人の命も救う嗅覚！英国で実用も近い、犬によるガン検査

犬はさまざまな優れた能力を持っています。なかでも嗅覚の鋭さはみなさんご存知ですよね。人間の100万倍以上とも言われるその嗅覚で、なんと「ガン」を嗅ぎ分けることができるとして、近頃注目を浴びているのです。

訓練犬デイジーちゃんは乳がんを発見

研究によると、犬はガン特有の匂いを嗅ぎ分けられるようだということがわかってきました。 1989年にイギリスでそのアイデアが発表されて以来、ガン細胞を犬に発見させるための研究と訓練がなされてきました。ある日、訓練中のラブラドールのデイジーちゃんが、ご主人であるクレア医師の胸に飛びつき、鼻を押し付けることを繰り返しました。検査の結果、なんと乳ガンが発見されました。

未訓練でもガンを発見したモンティちゃん

特別な訓練を受けていなくても、ガンの匂いを嗅ぎ分けた犬もいます。イギリスのミニチュア・ブルテリアのモンティちゃんのご主人のケリーさんは首の右側に腫れを感じていましたが、モンティちゃんはケリーさんの家にきた当日から、その腫れた箇所をなめていたと言います。結果、その腫れは咽頭ガン。早期発見だったので、ケリーさんのガン治療は成功し、モンティちゃんに感謝しているそうです。

早期発見へ、イギリスでの実用も間近

イギリスの研究チームは、訓練を行った9匹の犬が3000人のガン患者の尿サンプルからガンを嗅ぎ分けるテストを行いました。その結果は、実に93%という高い確率でした。今後の試験がうまくいけば、イギリス内の少なくとも2つの病院で、犬によるガンのスクリーニング検査が行われる予定と伝えられています。スクリーニング検査は、何の自覚症状もない状態の検査のことです。早期発見に役立ってくれるのだとしたら、心強いですね。研究によってガンの匂い成分が判明すれば、機械でも同じような検査が可能になるかもしれません。そういった意味でも、犬によるガン検査の研究は、非常に興味深い話です。犬にとっても人間にとっても、負担なく支え合える世の中になるといいですね。