毎年接種が推奨されてきた犬のワクチン接種。
獣医師さんはもちろんのこと、その時期になるとハガキなどでも案内が来ることから、毎年打つという人も少なくないと思います。
しかし、犬の体質によってはアレルギーが出てしまったり、「毎年する必要ある?」と疑問を抱く飼い主さんもいることでしょう。
そこで今回は、犬のワクチンの種類やその金額について、わんちゃんの生活環境や毎年のワクチン接種のリスク軽減に役立つ抗体価検査などについてご紹介します。
<目次>
「コアワクチン」と「ノンコアワクチン」の違い
犬が打つワクチンには、『コアワクチン』と『ノンコアワクチン』と言われる2種類のワクチンが存在します。
一般的に全てのわんちゃんに用いられるワクチンが『コアワクチン』とされており、必要に応じて接種するワクチンが「ノンコアワクチン」とされています。
主にコアワクチンで予防が推奨されている感染症には…、
- 犬ジステンパーウイルス
- 犬伝染性肝炎
- アデノウイルス2型
- 犬パルボウイルス
- パラインフルエンザ(ノンコアワクチン)
この5種類の感染症を予防する5種混合ワクチンが基本です。
そこに犬コロナウイルスであったり、レプトスピラ症という感染予防のための「ノンコアワクチン」を必要に応じてプラスすることで、6種混合ワクチン、7種混合ワクチン、8種混合ワクチン、10種混合ワクチンと種類が豊富になっていきます。
ただし、この「ノンコアワクチン」はあくまで必要に応じてであって、必ずしも接種する必要はありません。
現在提唱されている接種間隔は「3年に1度」
子犬の場合では、生後6~8週齢で最初のワクチン接種を行い、その後2~4週間くらいの間隔で追加接種を行います。
そして、最終接種は大体16週齢、またはそれ以降に接種を行うことで、感染症に対する予防を行うことになります。
では、成犬後はどうなのかと言うと、現在WSAVA(世界小動物獣医師会)ワクチネーションガイドラインが提唱しているコアワクチンの接種間隔は、成犬後では意外にも3年に1度とされています。
毎年接種することが当たり前となっていた飼い主さんたちにとっては、接種するリスクや不安などを軽減できる嬉しい提唱の一つだとは思うのですが、一方でこの「3年に1度」という提唱は、パルボウイルス、ジステンパーウイルス、アデノウイルスに関しては3年という認識のようです。
そのため、ドッグランやペットホテルなどを多く利用するわんちゃんにとっては、ケンネルコフ(犬の呼吸器感染症)の原因である犬パラインフルエンザの予防は毎年のワクチン接種が必要とされていて、残念ながら犬パラインフルエンザ単体でのワクチンは販売されていないため、結果的に5種混合ワクチン以上のワクチン接種をする必要があります。
ワクチン接種にかかる平均金額は?
毎年のワクチン接種となると、副作用に関することだけではなく、金額も気になるところです。
では、実際のところ犬のワクチン接種金額の平均はいくらなのかと言いますと、犬のワクチン接種は、診てもらう動物病院によって多少の違いはありますが、大体5種混合ワクチンで5,000円~7,000円が平均だと言われています。
わんちゃんの住んでいる環境や山や川などで頻繁に遊ぶ状況などでは、7種や8種といった混合ワクチン接種が必要になることがあり、金額もその分高くなります。
中でもレプトスピラ症は、土壌や河川などに長く潜伏し、ノンコアワクチンとされているものの、ドブネズミが保菌、人にも感染する人畜共通感染症です。主に尿から排泄された菌が人や犬の健康な皮膚に触れると感染します。
症状が現れた場合、犬では致死率が高いとされているため、注意が必要ですので、必要に応じて接種するようにしましょう。
とはいえ、普段通りの生活をする分には、WSAVA(世界小動物獣医師会)が提唱する3年に1度のワクチン接種でも問題は無いとの事なので、お財布にも嬉しい限りですね。
抗体価検査に基づいたワクチンプログラムでリスク減
さて、ワクチン接種が3年に1度でも大丈夫、ということは先程お伝えした通りですが、そこで大切になってくるのが、ワクチンの効力を調べる抗体価検査になります。
これは、体内にどれだけ抗体が残っているかによって、その後のわんちゃんに対するワクチン接種プログラムのスケジュールを決めるひとつの指標にすることが出来る検査です。
抗体価検査で調べられる項目については、コアワクチン(全てのわんちゃんに用いられるもの)が基本で、主にジステンパーウイルス、アデノウイルス、犬パルボウイルスの3種類が調べられます。
以前にワクチン接種をして何かしらの副作用が現れてしまったわんちゃんであれば、こういった選択肢を検討してみると良いかもしれません。
まとめ
現在多くのわんちゃんが接種しているワクチンは、5種ワクチンであれ8種ワクチンであれ、コアワクチンとノンコアワクチン(必要に応じて用いられるもの)が混ざったものを接種しています。
そのため、ノンコアワクチンも接種しようと思ったら、毎年1度のワクチン接種は必要になるでしょう。
しかし、ワクチン接種は時にアナフィラキシーショックを起こす可能性のあるもので、特に高齢犬だとそのリスクは高くなる可能性があります。
ですので、接種しておくに越したことはないワクチン接種ですが、少なくともアレルギーに不安があったり、毎年の接種に抵抗がある方にとっては、コアワクチンの抗体価検査に基づいた接種の活用、副作用によるリスク軽減をさせる上では、3年に1度のワクチン接種という選択肢も良いものなのではないかと筆者は思います。
<参考書籍>
最新版 愛犬の病気百科
<参考サイト>
【WSAVA 犬と猫のワクチネーションガイドライン2015年版】
>https://wsava.org/wp-content/uploads/2020/01/Vaccination-Guidelines-Article-Michael-Day-Japanese.pdf
【サーカス動物病院】
>https://circus-ah.com/wp/archives/155
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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