食欲の秋到来!犬にとっても過ごしやすい季節となりました。
美味しい秋の味覚もたくさんあり、愛犬にも食べさせてあげたいと思いがちですが、実はブドウだけは絶対に与えてはいけない事をご存じでしょうか?
今回は、なぜ犬にブドウは厳禁なのか、食べてしまった時の症状や対処法などをご紹介します。
なぜ犬にブドウはあげちゃいけないの?
ブドウは、アントシアニンという抗酸化作用や眼精疲労回復が期待できるポリフェノールが多く含まれていたり、エネルギー代謝の手助けをするビタミンB群、疲労回復に効くブドウ糖が含まれていたりと、夏バテしてしまった人の体にはとてもピッタリな果物です。
しかし、犬がブドウを食べてしまうと、中毒を起こしてしまうので、犬にとってブドウは、危険な食べ物とされています。
これは、2001(平成13)年アメリカの研究により、10例の犬がブドウ類の摂取が原因で急性腎不全を起こしたと報告され、知られるようになりました。
その後も2003(平成15)年及び2004(平成16)年にかけて様々な形でブドウを摂取した140例のうち50例が何かしらの症状を呈し、うち7例が死亡したと報告されています。
全ての犬に必ずしも症状が見られるという訳ではないですが、日本でもブドウの品種であるデラウェアを摂取し、後に死亡したマルチーズの症例が報告されたこともあり、巷では犬にとってブドウは決して与えてはいけない危険な果物とされるようになりました。
犬に起こるブドウ中毒の原因って?
犬がブドウを食すことで起こる症状をブドウ中毒と言います。
ブドウに使われている農薬やカビ毒、ブドウ自体の何らかの成分が原因で起ってしまう中毒症状と言われておりますが、なぜそうなるのか?その因果関係は現時点では不明で、今後の研究解明に期待するほかありません。
また、一般的に犬がブドウを摂取した場合の致死量は、体重1kgに対して、約20~30gとされていて、巨峰1粒当たりの重さが大体20gほどあると言われているため、平均体重が1.5kg~3kgしかないチワワだった場合、巨峰1粒で命の危険があるということになってしまいます。
ただし、これはあくまで一般的な致死量の話であって、一概にこの量を与えると必ず症状が出て危ないと決まっているわけではなく個体差があることを心に留めておいてください。
ブドウ中毒による主な症状とは?
ブドウで起こってしまう症状にはいくつかありますが、その中でも多く挙げられているのは、急性腎不全です。
ブドウが急性腎不全を起こすメカニズムについては詳しいことは分かっておりませんが、ブドウを誤食した場合、腎毒性と腎臓への血液欠乏、低血圧性ショックなどが起こるとされています。
また他にもブドウを食べた後見られる症状には…
▼【ブドウ中毒による主な症状】
・嘔吐
・食欲不振
・下痢
・尿毒症
などが考えられます。
腎臓は肝臓と並び、物言わぬ臓器と言われています。
急性腎不全であった場合には、症状が出るまで自覚症状がない慢性腎不全とは違ってすぐ異変に気付かれるかもしれませんが、元々犬はそう簡単に痛みを訴えたりはしない動物のため、いかに早く異変に気付けるかがカギになってきます。
ブドウを購入し、食材を片付けているほんの少しの隙であっても、食に興味の強いワンちゃんは、その一瞬を狙って食べてしまうかもしれないので、万が一にもブドウを食べてしまったなら、すぐに対処するように心掛けてください。
犬にはブドウの加工品もNG!
犬にとっては、ブドウだけではなくブドウを干して作ったレーズン、シャインマスカットといったものにおいても危険とされています。
ブドウはその実だけではなく、皮に対しても中毒症状が示唆されており、当然ブドウを使ったブドウジュースやワイン、ゼリー、レーズンパンといった加工品もNGです。
また、目に見える状態の加工品ならまだ注意のしようもありますが、子供用のジュース類などの中にはブドウ自体が入っているのかよく分からないようなものにもブドウが使われている場合があります。
さらにお子様の居るご家庭だと、知らず知らずの内に愛犬が勝手に誤飲しまっていたなんてことも珍しくない話だと思います。
ですので、そう言った場合には商品の成分表示などをしっかりと確認することで愛犬が摂取しないよう、しつけや保管を徹底するように心掛けましょう。
犬がブドウを食べた時の対処法
もしも愛犬がブドウを誤って食べてしまった場合には、食べた量や症状の有無などに関係なく、すぐに動物病院で診てもらってください。
時々、ご自身で愛犬が口にしてしまったものを吐き出させようと、塩を舐めさせたり、無理やり取り上げようとしたりといった行為を試みる飼い主さんがいると思いますが、それはかえって塩分中毒や思いがけない咬傷事故の原因、処置の遅れなどに繋がる恐れがあるので、止めましょう。
上記でご紹介した日本での症例報告がなされたマルチーズの例では、それまで元気旺盛だったその子が、種無し小粒のブドウを皮ごと70gほど摂取した5時間後の夜中、嘔吐を頻発した後、無尿となり、来院した時にはほぼ虚脱状態、賢明な治療も虚しく、接種したわずか4日後には亡くなってしまっています。
人の場合は、急性腎不全や慢性腎不全になった際には透析を麻酔なく処置することが可能ですが、犬や猫の透析は、場合によっては全身麻酔が必要になることがあります。
リスクを考えると、すぐに決断することが難しくなってしまうので、ブドウを絶対に犬の手の届くところには置いておかないよう徹底し、ほんのちょっとの間だからと油断しないように注意しましょう。
まとめ
いかがでしたか?
私たち人間にとっては、ブドウは美味しい秋の味覚ですが、犬にとっては一歩間違えると1日で命を落としかねない大変恐ろしい果物だということがお分かり頂けたのではないでしょうか?
筆者の2代目シェルティは、それはもうものすごく食いしん坊な子で、少しでも目を離そうものなら即座に食卓の上の食事を狙おうとするほど食い意地が張っていました。
それは食事の調理中も同様で、何度もヒヤヒヤさせられたことがあります。
現在では愛犬と一緒にブドウ狩りに参加できる農家さんも多いようですが、犬にとっては危険な果物ですので、決して愛犬が食べないよう注意して秋の味覚を楽しんでくださいね。
<参考書籍>
健康維持・病気改善のための愛犬の食事療法 ホリスティック獣医師による病態別・成長別180種のレシピ
7歳からの老犬ごはんの教科書
<参考サイト>
ブドウ摂取後に急性腎不全を発症して死亡した犬の1例
>https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010800367.pdf
すわ動物病院|ブドウやレーズンの誤食には注意!
>https://suwa-ah.com/2020/01/21/%E3%83%96%E3%83%89%E3%82%A6%E3%82%84%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%B3%E3%81%AE%E8%AA%A4%E9%A3%9F%E3%81%AB%E3%81%AF%E6%B3%A8%E6%84%8F%EF%BC%81/
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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