みなさんは、日本で1960年代にブタクサによる花粉症、次いでスギによる花粉症、イネ科による花粉症などが報告され、その花粉症になる人は年々増えているのをご存知ですか?
今まさに「悩まされている」という人も多い花粉症ですが、実は犬にも花粉症があるんです!
原因となるのは一体どの植物が多くて、なりやすい犬種には違いがあるのか等、今回はそんな疑問に迫ります。
<目次>
花粉症とアレルギーとの関係性
まず、花粉症はアレルギー物質(アレルゲン)によって、体の免疫システムが過剰に反応することで起こる症状の事ですが、基本的に花粉症の原因となるものにはいろいろなものが存在し、その種類は多岐に渡ります。
中でも人の花粉症で一番多いのは、スギ花粉に対する花粉症が最も多く79.4%、次いでヒノキが44.9%、ハウスダストが43.8%となっており、一方で1960年代に初めて花粉症として報告されたブタクサは、人では33.0%という調査結果になりました。(東京都福祉保健局が平成28年度『花粉症患者実態調査報告書』※複数回答有)
人の場合は目や鼻の粘膜を伝って花粉症の症状が表れ、またそれらの多くは、「くしゃみ」や「かゆみ」として表れるのが一般的です。
それでは、ここから先は犬が起こす花粉症の原因となるアレルギー物質にはどのようなものがあるのか、見ていきましょう。
犬による花粉症の原因の多くはブタクサ!?
結論から申し上げると、犬においても人同様、花粉症になる原因は様々です。
花粉=スギやヒノキと言った植物はもちろんのこと、シラカバやイネ科の植物、ブタクサやヨモギといった植物なども花粉症の原因です。あまり人と大差はありませんね。
しかし、そんな中でも特に世界的に犬の花粉症の原因として知られている植物が「ブタクサ」です。
ブタクサは主に8月~11月にかけて花粉が飛散する植物で、その影響によって花粉症が発症してしまうわんちゃんも居ることでしょう。
今は3月なので、「もう春だし平気だよね?」と、安心してしまうかもしれませんが、安心するにはまだ早く、この2月~4月という春の季節は、今度はスギ花粉が飛散する時期に突入します。
犬の花粉症も人と同じように複数の植物に対してアレルギー反応を示す場合があり、「ブタクサがないならスギもない」ということにはならないため、気を付けましょう。
犬の花粉症の主な症状
代表的な犬の花粉症による症状は次の通りです。
・体全体のかゆみ
・フケ、脱毛、発赤
・しきりに体を舐める
犬の場合の花粉症症状の多くは、一般的に皮膚に表れることが多いと言われています。花粉症というと、多くの場合くしゃみや目のかゆみ、充血などが印象的なので、皮膚炎と聞くと意外ですよね。
確かに犬にもくしゃみや目のかゆみなどの症状は見られます。しかし、毛で覆われている犬の場合、体に静電気を帯びやすく、その結果として皮膚に症状が表れやすい傾向が強いので、花粉症の先入観に囚われないよう注意しましょう。
愛犬が花粉症になってしまった時の対処法
では、ここからは犬が花粉症になった時の対処法をご紹介します。
花粉が飛散する時期に気を付けたい散歩の時間帯や日常生活においての対策などを見ていきましょう。
花粉飛散の時間帯を避けて散歩する
一般的に花粉が多く飛散する時間帯は、日中の12時頃、夕方の18時頃と言われています。
また、晴れた気温の高い日や空気が乾燥して風が強い日、雨上がりの翌日や気温の高い日が2~3日続いた後などにも花粉は多く飛散するため、この時間帯をなるべく避けた散歩を意識するようにしてください。
草むらなどに愛犬を立ち入らせないようにする
他にも、愛犬を散歩させる時の散歩ルートにも注意が必要です。
花粉症の原因となる植物は基本的に草むらに存在します。
そのため、花粉の付きやすい草むらには、出来る限り立ち入らせないようにし、花粉が多い時期には散歩ルートを変更する工夫などをするように心掛けてあげましょう。
薄手でもいいから散歩の際は愛犬に服を着せる
わんちゃんの種類や性格にもよりますが、出来るなら薄手の洋服などを着せて、花粉の付着を最小限に止めてあげましょう。
「夏場は暑いのでは?」と、洋服に抵抗を感じる方も多いかもしれませんが、メッシュ素材の洋服や接触冷感タイプの洋服も売られているため、上手く活用してあげてください。
散歩から帰ったらブラッシングで花粉を掃う
もしもわんちゃんが洋服嫌いで何かを身に着けることに抵抗を示すのであれば、散歩後は必ずブラッシングをして花粉を掃うようにしてください。
特に顔回りや足回りなどは花粉が付きやすいため、重点的に。
また、もしも皮膚の弱い犬種(柴犬など)の場合には、スリッカーブラシは使わず、静電気の起こりにくい獣毛ブラシを使って花粉を取り除いてあげると良いでしょう。
空気清浄機を使って花粉を除去する
やはりどんなに気を付けていても、完全に花粉などを除去するのは難しいですが、花粉除去の機能が付いている空気清浄機を併用することで、室内に存在する花粉を出来る限り除去することは可能です。
犬の花粉症は、「花粉をアレルゲンとするアレルギー性皮膚疾患」と言ってもおかしくないので、除去しきれない室内の花粉は空気清浄機を使うことで排除するようにしましょう。
シャンプーの回数を増やして花粉を洗い流す
花粉が飛散する時期は、シャンプーする回数を増やして、花粉を洗い流すのも良い方法です。
ただし、その際には犬の症状や体質に合わせたシャンプーを使うように心がけて、洗い過ぎないように注意しなければいけません。
通常、健康な犬の場合で月に1~2回のシャンプーが推奨されます。
そのため、花粉症の影響であまりにもかゆみがひどい場合でも、週に2回のシャンプーを限度とし、それ以上のシャンプーは控えましょう。
そして、シャンプー後はワセリンや化粧水などで体を保湿してあげると、皮膚の保護にも繋がります。
シャンプー嫌いに最適なドライワイプ
ドライワイプとは、吸塵性・多孔性に優れた不織布繊維を使用したシートを利用することで、花粉を取り除く方法のことを言います。
簡単に申し上げれば、不織布マスクと同じ効果を持った市販の床拭きシート(クイックルワイパーのシート)などで犬の体を乾拭きしてあげてください。
拭き方のコツとしては、まずお腹周りを拭いて、その後、毛のある部分を拭いてあげると、花粉も飛び散らず、簡単に花粉を除去できます。
こんな犬は要注意!花粉症に罹りやすい犬種
それでは花粉症にかかりやすい犬種をご紹介します。
一般的に花粉症だけではなく、皮膚炎に関連する病気に罹りやすい犬種は…、
・ウェストハイランド
・ホワイトテリア
・シー・ズー
・フレンチ・ブルドッグ
・パグ
・柴犬
・ゴールデン・レトリバー
このような短頭種やアトピー性皮膚炎になりやすいと言われる柴犬なども花粉症に罹りやすいと言われています。
アレルギー症状は単体ではなく、アレルゲンとなる複数の原因によって引き起こされるものなので、花粉症になる犬はつまるところ、アレルギー性皮膚炎になりやすい犬ということを、覚えておきましょう。
まとめ
犬にとっての花粉症。
人であっても一度なってしまうとなかなか治らず、ツライ思いをする症状ですが、犬の花粉症も症状の表れ方は違っても、皮膚のかゆみはとてもツライものです。
また、犬の場合その症状が、花粉によるものなのか、食物やハウスダストによるものなのかは、調べてみないと何とも言えないところがあり、一概に花粉症とは判断出来ないものです。
そのため、もしもこの春という時期、今まで見られなかった痒がるという症状がわんちゃんに見られたのであれば、出来るだけ早く獣医師さんに診てもらって、一日も早く改善できる手立てを見つけてあげてください。
<参考書籍>
最新版 愛犬の病気百科
<参考サイト>
平成28年度 花粉症患者実態調査報告書
>https://www.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/files/kj_kankyo/kafun/jittai/houkokusho.pdf
花粉症マニュアル2019年改訂
>https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/manual/2019_full.pdf
花粉症環境保健マニュアル
>https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/manual/2_chpt2.pdf
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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