愛犬とのより良い暮らしのために大きな決断をする飼い主さんは少なくありません。車を買い替えたり、引っ越したり、家を建てたり・・・。
愛犬中心の生活を送る私も色々経験してきましたが、もっとも大きくてこれからの人生の方向性を決めることとなったのは、山荘(別荘)を持ったことでした。その決断のポイントから、山暮らしの素晴らしさと思いがけない苦労点など、実体験をご紹介します!
念願の愛犬と山荘での暮らしがスタート!
先代愛犬と暮らしていた頃から、我が家はキャンピングカーで日本中を旅しながら「いつか住む場所」を探していました。家のある町はほど良い田舎で愛犬を遊ばせる場所もたくさんあるのですが、ゴールデン・レトリーバーにとっては気温と湿度が高すぎるのです。ある夏、八ヶ岳山麓を訪れた際、その快適さに「ここだ!」と感じました。真夏でもエアコンなしで過ごせる気候、豊かな自然に囲まれた散歩道、雄大な山々と野生動物たち・・・まさに私が思い描いていた理想郷だったのです。
それ以降年に何度も八ヶ岳界隈へ足を運び、住環境や近隣の人々の様子、老後の住みやすさなども検討してエリアを絞り、いくつかの偶然に背中を押されてめぐり会ったのが今の山荘でした。
「山荘」とは、山の中にある別荘を意味します。今の仕事を辞めてこちらへ完全移住するには準備不足のため、当面の間は月の半分ほどを山荘で過ごす二拠点生活。山での暮らしは毎日がとても静かで穏やかで、週末に買い出しや犬友だちとお散歩へ行く以外、めったに人に会うことがありません。
朝夕に愛犬と森の中を歩けば出会う、木々のにおいや野鳥の歌声、小さな野の花、ニホンリスやシカの姿。移りゆく季節を目で耳で肌で感じながらのんびりと歩いているだけで、心の奥底からじわじわと幸福感が沸き上がってきます。山荘ではリモートワークも家や庭の手入れもストレスを感じることなくでき、それは体調にも表れているのを実感しています。
愛犬も山荘で過ごす時間が大好き! 真夏でも熱中症を心配することなく運動できるし、森や小川で泥だらけ、草の種だらけになってわんぱくに遊ぶ姿は本当に幸せそう。そして同じように愛犬と過ごすために山荘を持ったり移住してきたりした方々が多く、こちらでは地元よりもたくさんの犬友だちに恵まれています。
友だちと一緒に森の中を探検したり、川へ泳ぎに行ったり、山でトレッキングをしたり・・・大自然の中で仲間と過ごす時間は、町中では得られない充実感を与えてくれます。
素敵なだけじゃない! 愛犬との山暮らし、その注意点とは?
「愛犬と山で暮らす」と聞けば、大自然の中で毎日楽しくゆったりと過ごしているように感じられるかもしれませんね。しかし自然との共存は、ただ素敵なだけではありません。
まず、愛犬は町で過ごすより確実に、そしてあっという間に汚くなります! せっかく山で過ごすのですから、汚れることを気にして遊びを制限するのはつまらないですよね。毎日朝晩、お散歩から帰ると、泥んこになった胸から下を洗い流す作業が必要になります。石や木の枝などで肉球を怪我したり、得体の知れない何かをくっつけてきたりすることも! 友人のわんちゃんには、落ちた木の実を食べたり野生動物の糞に体をこすりつけてしまったりする子もいます。
また、我が家の山荘がある場所は寒冷地なのであまり問題になりませんが、気候によっては蚊やダニとの戦いを避けられません。
「山の天気は変わりやすい」という言葉を聞いたことがありませんか? 山荘で暮らしていると、その言葉を身をもって実感します。テレビやインターネットの天気予報は同じ市町村でも中心部のデータですから、急激に天候が変化する山の中ではほとんどあてになりません。毎日のお散歩でも、空の様子を観察して自分なりに予報を立てるか、急な雨や雪にも対応できるウェアを整えていく必要があるのです。さらに我が家のように寒冷地に家を持つ場合、真冬の水道管凍結がつきもの! 山荘を購入して1年の間に何度修理をしたことやら・・・。
山荘で暮らす上で注意しなければならない点がもう一つあります。それは、町から遠ざかるほど動物病院が少なくなるということです。我が家の山荘の場合、小さなクリニックであれば車で15分程度の場所にもありますが、ある程度の設備が整った動物病院までは1時間くらい離れています。万が一愛犬が急を要する容体になった場合、この距離が文字通り命取りとなることも覚悟しなければなりません。
愛犬と過ごすための山荘選び、後悔しないためのポイントとは?
残念なことに「別荘を買って後悔した」「移住したけど元の場所に戻りたい」という声を時おり耳にします。気候や環境や近隣住民が、夢に描いていたようなものではなかったというのが主な理由のようです。お金に余裕があるなら失敗してもダメージが少ないかもしれませんが、ほとんどの人にとって非常に大きな決断となるわけですから、後悔しないためには様々な角度から検討することが大切ですね。
我が家は別荘としてだけではなく将来的に移住する予定でしたから、なおのこと慎重に物件選びを行いました。
最初に八ヶ岳を訪れ、「ここかもしれない!」と感じてから山荘を購入するまで約10年間、北は北海道から南は鹿児島まで全国を旅しながら「本当に八ヶ岳山麓がベストなのか?」と確かめていました。愛犬と暮らすための土地ですから、まずは愛犬にとって良い環境でなければなりません。同じ八ヶ岳界隈でも数多くの町をめぐり、あらゆる季節と天気を体験し、実際に愛犬と一緒に歩いてみて、限りなく理想に近い場所を探しました。
最終的にたどり着いた小さな村の中でも、愛犬との散歩コースはもちろん、自分たちが年を取ってからの暮らしやすさ、災害時の避難場所などを優先事項として、今の土地に決めたのでした。
何度もこの地域を訪れ愛犬と歩き回ったことでいつの間にか顔見知りや犬友だちが増え、こちらでの暮らしを具体的にイメージすることができ、山荘を持つことや移住することへの不安も軽減されていきました。地元ではない土地で暮らす上で、知り合いがいるということは本当に心強いものですね。
▲犬友だちとの出会いは素晴らしい宝物!
「愛犬と暮らすために山荘を持つ/移住する」ということを、突拍子もないことだと感じる方もいるかもしれません。しかし、山での生き生きとした愛犬の姿に魅了されたり、愛犬にとって負担の少ない気候を求めたりして、山暮らしをされている飼い主さんたちは想像以上にたくさんいらっしゃいます。
ちょっと思い切ったことではありますが、それだけの価値がある素晴らしい山暮らし。愛犬と利用できる貸別荘もありますので、ぜひ一度体験してみてはいかがでしょうか?
長年犬と旅をしてきたノウハウが誰かのお役に立てればうれしく思います。
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