犬のための症状・目的別栄養事典
<参考サイト>
【2023年】節分の由来とは?恵方巻で福招き
>https://www.izasa.co.jp/blog/setsubun-638/
キッコーマン国際食文化研究センター
>2012年 キッコーマン食文化講座 第3回 大豆の加工 ~硬い大豆をおいしく食す~ | キッコーマン (kikkoman.co.jp)
SEBook|あのヘルシー食材にも含まれている!?『食のパラドックス』が提唱する「レクチンフリー・ダイエット」とは
>https://www.shoeisha.co.jp/book/article/detail/156
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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