日本の夏の風物詩と言えば花火大会!…ですが、犬にとって嗅覚の次に優れていると言われる聴覚やメンタルへの影響はどうなのかな?と考えたことのある飼い主さんは多いのではないでしょうか?
中でも花火大会が開催される地域の近くにお住まいの方にとっては、花火が近くで見られて嬉しい反面、愛犬に関しては気になるところだと思います。
今回は、犬の耳の構造や鼓膜について、花火大会などの大きな音を怖がってしまう際の対処法などをご紹介します。
<目次>
犬の耳の構造とは?
犬の耳は、外耳(目で見てわかる部分)、外耳道、鼓膜、中耳、内耳に分かれており、構造的には、人の耳とほぼ変わりません。
一般的に外耳の部分外耳道を含み、且つ鼓膜より外側を指す場合が多く、鼓膜は中耳あたりに位置しているため、続いてご紹介するそれぞれの役割においては、外耳、中耳、内耳に分けて詳しくご紹介します。
外耳の役割
主に犬の外耳の役割とは、外からの音を外耳(目で見てわかる部分)によって集め、集めた音を外耳道から鼓膜へ伝える作りで形成されています。
犬の耳が人の耳と大きく違っている点は、この鼓膜へ音を伝える外耳道が人の場合ではS字、犬の場合ではL字になっている点が一番の違いと言えます。
しかし、その影響もあって犬の耳は人の耳と違い、耳垢が溜まりやすく蒸れやすいというデメリットもあり、通気性が悪いと菌が繁殖しやすくなる結果、外耳炎などの病気になってしまうことがあります。
中耳の役割
中耳は鼓膜に受けた音を増幅して内耳に伝える役割を担っています。
内耳に伝達するためには、内耳に到達する途中にあるつち骨、きぬた骨、あぶみ骨の組み合わせによる振動で伝達させ、音の増幅あるいは音の抑制をすることで、自らの耳を守っていると考えられています。
内耳の役割
内耳は平衡聴覚器とも言われていて、平衡感覚や内耳に伝わった音を感じる役割を担っています。
人も同様ですが、犬でもこの内耳にある三半規管によって体のバランスが保たれており、片側の三半規管に障害が起こると犬は体格の平衡が保てなくなってしまう程大切な器官です。
犬の聴覚は耳の形状関係なく65~50,000Hz
犬の耳の形状は、主に大きく3つに分けて、立ち耳・垂れ耳・半立ち耳の3種類があると言われています。
またこの3種類からは、さらに様々な形が存在する上、耳の形によってそれぞれ名前が付いているのも犬の耳の特徴と言えるでしょう。
どのような耳の形をしていても、犬が聞き取れる周波数は65~50,000Hzと言われています。
犬は基本的に高周波の音は聞き分けることが出来ると言われていますが、65Hz以下の音は聞こえないそうです。
けれどここで気を付けておきたいのは、この周波数はあくまでも音の高低差であって、音の強さ(㏈:デシベル)ではないということに注意してあげなければならないところにあります。
-5dBまで聞こえる犬の聴力と鼓膜の関係性
犬は人の4倍もの聴力を持ち合わせていると言われておりますが、それは音の強さでも例外ではなく、人では最低0dB(デシベル)の音圧まで、犬では最低-5dBの音圧まで聞き取ることが出来ると考えられています。
ですが犬は人と違って、複数の周波数を識別できないと言われていることから、音の識別は人の方が優れているようです。
しかし犬の場合は、人が限界とする極めて小さい音(0dB)以上の音を聞き取れてしまう上、鼓膜で受けた音は17倍にもなると言われており、つち骨、きぬた骨、あぶみ骨の振動を伝って、最終的に内耳に届く頃には22倍もの大きさになると言われている程、聴力については皆さんの認識通り優れているため、音量には気を付けることが大切です。
花火や雷は犬にとって大きなストレス
では、ここまで犬の聴力についてご紹介してきましたが、結果的に花火や雷の音は犬にとってストレスになり得るのかというと…、答えは「yes」です。
周波数(音の高低差)に比べ、デシベル数(音の強弱差)が激しい花火や雷は、犬にとってはとても大きなストレスとなる上、聴覚への影響も一時的な難聴や耳鳴りなどが起こる可能性があります。
また、花火などがきっかけで大きな音がトラウマになってしまうワンちゃんも少なくない事でしょう。
筆者の初代柴犬も、雷、花火といった轟音は大嫌いで、花火大会が多い季節や台風で雷が多い季節には、決まって狭いところに潜り込んで、音が鳴り止むまでは一向に出てこなかった記憶があります。
ただし、一方で2代目のシェルティは花火や雷には一切怖がらず、ガレージなどで使われるシャッターの方を怖がっていたので、一概に怖がる対象が花火等とは限らないようです。
愛犬が花火を怖がる時の対処法
せっかくの夏の風物詩である花火大会ですが、どうしても愛犬が花火の音に敏感に反応して怖がってしまうといった場合には、まずは愛犬を落ち着かせてあげるように心掛けましょう。
花火を怖がる時の対処法1:普段通り愛犬に接する
落ち着きなく動き回ったり怖がる愛犬に対して、飼い主さんも大げさに反応してしまうと余計に不安にさせてしまう可能性があります。
そのため、愛犬が花火を怖がる時には、いつも通り犬の傍で遊んであげたり、落ち着いた声で接してあげたりすることで、愛犬自身も落ち着いてきます。
花火を怖がる時の対処法2:カーテンや窓を閉める
ご自宅の近くで花火観賞が出来る飼い主さんにとっては残念なことかもしれませんが、花火の音や光によって興奮し、他の事に気を向けようにも上手くいかないような愛犬の場合には、カーテンや窓などを閉めて、そもそもの音や光をシャットアウトしましょう。
とはいえ、カーテンや窓だけで音や光を完全にシャットアウトするのは難しいので、そういった時にはテレビや音楽を付けて、愛犬の気を紛らわしてあげてください。
花火を怖がる時の対処法3:徐々に音に慣らせる
社会化期の時から花火や大きな音に特段嫌な印象がない愛犬にとっては必要ありませんが、もしもそうじゃない場合には、愛犬がリラックスしている際に嫌いな音をまずは小さく聞かせ、それで特に怖がる様子がなければ、ご褒美をあげたり、褒めたりしてあげましょう。
けれど、怖がる様子を少しでも見せた場合にはすぐに音を消し、落ち着けるように努めてあげてください。
まとめ
人にとっては楽しい花火大会でも、聴覚の良い犬にとっての花火大会は、必ずしも良いものではないことも多い花火。
良すぎる犬の聴力を私たち飼い主がコントロールしてあげることは流石に難しいですが、どうしても愛犬が怖がってしまう場合には、音に慣れさせたり気を紛らわせるために遊んであげたり、夏の風物詩よりも愛犬の心のケアに努めてあげてくださいね。
<参考書籍>
いぬほん いぬのほんねがわかる本
楽しい解剖学 ぼくとチョビの体のちがい 第2版
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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