「ヒヤリ・ハット」という言葉をご存じでしょうか。
文字通り「ヒヤリとした」「ハッとした」出来事のことで、重大な事故に至らなかったけれど、一歩間違えば大事故に直結してもおかしくない事例のことをいいます。
大事故の裏には多くの「ヒヤリ・ハット」経験が隠れており、「ヒヤリ・ハット」に気づいて減らしていくことが、大事故へのリスクを減らすことにも繋がります。
今回は、飼い主さんが愛犬との生活で経験した「ヒヤリ・ハット」の事例をご紹介していきますので、ペットの事故や予防への知識を一緒に養っていきましょう。
<目次>
「30件の大怪我」の裏には「300件のヒヤリ・ハット」
アニコム損害保険株式会社が契約者に対して行ったアンケートによると、ペットとの暮らしで起きたヒヤリ、ハット経験は下記のようになりました。
▼ペットとの暮らしの中で「ケガや事故にあった経験」「ケガや事故に至らなかったヒヤリ、ハットの経験」を教えてください (回答数616件)
・大怪我・大事故の経験がある 34件
・ケガや事故の経験がある 158件
・ヒヤリ・ハットの経験がある 318件
回答数616件のうち「大怪我や大事故に至った件数が34件」「ヒヤリ・ハットの経験は318件」にものぼり、大事故の裏には多くの「ヒヤリ・ハット」経験が隠れていることがわかりました。
その時は「ヒヤッとした経験」で済んだかもしれませんが、次は大事故や大怪我が起きる可能性があります。
大事故に繋げないためには、飼い主さんが「ヒヤリ・ハット」に気づいて、減らしていくことがいかに大切なのかがわかりますね。
では、実際に起こった「ヒヤリ・ハット」経験はどんなことがあるのでしょうか。
飼い主さんが経験した「ヒヤリ・ハット」の事例を見ていきましょう。
玄関で起こった「ヒヤリ・ハット」事例
最初は玄関で起こった「ヒヤリ・ハット」の事例です。
▼玄関で経験した「ヒヤリ・ハット」
・散歩の準備をしている時に、植木の肥料を食べた
・家族の帰宅に喜んで犬がジャンプをし、滑って足を痛めた
・家族の帰宅に喜んで走っていき、勢い余って落ちそうになった
散歩の準備を玄関で行う方は多いと思いますが、玄関周りにはいろいろな物が置いていることが多いですね。
準備中はつい犬から目を離しがちになってしまうので、犬にかじられたくない物や口に入ると危険な物は扉付きの場所にしまうなど、日頃から片付けておくようにしましょう。
また、「犬の滑りによる事故」や「犬の落下事故」は意外と多く起こっています。
特に飼い主さんの帰宅や散歩やご飯の準備など、犬が興奮しやすいシチュエーションだと起きやすいです。
犬が移動する範囲には滑り防止のマットやカーペットを敷く、段差がある場所には落下防止の柵やゲートを設ける(脱走防止にもなります)、犬が興奮していたら「スワレ、伏せ」などのコマンドを出して落ち着かせるなどの対策をとってあげましょう。
リビングで起こった「ヒヤリ・ハット」事例
大ケガや大事故の発生場所を調べてみると「リビング」で多く発生していることがわかりました。
愛犬も飼い主さんも多くの時間を過ごす「リビング」ですが、どんな「ヒヤリ・ハット」が起きやすいのでしょうか。
▼リビングで経験した「ヒヤリ・ハット」
・落とした薬を飲み込んでしまった
・針金ハンガーで遊んでいて、口内に突き刺さった
・こたつのコードをかじり、感電した
・仏壇のぶどうを飲み込んでしまった
・オヤツにりんごを与えたら、丸呑みしてのどに詰まらせた
ペットの誤飲事故は「年間20万件以上」起きているのではないかと推定されているほど、多く発生しています。
特に人の薬の誤飲は、犬にとって非常に危険です。気をつけていても意外と薬を落下させてしまうことがあるので、薬を飲む場合は犬が入って来れない場所で飲むようにしましょう。
電気コードをかじったことによる感電事故も少なくありません。コードやコンセントにカバーをつけたり、カーペットの下に隠すなど、犬がかじらないように工夫をしてあげましょう。
台所で起こった「ヒヤリ・ハット」事例
台所には食べ物が置いてあるので、興味をもって入ってくる犬も多いのではないでしょうか。
どんな「ヒヤリ・ハット」が起こっているのでしょうか。
▼台所で経験した「ヒヤリ・ハット」
・玉ねぎの切れ端を落としたときに、食べそうになった
・調理中に飛びついてきて、頭から熱湯をかぶった
・冷蔵庫に足をかけているのに気づかずに、閉めてしまった
・包丁を落としたときに、横に犬がいた
人にとっては安全な食材でも、犬が食べると危険な食材もあります。
食材を切っている最中に切れ端を落下させる、炒めている最中に食材が飛び出すことは十分に考えられるので、台所にゲートや柵をつけて犬が入れないようにするとよいでしょう。
また「落としたものを勝手に食べない」というトレーニングも行っておくと安心ですね。
料理中は手元に集中しがちになりますし、刃物も使います。
犬が予測できない動きをすることもあるので、基本的には調理中は台所に入れないようにしましょう。
屋外で起きた「ヒヤリ・ハット」事例
最後に、屋外で起きた「ヒヤリ・ハット」の事例をみていきましょう。
▼屋外で経験した「ヒヤリ・ハット」
・乗車中に急ブレーキをかけたら、助手席から落下して意識を失った
・車内で留守番を10分させて戻ると、息が荒かった
・リードが外れて車道に飛び出した
・公園で抱っこをして話していたら、突然飛び降りた
・リードの端がエレベーターに挟まったまま動き出した
愛犬を連れて車でお出かけする方も多いと思いますが、車内を犬が自由に移動できるようにしていると、急ブレーキをかけたときに座席から転落したり、驚いて開いている窓から飛び出てしまう可能性があり非常に危険です。
車で移動する際は、必ず犬をクレートに入れてクレートを固定しておきましょう。
また、犬は熱中症になりやすいので、どんなに短時間であっても1匹で車内に残すことは止めましょう。
散歩中にリードを離したことによる事故や抱っこからの落下事故も少なくありません。
リードは破損がないかをこまめにチェックし、犬を抱っこしているときは別の事をしないようにしましょう(話しているだけでも犬から意識が反れるのでNGです)。
いかがでしたか?
日常の中に潜んでいるシーンも多く「私も経験したことあった」という方もいらっしゃったのではないでしょうか。
大事故や大怪我に繋げないために、今回ご紹介した事故事例を参考に愛犬の事故防止に活かしてみてくださいね。
<参考URL>
ペットとの暮らし「ヒヤリ・ハット」経験は1:5:10
>https://www.anicom-sompo.co.jp/news/2014/news_0141209.html
<画像元>
Unsplash
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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