わんちゃんと暮らし始めて、お散歩やお出かけ、川遊びや雪遊び、ドッグスポーツなど、生活がアクティブになったという方は多いと思います。わんちゃんがいなければ行かなかった場所やしなかった遊びがたくさんあると考えると、愛犬との暮らしは人生を豊かにしてくれますよね。
しかし、愛犬とゆったり過ごす時間も同じくらい大切だということをご存知ですか? 活発なわんちゃんと暮らす方こそ意識したい、愛犬とのくつろぎタイムについて考えてみましょう。
わんちゃんと暮らすなら・・・お散歩、運動、お出かけ!?
わんちゃんとの暮らしを始めるにあたり、毎日のお散歩や体力づくりのための運動、社会性を養うためのお出かけが最低限の条件であるということは、愛犬家であれば当然のように認識されていると思います。加えて、愛犬と飼い主さんとの関係性を作るトレーニングやドッグスポーツ、非日常の中で絆を深めることのできるアウトドア体験など、アクティブに過ごすことがわんちゃんとの生活に彩りを加えると言っても過言ではないでしょう。
どんなに体の小さな子であっても、わんちゃんは私たち人間に比べてずっと多くの運動量を必要としますから、アクティブな日々を過ごすことはとても大切です。また、私たちがテレビやインターネットで情報を集め、知識を得ることで脳を活性化させるように、家の外に出てさまざまなにおいを嗅ぎ、目で肌で世界を感じ取ることで、わんちゃんは好奇心や探求心を満たします。
このように、わんちゃんにとって活動的に過ごすということは非常に大切なことではありますが、実はそれだけでは不十分かもしれないのです。
「アクティブ」ばかりだと、わんちゃんはどうなる?
お散歩に出れば常にリードを引っぱって先へ先へと急ごうとする、広場に来たら「ボール! ボール!」と目の色を変えていつまでも催促する、ドッグランへ行けば遊べる相手を探してウロウロする、トレーニングやドッグスポーツの競技会場では出番を待ちきれずにワンワン吠える・・・いずれも、楽しみで胸いっぱいのわんちゃんの行動ですよね。しかし違う視点から考えてみれば、それは単に「オン・オフの切り替えができていない」と見ることもできます。
お散歩や運動、イベントを楽しみにするのはとても良いことです。しかし、楽しみにするあまり、自分の感情や行動をコントロールできなくなってしまうのは、わんちゃんの体と心に負担になってしまいます。ワクワクしていても自制心を保ち、守るべきルールを守って飼い主さんの声にきちんと反応することができる、その上で楽しむ時は思いっきりはしゃぐ! その方が健全だというのは、私たち人間とまったく同じだと思いませんか?
わんちゃんの自制心は、何もせずに身に付くものではありません。楽しいことを前に興奮する状態をそのままにしておけば、わんちゃんはそれが普通のことだと学習します。いずれ、リードを見ただけで大騒ぎしたり、車に乗っただけで「ハッハッハッ!」と息が荒くなったり、他のわんちゃんを見かけただけで「遊びたい!」と吠えたり・・・飼い主さんや周囲の方にとって困った行動が現れるようになります。それらに対して「ダメ!」と制限しておとなしくなったとしても、わんちゃんの頭の中は興奮でいっぱいのまま。それは、普段から「誘惑や刺激の中でくつろぐ」という経験をしていないことが原因かもしれません。
愛犬とのくつろぎ体験から得られるものとは?
愛犬とゆったり過ごす、と言っても、単に家の中でゴロゴロしていれば良いということではありません。ポイントとなるのは、普段なら興奮しそうな場所やシチュエーションで、あえて静かに過ごすということです。いつもボール遊びをする広場でレジャーシートを広げてお弁当を食べたり、他のわんちゃんもいるカフェでランチしたり、お散歩途中のベンチでコーヒーを飲んだり。愛犬にはその横で伏せていてもらうのです。
最初は「わーい!遊ぼうよ!」「どうして座っているの?」とはしゃいでしまうことでしょう。あまりに興奮してしまうクセがついているなら、庭や家の前の道路などの誘惑の少ない場所から始める必要があるかもしれません。しかし次第に「おかあさん(おとうさん)がくつろいでいる時は、自分もゆっくりしよう」という切り替えができるようになります。徐々に誘惑の強い場所で、くつろぎ体験を繰り返していきましょう。
誘惑や刺激の多い場所でくつろぐことができるようになると、わんちゃんにはさまざまな変化が現れます。まず、周りの状況に関わらず、飼い主さんの様子に合わせて自分できちんとオン・オフの切り替えができるようになります。車や自転車、歩行者が行き来する道沿いのカフェでも、それらを気にすることなく床に伏せておとなしくできるでしょう(飼い主さんは落ち着いてランチを楽しむことができますね!)。公園で他のわんちゃんの姿を見かけても、休憩する飼い主さんのそばでくつろぐことができれば、必要以上に警戒心を持たずにいられます。トレーニングやドッグスポーツの会場でも寝ていることができればエネルギーを節約でき、自分の出番が来た時には良いパフォーマンスを発揮できることでしょう。
さらに、刺激の多い場所で飼い主さんと一緒にくつろぎの時間を過ごすことで、わんちゃんは「人や犬がいても、緊張しなくてもいいんだ」と感じます。そのような経験を積み重ねることにより、飼い主さんへの信頼感が増し、騒がしい場所でも落ち着いて過ごせるようになることでしょう。飼い主さんが腰を下ろしたらわんちゃんも伏せて眠ってしまう、というくらいの安心感を持ってもらえると良いですね。
▲旅先でもくつろぎの時間を!
愛犬が「いつもチャカチャカと落ち着かない」「刺激や誘惑に弱く、すぐに興奮してしまう」という飼い主さん、まずは行き慣れた場所でのんびりとくつろぎタイムを設けることから始めてみませんか?
長年犬と旅をしてきたノウハウが誰かのお役に立てればうれしく思います。
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