便は健康状態を知るバロメーターと言われています。
そのため愛犬が「毎日便をしているのに今日は出ていない」「2日、便が出ていない」という状態になると「もしかして便秘なのかな?」と心配になってしまいますね。
そこで今回は、悩みがちな「犬の便秘は何日まで様子を見ていいのか」や「犬の便秘をまねく原因」を解説していきますので、愛犬の健康管理の参考にしてみてくださいね。
犬の便秘は何日目から?様子を見てもいいの?
便の回数や状態は食事や体調など生活環境によって異なるので、犬には「何日便が出なかったら便秘」という明確な指標はありません。
そのため「何日便が出ていないか」よりも、愛犬の日頃の便の回数や状態を把握しておき、比較できるようにしておくことが大切です。
例えば、1日2回便を出すことが多い子が丸2日便が出ないようであれば便秘の可能性がありますし、便の回数は変わらないけれど便の量が少ない日が続くようであれば、何かトラブルが起きている可能性があります。
また、便の状態や回数が普段と異なるだけでなく「いきんでも便が出ない」「排泄をしたそうなのに途中で止める」「元気や食欲がない」といった行動も見られたら、様子を見ずに早めに動物病院に行きましょう。
消化器や肛門にトラブルが起きて便が出にくい状態になっていることがあります。
犬の便秘をまねく原因5つ
便秘と一口にいっても原因はいろいろ考えられます。
今回は便秘をまねく原因を「5つ」ご紹介致します。
▼犬の便秘をまねく原因5つ
①食事の変化
➁水分不足
➂加齢
④環境の変化
➄病気
①食事の変化
ドッグフードを変更したり、手作り食の材料やトッピングを変えただけでも便の状態は変化します。
例えば、不溶性の食物繊維は便のかさを増してくれるので便通を良くしますが、逆に取りすぎると便の量が増えすぎて腸に詰まりやすく便秘を引き起こします。
➁水分不足
摂取する水分が少ないと便が硬くなり、便秘がちになってしまうことも少なくありません。
「足腰が弱ってあまり動かなくなった」「冬場で飲水量が減っている」という場合は、意識的に水分を取らせることも大切です。
➂加齢
年齢が高くなると筋力が低下し、いきむ力が弱くなり便秘がちになることがあります。
また、食事量が変化して便の量が減る、運動量が減って腸の動きも弱くなることも便秘の原因になります。
④環境の変化
「トイレの位置や場所を変えた」「トイレが汚れている」「引っ越しをした」「新しい家族が増えた」などの変化がストレスとなり、便秘を引き起こすことがあります。
➄病気
会陰ヘルニアや前立腺肥大、変形性脊椎症などの病気が便秘を引き起こすこともあります。
また、飲んでいる薬の影響で便が出にくくなる場合もあります。
▼「会陰ヘルニア」ってどんな病気?
肛門付近の筋肉の間から直腸や小腸が飛びてる病気。肛門付近が腫れるので便秘などの排泄障害を引き起こす。
▼「前立腺肥大」ってどんな病気?
オス犬の尿道付近の組織がホルモンの影響で肥大し、腸管を圧迫して便秘などの排泄障害を引き起こす。
▼「変形性脊椎症」ってどんな病気?
高齢の犬に見られる背骨の病気。背中に痛みが出るので排泄時のポーズが取りづらく、便秘がちになることがある。
犬の便秘、病院に行く目安は?
愛犬が「もしかして便秘?」という状態になったら、どのタイミングで動物病院に行けばいいのでしょうか。
便が出ていないことに加えて、下記のような症状が見られたら早めに動物病院に行きましょう。
▼こんな症状があったら動物病院へ
・いきんでいるのに便が出ない
・排便のポーズを取るのに、途中で立ちあがる
・元気がない
・食欲がない
・便をするときに痛みが出ている
・嘔吐
・お腹が張っている
「あと1日様子をみてもいいかも」「便秘で動物病院に行くのは大げさかも」と思うかもしれませんが、先ほどお話ししたように、別の病気が原因で便秘になっていることもあります。
また、便秘の状態が長く続くと結腸が膨張した「巨大結腸症」という病気を引き起こし、手術が必要になることもあります。
便秘の状態によって動物病院で取れる処置が変わってくるので「大丈夫かな?」と心配になったら、早めに動物病院で診てもらうようにしましょう。
愛犬が便秘かも、飼い主さんができる対処法とNGな対処法
「なかなか便が出ない」「便秘かも」という場合、自宅で飼い主さんができる対処法はあるでしょうか。
今回は、「飼い主さんができる対処法4つ」と「やってはいけない対処法」をご紹介します。
▼飼い主さんができる対処法4つ
①水分摂取量を増やす
➁運動をさせる
➂かかりつけ医に相談する
④ストレスを取り除く
①水分摂取量を増やす
犬の便秘をまねく原因として水分不足があるとお話ししましたね。
「水分が不足気味かも」と感じたら、ドライフードをお湯でふやかす、ウェットフードに変更する、水飲み場を増やすなど、意識的に水分が取れる工夫をしてあげましょう。
➁運動をさせる
運動をすると腸の動きは活発になります。
散歩にしっかり行く、ドッグランで運動をするなど適度な運動を心がけましょう。
➂かかりつけ医に相談する
病気が原因で便秘を引き起こしている場合、自宅での対処法で便秘は改善できません。
便秘解消のために行った運動などで状態が悪くなることもあるので、愛犬の体調をしっかり観察して、早めにかかりつけ医に相談しましょう。
④ストレスを取り除く
環境の変化で便秘を起こしている場合もあります。
原因に心当たりがある場合はストレスの原因を取り除いたり、ストレスを小さくする工夫をしてあげましょう。
例えば、引っ越しがストレスの原因だとしたら、前の家と同じような場所や形にトイレを設置する、愛犬が新しい環境になじむまで一緒にいる時間を増やすなど、なるべく犬の負担を少なくしてあげましょう。
▼やってはいけない対処法
・自己流のマッサージ
・綿棒で刺激する
・自己流のマッサージ
便が出ないときにマッサージをしてあげたくなるかもしれませんが、力加減や圧迫する場所を間違えると、かえって状態を悪化させてしまうことがあります。
マッサージをしたい場合は、必ず獣医師さんに相談したり指導を受けてから行うようにしましょう。
・綿棒で刺激する
肛門を綿棒で刺激するのもオススメしません。
愛犬が急に動くと綿棒で肛門や腸壁を傷つける恐れがあります。
いかがでしたか?
便秘の裏にはおおきな病気が隠れていることもあります。
今回ご紹介した内容を参考にして、愛犬の健康管理にぜひ役立ててくださいね。
<参考書籍>
小動物獣医看護学 第3版 上下巻
<画像元>
Unsplash
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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